「アステイオン」の記事一覧

丸山眞男研究の新たな動向

<資料のコピーや構想メモから校正刷りまで、物を捨てない性格だった丸山眞男。そのことが丸山眞男研究をこれからも発展させ続ける可能性を持つ> 『リベラリストの肖像』(二〇〇六年)を刊行し、サントリー学芸賞を頂いてから、早くも十四年がたった。この旧著は、原則としてすでに公刊されている丸山の著作・講義録と対談・座談会、そして自筆の手稿や書簡を翻刻した本を資料に用いてまとめたものである。 しかし、書いていたときにはそれだけを参考にしたわけではない。丸山眞男の旧蔵書と、自宅に遺された草稿・ノート・メモの類は、す...

コロナ騒動は「中国の特色ある社会主義」の弱点を次々にさらけ出した

<政治の民主化なくとも経済発展は可能という中国式の社会市場経済(中国模式)は一帯一路を通じて、特に発展途上国の見本となってきた。しかし、新型コロナウイルス問題の発生で状況は一転する。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「習近平の社会思想学習」を2回に分けて全文転載する> ※転載前半:中国経済は悪化していたのに「皇帝」が剛腕を発揮できた3つの理由より続く。 「習近平=神」論 ここ数年、中国は「一帯一路」を通じて、「中国模式」を世界に鼓舞するようになった。すなわち...

中国経済は悪化していたのに「皇帝」が剛腕を発揮できた3つの理由

<中国式の社会市場経済(中国模式)は、習時代になるまで成功を収めていた。その後経済は悪化したが、個人情報が取り放題の中国はAIで世界をリードするかに思われた。そんなときに新型コロナウイルス問題が起こり、ジャーナリスト近藤大介氏の仮説は揺らぐことになる。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「習近平の社会思想学習」を2回に分けて全文転載する> この原稿を執筆している二〇二〇年四月現在、日本のニュースは新型コロナウイルス関連一色と言っても過言ではない。私が日々、イン...

ロシアの脅威と北欧のチャイナ・リスク──試練の中のスウェーデン(下)

<ヨーロッパにおけるロシアの勢力拡大、民主主義の脆弱性を突いてくる中国は、東・西や保守・革新といった従来の対立軸とは異なる問題をあぶり出している。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> ※第1回:スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上) ※第2回:保守思想が力を増すスウェーデン──試練の中のスウェーデン(中)より続く。 再認識されるロシアの脅威 この...

保守思想が力を増すスウェーデン──試練の中のスウェーデン(中)

<戦後、世界平和と人権尊重を掲げた「積極的外交政策」による移民/難民の受け入れに対して、「スウェーデン・アイデンティティ」への脅威を訴える極右政党が地道に支持を得ていく。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> ※第1回:スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上) スウェーデンは戦後、労働力不足を補うために多くの外国人労働者を招致し、さらに移民/難民も多...

スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上)

<福祉国家、環境、デザイン、または重税、優生思想、治安悪化......。北欧スウェーデンに対するイメージは極端に振れている。一つ一つは間違っていないものの、その全体的なイメージ像は実像からはかなりかけ離れていると清水謙・立教大学法学部助教は指摘する。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> はじめに――イデオロギーとしてのスウェーデン? 二〇一八年は日本とスウェーデンが外交関...

すばらしい「まだら状」の新世界──冷戦後からコロナ後へ

<冷戦後、自由主義と民主主義の理念が世界を覆うように思われた。しかし、実際にはイスラーム過激派が台頭、米欧は内部に深い亀裂と分裂を抱えている。このようなちくはぐな状況を池内恵・東京大学教授は「まだら状の秩序」と呼ぶ。コロナの夜が明けた時に世界秩序はどう変わっているか。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆う『まだら状の秩序』」特集。巻頭言を全文転載する> 冷戦が終結した時、三〇年後の世界がこのようなものになっていると、誰が予想しただろうか。フランシス・フクヤマは『歴史の終わり』で、自由主義と民主主...