<欧州の「タックスヘイブン」アイルランドも国際ルールを承認。発効すれば、これまで課税を逃れてきたハイテク大企業にも各国が課税できるようになる> 経済協力開発機構(OECD)は8日、大手多国籍企業に対する法人税の最低税率を15%とする国際的な課税ルールの導入で世界136カ国・地域が合意したと発表した。AP通信が伝えた。 これにより、136カ国・地域合わせて約1500億ドルの税収増が見込まれる。また、最低税率が同じになることで、多国籍企業が税率の低い国に拠点を移す動きに歯止めがかかることも期待されるとAPは伝えている。 今回の合意に向けて主導的役割を果たした1人がアメリカのジョー・バイデン大統領だ。ジャネット・イエレン米財務長官は、大企業の誘致を狙った各国の法人税率の引き下げ競争に終止符が打たれるだろうと述べた。 「アメリカは今後、法人税を引き下げる力ではなく、労働者の技能や技術革新をもたらす能力で(各国と)競うことになる。アメリカに勝ち目のあるレースだ」とイエレンは声明で述べた。 ただし、実際の導入までにはいくつかのハードルも予想される。最大手の多国籍企業の中にはアメリカ企業が多く含まれることから、カギとなるのはバイデンが提案している税制関連の法案の行方だ。議会で否決されるようなことがあれば、今回の枠組み全体の成否にも関わる可能性がある。 以下は、AP通信の報道からの引用。 グーグルなどIT大手も支持 今回の合意は、グローバル化やデジタル化が世界経済を大きく変えてきたことへの1つの対処と言える。最低税率に加え、ネットショップやウェブ広告といった事業で利益を上げているものの国内に物理的な拠点を持っていない企業の課税逃れを阻止することも可能になる。 グーグルやアマゾンといったアメリカの巨大IT企業は今回の合意を支持している。理由の1つは、一部に導入の動きが出ていたデジタルサービス税の撤廃に各国が応じたことだ。その代わり、各国は国際的な枠組みの下、巨大IT企業の売上の一部に課税する権利を手にする。 これにより、企業も国ごとに異なる税制に対応する必要がなくなり、国際的に統一された課税ルールに従えばいいことになる。 「この合意は21世紀の真の税制革命に道を開くものだ」とフランスのブリュノ・ル・メール財務相は述べた。「ついに巨大デジタル企業も、各国で利益相応の税金を負担することになる」 グーグルやフェイスブックといった企業は、法人税の安さから欧州での拠点をアイルランドに置いていた。だが7日、アイルランドはこれまでの政策を転換、合意に参加することを表明した。 ===== 一方でナイジェリアとケニア、パキスタンとスリランカの発展途上4カ国は反対を唱え、新しい枠組みに参加しない意向を示した。 貧困対策や税の公平を訴える人々からは、新しいルール下で税収の多くが富裕国に流れ、課税優遇による法人税への依存度が高い途上国の取り分が少なくなる可能性が指摘されている。 24カ国の発展途上国のグループ「G24」は、最低税率を一律にすることで再配分された税収からの取り分を途上国にもっと厚くしなければ、合意は「持続不可能」なものになるとしている。 今回の合意は、来週に予定されている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも取り上げられ、10月末にローマで開催予定のG20首脳会議で最終的に承認される予定だ。 新たなルールでは、国内に物理的な拠点を持たないがデジタルサービスなどで利益を上げている企業にも課税できるようになる。対象は世界の約100社の多国籍企業だ。