<全国的に各家庭でのPC端末、通信環境の不足がオンライン授業の支障となっていて、都市部と地方での格差も大きい> 昨年は新型コロナウイルスの影響で、全国の学校が一斉休校を迫られた。それに伴いオンライン授業などが導入された。初めての試みだったが、なかなか一筋縄ではいかなかったようだ。円滑な実施を妨げたのは、十分な通信環境がない家庭が少なくなかった実態だ。 これを受け、今年の『全国学力・学習状況調査』では、2020年4月以降の臨時休校中、家庭でのICT(情報通信技術)学習に際して支障となったことを問うている。①家庭の端末(PC等)の不足、②家庭の周辺機器(カメラ等)の不足、③家庭の通信環境(無線LAN等)の不足、ということがオンライン教育の支障となった学校はどれほどあったのか。<図1>は、「当てはまる」と答えた小学校の割合だ。公立・国立・私立に分けて示している。 量的に多い公立を見ると、支障になったという学校の割合は、家庭の端末の不足が48.0%、家庭の周辺機器の不足が52.0%、家庭の通信環境の不足が41.5%、となっている。オンライン教育をしようにも、PCがない、カメラがない、Wi-fiがない家庭が多く、困り果てたという学校が少なからずある。 だが、ごく限られた階層(約1%)の子弟が通う国立小・私立小となると、これらのリソースの不足がネックになったという学校は、公立と比較してずっと少ない。身もふたもないが、在籍している児童の家庭環境の違いが出ている。 ===== 地域による差も大きい。家庭の端末、機器、通信環境の不足で困ったという学校の割合を都道府県別に出すとかなりの差異がある。端末の不足は66.3%~33.9%、機器の不足は70.8%~38.9%、通信環境の不足は65.8%~23.3%までの開きがある。<表1>は、機器の不足が支障になったと答えた公立小学校の割合を高い順に並べたものだ。 35の県で、家庭の情報機器の不足が支障となった小学校の率が50%を超えている。ウェブカメラなどは高価で、これがない家庭は少なくないだろう。家庭のリソース不足で悩んでいる学校の割合は、地方で高い傾向にある。各県の県民所得とマイナスの相関関係があり、子どもの貧困の影響も透けて見える。 地方の郡部では、オンライン学習に必要なリソースの普及率も低そうだ。しかし、こうした機器を必要としているのは田舎の家庭で、空間を越えた遠隔教育を行う上で必須のアイテムだ。へき地にあっては必須の学用品とみなし、用意できない家庭には、就学援助(学校教育法19条)の範疇で支給ないしは貸与するべきだ。当局も認識はしているようで、援助費目に「オンライン学習費」が加えられている。 コロナ禍によって、教育の情報化を進める上での課題が浮かび上がった。家庭のリソース不足はその最たるもので、「1人1台端末」を活用するGIGAスクール構想(文部科学省)などが打ち出されているが、日本の学校教育を国際水準にキャッチアップさせるには、政策的なテコ入れをもっとしなければならない。 <資料:文科省『全国学力・学習状況調査』(2021年度)> =====