<ウェアラブルセンサーの計測データをもとに新型コロナウイルス感染症による生理学的・行動的変化について分析した結果、平均2〜3ヶ月にわたって新型コロナウイルス感染症の影響が続いていることが明らかになった> スマートウォッチやフィットネストラッカーのウェアラブルセンサーは、身につけることで、安静時心拍数(RHR)や睡眠状態、身体活動度などを常時計測できる。このほど、ウェアラブルセンサーの計測データをもとに新型コロナウイルス感染症による生理学的・行動的変化について分析した結果、平均2〜3ヶ月にわたって新型コロナウイルス感染症の影響が続いていることが明らかとなった。 安静時心拍数、睡眠時間、歩数が回復するのに時間がかかった 米スクリプス研究所の研究チームは、2020年3月、ウェアラブルセンサーの計測データを用いて新型コロナウイルス感染症の長期的な生理学的影響を研究するプロジェクト「DETECT研究」を創設。 2020年3月25日から2021年1月24日までにこのプロジェクトに参加した3万4146人のうち、急性呼吸器疾患を発症して新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けた875人を対象に、ウェアラブルセンサーの計測データを分析した。その研究成果は、2021年7月7日、オープンアクセスジャーナル「JAMAネットワークオープン」で発表されている。 対象者のうちPCR検査で陽性と診断されたのは234人で、残りの641人は陰性であった。陽性者は、陰性の人に比べて、安静時心拍数、睡眠時間、歩数が正常レベルに回復するまでの期間が長かった。特に、安静時心拍数の回復に要する期間の違いは顕著で、初期症状で一時的な徐脈があった陽性者は、その後も頻脈が続き、発症から79日後にようやく回復した。 陽性者のうち、急性期に咳や体の痛み、息切れがあった13.7%では、安静時心拍数が正常時と比べて5回以上増加する状態が133日以上にわたって続いたという。また、歩数の回復には平均32日、睡眠時間の回復には24日かかった。 研究チームは、これらの分析結果をふまえ、「初期症状の重症度と安静時心拍数の変化の大きさによって、新型コロナウイルスから生理学的に回復するまでにかかる期間を予測できるかもしれない」と考察している。 参加者を10万人規模に拡大させて研究継続 米国では、2019年7月時点で、成人の21%が「スマートウォッチまたはフィットネストラッカーを習慣的に身につけている」とJAMA回答。 「DETECT研究」では、ウェアラブルセンサーの計測データをより多く収集し、分析することで、「なぜ、新型コロナウイルス感染症からの回復に要する時間が人によって異なるのか」についての解明がすすむと考えており、今後、参加者を10万人規模にまで拡大させて研究活動を継続する方針だ。