「コーカサス」の記事一覧

【ルポ】全てを失ったナゴルノカラバフ住民の「涙の旅路」

<家を捨て、集団脱出。行き先は分からない──帰属先をめぐる紛争の終結で全てを失った人々が、絶望と悲劇の中で思うのは> 家財道具を積み上げた車が長い列を作り、その横をトラックが擦り抜けていく。荷台には、壁からワイヤが突き出たトタン屋根の店舗が丸ごと載っていた。 家畜をよそへ移す余裕がなかった住民はニワトリの首をはね、馬のはらわたを抜いた。冷気の中に湯気が立ち上る。家畜の群れを連れて、山道を何キロも移動した者もいる。 それは、集団脱出の悲劇的な相貌だった。 アルメニアのニコル・パシニャン首相が、6週間続...

完全停戦ナゴルノカラバフ紛争、支配地を失ったのはアルメニア

<ロシアの仲介で9月から続く紛争についに終止符。アルメニアでは停戦合意に反対するデモ隊が......> アルメニアのパシニャン首相は11月10日、実効支配地ナゴルノカラバフをめぐりアゼルバイジャンとの間で9月から続いていた紛争に終止符を打ったと発表した。 ロシアの仲介で完全停戦に合意。アルメニアは支配地の多くを失うことになった。パシニャンはSNSの声明で「私自身と全国民にとって非常に苦痛で困難な決断だった」と述べた。 パシニャンに続きロシアのプーチン大統領もこれを認める声明を発表。今後5年にわたり、...

子供を含む14人以上が死亡、終わりなき「停戦と衝突」の犠牲者たち

10月17日、アゼルバイジャン第2の都市ギャンジャがアルメニア軍によるものとされるミサイル攻撃を受けた。 9月末、同国とアルメニアの間で係争地ナゴルノカラバフ自治州をめぐる武力衝突が勃発。 以来、停戦と衝突を繰り返し、17日の攻撃では民家20軒以上が破壊され、子供を含む少なくとも14人が死亡。犠牲者の葬式が営まれた。 <2020年11月10日号掲載> ===== 破られる停戦。アゼルバイジャンが公表したアルメニア軍の映像 Reuters-YouTube...

「国際社会の無関心のせい」とアゼルバイジャン大統領 数百人の死者が出ているもよう

<ナゴルノカラバフの帰属をめぐるアルメニアとアゼルバイジャンの戦闘による被害は双方の都市部まで及び、民間人も犠牲になっている> ナゴルノカラバフで再び戦闘が始まったのは国際社会の「無関心」のせいだ──。アゼルバイジャンのアリエフ大統領は自分の責任を棚に上げて、そう非難した。 同国西部のナゴルノカラバフ自治州では9月末から隣国アルメニアとの戦闘が激化し、4年前の武力衝突以来、最も深刻な事態に発展した。しかも今回は被害が双方の都市部にまで及び、既に数百人の死者が出ているもようだ。 アゼルバイジャン側の主...

突き刺さったミサイル アゼルバイジャン×アルメニアの火種は消し去れるか

アルメニアが実効支配し、係争地となっているアゼルバイジャンのナゴルノカラバフ自治州をめぐって、9月末から両国間で軍事衝突が再燃。 アゼルバイジャンのミンゲチェビル市もミサイル攻撃を受けた(写真)。 長年にわたり対立してきた両国だが、コロナ禍で社会のストレスが高まるなか政治家が愛国心をあおっているとの見方もある。 10月10日には停戦が発表されたが、先行きは不透明だ。 <2020年10月20日号掲載> ===== アパートが爆撃され、早速破られた停戦合意 BBC News-YouTube...

アゼルバイジャンとアルメニアで因縁の戦いが再燃した訳

<ナゴルノカラバフの帰属をめぐる長年の紛争が解決されぬまま暴発を繰り返す背景と歴史> アルメニアが実効支配するアゼルバイジャンのナゴルノカラバフ自治州で両国の軍隊が衝突し、にわかに緊張が高まっている。 両国はいずれも旧ソ連の共和国だが、ナゴルノカラバフの帰属をめぐってソ連崩壊前から対立。ここ数年も小競り合いが多発していた。ただ、今回の衝突は1990年代のような全面戦争に発展しかねない。詳しい背景を探った。 ■過去の全面戦争とは? 同自治州の独立宣言に伴い、1992年から94年まで続いたナゴルノカラバ...