「アフガニスタン」の記事一覧

「中国封じ込め策には抜け穴がある」、パキスタン首相独占インタビュー

<アフガニスタンや中国と地理的・戦略的に深く結び付いたパキスタン。カーン首相が語る対米関係と対テロ対策の本音> 本誌は9月にパキスタンのイムラン・カーン首相への単独インタビューを実施した。聞き手は外交担当シニアライターのトム・オコナー、やりとりはeメールで行われた。 なぜいまパキスタンか。この国がアフガニスタンとも中国とも、地理的かつ戦略的に深く結ばれているからだ。カーン首相は自らの目標や南アジアの現況に対する憂慮を率直に語り、アメリカは今後もアフガニスタンに関与すべきだとし、その理由を説明した。こ...

これがタリバン暫定内閣に入閣した「FBI指名手配犯」の写真

<9月7日に発表された暫定内閣の陣容。国際社会がとりわけ不安視するのが、内相代行のシラジュディン・ハッカニだ。アメリカが1000万ドルの懸賞金を賭けている> 首都カブール制圧から3週間。抵抗勢力の最後の拠点だったパンジシール渓谷を掌握してアフガニスタン全土を支配下に置いたイスラム武装勢力タリバンが9月7日、暫定内閣の陣容を発表した。 閣僚は全員が男性で、大半がパシュトゥン人。 タリバンの指導層が数多く入閣しており、旧タリバン政権より穏健で民主的な顔触れになるとの期待は失望に変わった。 首相代行の座に...

混沌のアフガニスタンを逃れた難民が向かう国はどこ?

<タリバンが政権に返り咲き、多くの国民が不安を感じているアフガニスタンについては、国外に逃れる難民の受け入れが国際的な問題に> イスラム主義勢力タリバンが20年ぶりに全権を掌握したアフガニスタン。大勢の市民が身の危険を感じて国外脱出を望んでいるが、周辺諸国を中心に既に多くのアフガン難民を抱える国も多く、各国ともに難しい判断を迫られている。 ロシアやスイス、オーストリアのように受け入れ拒否を明言する国がある一方、アメリカは駐留米軍の協力者向けの特別ビザの交付や人道上の緊急受け入れで、2022年度中(2...

アフガニスタン、複雑怪奇なテロ組織の協力と対立の関係を紐解く

<誰と誰が味方? 空港自爆テロにはタリバン一派の影が? 「ISホラサン州」とタリバンの無視できない協力関係> アフガニスタンの暗い過去を思い出させると同時に、新たな暗黒時代の到来を予感させる出来事だった。8月26日に首都カブールの空港周辺で起きた自爆テロのことだ。 8月半ばにイスラム原理主義勢力タリバンが全土掌握を宣言したのを受け、空港周辺は国外に逃れようとする市民と、それを管理しようとする米国や同盟国の関係者とでごった返していた。この爆破テロによる死傷者は米兵13人を含む数百人に上った。 そのメッ...

米軍ドローン攻撃でアフガニスタン民間人の犠牲者数が急増

<アフガニスタンで空爆を実施した米軍だが、ドローン攻撃による民間人の被害は確実に増加し続けている> 8月29日、米軍がアフガニスタンの首都カブールで自爆テロを防ぐためとして行ったドローン攻撃で、民間人10人が死亡、そのうち6人が12歳以下の子供だった。ドローン攻撃は現地に情報提供者がいてこそ正確さを保てるが、今回の攻撃で現地に情報提供者はいなかった。 米ブラウン大学のチームが行った調査によれば、米軍主導の空爆によるアフガニスタンの民間人の犠牲者は、オバマ政権時の2016年からトランプ政権時の19年に...

タリバン勝利の裏に習近平のシナリオーー分岐点は2016年

タリバン勝利の舞台裏には習近平が描いたシナリオがある。きっかけは2016年における米軍によるタリバンのマンスール師暗殺だ。トランプ前大統領に米軍撤退を決意させるまでの、習近平の周到な戦略を考察する。 2016年、マンスール師殺害で中国に助力を求めたタリバン 2016年5月21日、まだオバマ政権下にあったアメリカ軍は、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯で、当時のタリバンの最高指導者だったマンスール師をドローン(無人機)攻撃によって殺害した。これによりタリバンを和平交渉のテーブルに着かせるという考えを...

国外脱出のチャーター機をタリバンが足止め?──「事実上の人質状態」と米議員

<アメリカにタリバン政権を承認させるための人質、との見方もあるが、米国務省にも有効な手段なし> アフガニスタンの実権を掌握したイスラム主義組織タリバンはここ数日、国外脱出を希望する人々を乗せた飛行機の離陸に待ったをかけているらしい。この状況について米政界では「人質を取られている」ようなものだとの声も上がっている。 AP通信は5日、北部マザリシャリフの空港で、少なくとも4機の航空機がはっきりしない理由で足止めされていると伝えた。アフガニスタンの当局者は、数百人の乗客は全てアフガニスタン人で、ビザがなか...

