「アステイオン」の記事一覧

池内恵、細谷雄一、待鳥聡史が語り合った「山崎正和論」〈1周忌〉

<日本を代表する知識人・山崎正和が2020年8月19日にこの世を去り、1年がたった。池内恵・東京大学教授、細谷雄一・慶応義塾大学教授、待鳥聡史・京都大学教授という70年代生まれの論客が語り合った、山崎正和との出会いと思い出を再録する> ※座談会は2020年8月28日放送の「国際政治チャンネル」より。本稿は『別冊アステイオン それぞれの山崎正和』(CCCメディアハウス)所収。 「文学便覧」の人 ■池内 山崎先生は私たちの共通の、何と言うんでしょうね? ■細谷 「メンター」じゃないですか? ■池内 私た...

2012年震災後の危機感と2021年コロナ禍の危機感、この間に何が変わったか

<創刊35年の論壇誌『アステイオン』が、2012年の前回から約10年を経て、「今、何が問題か」という同じテーマで特集を組んだ。そこから見えてきた専門知のあり方、アカデミズムとジャーナリズムの役割、世代論とは? 編集委員らによる座談会より> 1986年創刊の論壇誌『アステイオン』(公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会 編)では、2012年の76号で「今、何が問題か」と題する特集を組み、当時の編集委員が寄稿した。 それから約10年を経て、今年5月に刊行された94号の特集は「再び『今、何...

現在の論壇はイデオロギーから脱却しすぎて著者の顔が見えなくなっている

<アカデミズムとジャーナリズムの架け橋を担う論壇誌『アステイオン』94号の特集「再び『今、何が問題か』」から見える、以前の論壇との違い、これからのメディアに期待することとは? 「アステイオン」ウェブサイトより大阪大学名誉教授・猪木武徳氏による「押しの強い書き手の登場を」を全文転載する> いわゆる「論壇誌」(論壇の有無は問わないとして)の位置や影響力は過去半世紀で大きく変わった。端的に言えば、読者数が減ったということだ。 1964年4月に大学に入学し、教養部の新しいクラスの自己紹介の折、ある学生が「僕...

「今、何が問題か」と問われれば、ただちに「中国」と答える

<アカデミズムとジャーナリズムの架け橋を担う論壇誌『アステイオン』が問う、今の問題とは? 「アステイオン」ウェブサイトより、文芸評論家の三浦雅士氏による「「再び『今、何が問題か』」を読む」を全文転載する> 『アステイオン』94号の特集は「再び『今、何が問題か』」である。「再び」というのは、2012年にも「今、何が問題か」という特集を組んでいるからだ。ほぼ10年を経て同じ趣旨の特集を組むのは編集委員が入れ替わったことによる。 先立つ10年の編集委員は、委員長の田所昌幸以下、張競、池内恵、苅部直、細谷雄...

前世代の先輩たちがいつの間にか姿を消していった──氷河期世代と世代論

<急速な世代交代により、長い間「若手」を担ってきた「氷河期世代」も社会の中核となりつつある。「ただ世代交代だけが新しい思想をもたらす」と池内恵・東京大学教授は述べる。論壇誌「アステイオン」94号は「再び『今、何が問題か』」特集。同特集の論考「歴史としての中東問題」を2回に分けて全文転載する(本記事は第2回)> ※第1回:複合的な周年期である2021年と、「中東中心史観」の現代史 より続く 「ヴィジョナリー」から「ヒストリアン」へ このような平凡な「昔話」による「自分語り」は、できれば避けたかったのだ...

複合的な周年期である2021年と、「中東中心史観」の現代史

<今年2021年は日本では東日本大震災から10年だが、世界史的には「アラブの春」から10年、9・11同時多発テロ事件から20年、湾岸戦争から30年である。「ポスト冷戦期は中東問題の時代だった」と唱える、池内恵・東京大学教授。論壇誌「アステイオン」94号は「再び『今、何が問題か』」特集。同特集の論考「歴史としての中東問題」を2回に分けて全文転載する(本記事は第1回)> 周年期の構想 2021年という年は、多くの周年期が重なる、「複合的な周年期」とも言える年である。日本にとっては東日本大震災から10年と...

ワクチンが怖い人にこそ読んでほしい──1年でワクチン開発ができた理由 

<「知らないから怖い」ことによって、ワクチン忌避が起こる。正確でフェアな情報を共有するには何ができるのか? 論壇誌「アステイオン」94号「新型コロナウイルスワクチン事情」より> 通常、ワクチン開発には10年かかる 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生から一年以上が経過した。筆者が住むアメリカでの死者数は世界最大で、すでに50万人以上の命が失われている(編集部注:2021年6月現在では60万人を超えている)。 この凄惨な状況の中、アメリカでは人々の予想を上回る早さで安全性と効果の高い新し...

都知事の発言から消毒液の矢印まで 世界で注目「ナッジ」は感染症予防にも効く

<法による規制、金銭的インセンティブに続く、人を動かす第3の手法「ナッジ」。「リバタリアンパターナリズム」に基づくもので、コロナ対策にも活用されている。だがナッジに対する支持率には3タイプあり、日本は「慎重型ナッジ支持国」だという。論壇誌「アステイオン」93号「"ナッジ"――人を動かす第三の手」より」> 「感染しない、させないという意識をもって行動してほしい」 これは小池百合子都知事が、四連休の始まった(編集部注:2020年)7月23日に報道陣を通じて、都民に呼び掛けた言葉である。新型コロナウイルス...

医療保険は「アメリカンドリーム」の1つだった

<好条件の医療保険は努力した者が獲得できるものであり、努力しない者が政府から保障されるのは我慢ならない......。今後、「アメリカニズム」を再定義できるのか? 論壇誌「アステイオン」93号は「新しい『アメリカの世紀』?」特集。同特集の論考「アメリカニズムと医療保険制度」を3回に分けて全文転載する(本記事は第3回)> ※第1回:「国民皆保険」導入を拒んだのは「アメリカニズム」だった ※第2回:「国民皆保険」に断固抵抗してきたアメリカ医師会のロジック より続く クリントン案の挫折――アメリカの世紀の実...

「国民皆保険」に断固抵抗してきたアメリカ医師会のロジック

<アメリカニズムの精神にのっとり、第二次大戦後の経済成長もあって、民間の力で皆保険にしていくべきだという論調が強くなったが、その後、景気の低迷で無保険者が増えていく。しかし医師会は皆保険に抵抗した。論壇誌「アステイオン」93号は「新しい『アメリカの世紀』?」特集。同特集の論考「アメリカニズムと医療保険制度」を3回に分けて全文転載する(本記事は第2回)> ※第1回:「国民皆保険」導入を拒んだのは「アメリカニズム」だった より続く ニューディール期、第二次世界大戦期の挫折――全体主義の否定 労働者の4分...