<海洋生物への悪影響が懸念されている微細なプラスチック粒子を、驚くべき方法で人間の乳幼児が大人の10倍以上取り込んでいる> 乳児が体内に取り込んでいるマイクロプラスチックの量は、成人の16倍に達していることが、米化学会(ACS)が発表した最新の研究結果で明らかになった。 この研究は、ニューヨーク大学医学部小児科と環境医学科の研究者によって行われたもの。研究チームは、便のサンプルを検査して、そこに含まれる一般的な二種類のマイクロプラスチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリカーボネート(PC)の量を検出した。 10人の成人と6人の乳児のうち、チームはすべての便サンプルのなかに少なくとも1種類のマイクロプラスチックを発見したが、乳児のサンプルからは成人のサンプルの10倍の量が発見された。 アメリカ国立海洋局によると、マイクロプラスチックとは、長さ5ミリ未満の微小なプラスチックの粒子。化粧品、薬のカプセル、衣類、一部の洗剤や歯磨き粉など多くの製品に使われている。この粒子は、血流に乗って運ばれることがあるほど小さい。 マイクロプラスチックは、大きなプラスチック製品が破砕されて放出される場合もある。これは合成繊維の衣類を洗面所でのシンクで洗った程度のことでも起きる。シンクの底に細い繊維が残っていれば、マイクロプラスチックが発生した可能性がある。 ハイハイで吸い込む場合も マイクロプラスチックはどのようにして幼児の体内に取り込まれるのか。研究チームは、幼児が人形や歯固め用のおもちゃ、哺乳瓶、マグマグなどプラスチック製品を噛むときに、体内に摂取されると考えている。 「1歳前後の幼児は、プラスチック製品や衣類を頻繁に口に入れるものだ。さらにポリプロピレン(PP)の哺乳瓶で粉ミルクを作ると、何百万個ものマイクロプラスチックが放出されることは数々の研究で明らかになっている。また加工された市販のベビーフードの多くは、プラスチック容器に入っていて、乳幼児がマイクロプラスチックを摂取するもう一つの原因になっている」と、この研究は指摘する。 研究チームはまた、乳幼児がマイクロプラスチックを含むカーペットの上を這うときも、プラスチックの粒子を吸い込むと考えている。 「PETとPPで作られたカーペットの上を、乳児が頻繁に這うと、マイクロプラスチックを体内に取り込む可能性がある」と、研究者は主張する。 マイクロプラスチックが与える悪影響について、科学的知見はまだ少ない。だが海洋大気局(NOAA)は、大量のプラスチックの微粒子が最終的に海に行き着き、海洋生物に悪影響を及ぼす可能性があると述べた。NOAAは現在、マイクロプラスチックの影響を研究する取り組みを主導している。 ===== かつては、マイクロプラスチックは胃腸管を通じで排出され、人体に問題を起こすことはないと考えられていた。だがいくつかの研究で、マイクロプラスチックの摂取がいくつかの悪影響、とくに癌や肺組織の炎症などのリスク増加につながる可能性があることがわかってきた。 マイクロプラスチックへの曝露は、口から飲み込む場合だけなく、微細な粒子を吸い込んだり、肌についたりするだけで起きることもわかった。研究によると、人間は毎週、大さじ一杯分のマイクロプラスチックを体内に取り込んでいる。 2020年12月の研究では、ヒトの胎盤からマイクロプラスチックが検出され、マイクロプラスチック汚染の深刻さが浮き彫りになった。研究者たちは胎児側と母胎側の胎盤から数個ずつ、また胎児を包む羊膜からもマイクロプラスチックを発見した。