アフガン撤退、バイデンの「テロ対処能力ある」に批判が続出する理由

<タリバンが全土を制圧し、IS-Kの空港テロも起こった。アフガニスタン国内に軍事・情報拠点を失った今、テロとの戦いは振り出しに戻ったのか。アルカイダが米本土を再び攻撃する可能性はあるのか> まるで振り出しに戻った感じだ。8月26日、アフガニスタンの首都カブールの空港周辺で自爆テロがあり、米兵13人を含む170人以上が死亡した。 過激派組織「イスラム国」(IS)傘下のグループ「ISホラサン州(IS-K)」の犯行とされる。 20年間も戦ってきたのに、結局アフガニスタンはイスラム主義勢力タリバンの手に落ち...

独立の祝砲に沸くタリバンに中国はどう向き合うのか?

米軍が最終撤退した瞬間、タリバンは独立の雄たけびを上げて祝砲を鳴らし続けた。中国の第一報はこの場面と、国連安保理対タリバン決議に対する中露の棄権だった。中国は今後どのようにタリバンと向き合うのか? アフガンの夜空に轟く祝砲を報道した中国 8月31日未明、米軍を載せた最後の一機がカブール空港を飛び立った瞬間、カブール空港はタリバンの管轄下に入り、タリバン軍は勝利の雄たけびを上げた。 曳光弾(えいこうだん)(発光体を内蔵した特殊な弾丸)や機関銃などによる祝砲が夜空に向かって打ち上げられ、それは2時間ほど...

タリバンがブラックホークを操縦する異常事態、しかも誰かぶら下がっている!

<米軍の兵器を見せびらかすタリバンは、今やアフガン全土に見られる光景だ> タリバンの一員と見られる人物が、米軍の軍用ヘリコプター「ブラックホーク」から吊り下げられて降下する様子を映した動画が拡散している。アフガニスタン南部の都市カンダハルを「パトロール中」のものだというこの映像は、再生回数が200万回を超えた。 この動画を8月29日にツイッターでシェアしたのは、アフガニスタン・イスラム首長国を自称するタリバンの公式ニュースアカウント「Talib Times」だ。映像では、アメリカ軍が残したUH-60ブラックホークと見られるヘリコプターから吊り下げられた男性の姿が確認できる。 動画には、「我々の空軍だ! これは、イスラム首長国の空軍ヘリコプターが、カンダハル上空を飛行しながらパトロールをしているところである」というキャプションが添えられている。 この動画は、内容について第三者の確認は取れていないが、複数のSNSユーザーによってシェアされている。 動画が投稿された8月29日は、アメリカ軍がアフガニスタンから完全撤退するとされていた日の前日だ。 戦争終結とともに アメリカが先頭に立ってきた20年におよぶアフガニスタン戦争は、8月30日(米東部時間)に正式に終結した。アフガニスタンに滞在していたアメリカ人と、戦争中にアメリカに協力したアフガン人協力者を国外に退避させようとする混乱のなか、タリバン支配下にあるカブールの国際空港を、最後の米軍用機が飛び立った。 米大統領ジョー・バイデンは2021年4月に初めて、アフガニスタン駐留アメリカ軍を撤退させると発表した。その際に明言したのが、2021年9月11日までの完全撤退だ。国際テロ組織アルカイダがニューヨークのツインタワーを攻撃した2001年の米同時多発テロから、ちょうど20年目の日だ。 アメリカ軍が2001年にアフガニスタンに軍を派遣したのは、米同時多発テロの報復のためだった。その後アメリカ軍は、アルカイダと同盟関係にあったタリバンの排除に成功した。 だがアメリカ軍とその同盟国軍がアフガニスタンから引き上げるなか、タリバンはたちどころに全土を掌握し、首都も支配下に収めた。 タリバンは、アフガニスタンの実権を再び掌握した際に、アメリカ軍がアフガニスタン政府軍に提供した多数の武器や砲弾などを没収した。そのなかには、ブラックホークや全地形対応の軍用車両「ハンビー」も含まれている。SNSの写真や動画を見ると、8月半ばにはすでに、タリバン戦闘員が各地で武器などを見せびらかしている様子がわかる。 ===== New video of a Taliban operated Black Hawk heli, circulating on pro-TB accounts. #Afghanistan pic.twitter.com/D6tcKmersl— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021 I'm told this video of a Taliban-operated heli is from Kandahar. #Afghanistan pic.twitter.com/DYT07X5diI— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021 アメリカ政府監査院(GAO)の報告書によると、アメリカは2003年から2016年に、アフガン政府軍に対して大量の戦闘機器を提供。各種のライフル銃が35万8530丁、機関銃が6万4000挺以上、自動擲弾発射器(グレネードランチャー)が2万5327基、ハンビーが2万2174台などだ。 アメリカを拠点とするアフガニスタン復興特別査察官(SIGAR)の報告書によると、2021年6月末の段階では、アフガン空軍がそれまでに運用していた航空機は、戦闘ヘリコプターや航空機など167機だった。 SIGARの報告書はさらに、2017年12月から2021年6月までに、少なくとも3012台のハンビーがアフガン軍に提供されたとしている。 (翻訳:ガリレオ) ===== New video of a Taliban operated Black Hawk heli, circulating on pro-TB accounts. #Afghanistan pic.twitter.com/D6tcKmersl— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021 I'm told this video of a Taliban-operated heli is from Kandahar. #Afghanistan pic.twitter.com/DYT07X5diI— FJ (@Natsecjeff) August 30, 2021