「サイエンス」の記事一覧

教師の工夫で、授業の効果はここまで上がる

<子どもの学力は家庭環境に大きく左右されるが、かと言って現場の教師が「無力」なわけではない> 教育社会学者が手掛けている冷徹な仕事として、家庭環境と学力の相関分析がある。「学力格差」という言葉が広まっているので、どういう知見が出ているかは知られていると思う。富裕層の子弟ほど学力が高い。通塾費用の負担能力などの経済資本に加え、親が勉強を見てやる頻度、自宅の蔵書量といった文化資本も影響している。 「身も蓋もないことを」と眉をひそめられることが多いが、こういうデータは、不利な条件の家庭への支援を促すエビデ...

宇宙飛行士が語る新型コロナ時代を生きるヒント

<ハッブル宇宙望遠鏡の修理にも携わった元飛行士が、宇宙で考えた孤独と絆と健康の意味> ハッブル宇宙望遠鏡は息をのむほど美しい天文画像を次々と地上へと届け、私たちの宇宙の認識に革命をもたらした。1990年4月24日の打ち上げから30周年を迎え、スペースシャトル「コロンビア」と「アトランティス」で2002年と09年にハッブルの修理に携わった元NASA宇宙飛行士のマイク・マッシミーノに、本誌アリストス・ジョージャウが話を聞いた。 ◇ ◇ ◇ ――宇宙飛行士の目から見て、ハッブル宇宙望遠鏡の重要性はどこにあ...

アビガンも期待薄? コロナに本当に効く薬はあるのか

<新薬開発よりスピーディーな既存薬の転用。有望視される薬はどれか? レムデシビル、アビガン、ヒドロキシクロロキン、レロンリマブ、カレトラ、そして血漿......。本誌「コロナ特効薬を探せ」特集より> レムデシビル Remdesivir エボラ出血熱治療薬 ULRICH PERREY-POOL-REUTERS 米食品医薬品局(FDA)は5月初め、新型コロナウイルス感染症の治療薬としてレムデシビルの緊急使用を許可した。大規模臨床試験で効果が確認されたからだ。 米トランプ政権のコロナ対策チームを率いる国立...

スズメバチが生きたままカマキリに食べられる動画が、アメリカでバズる理由

<アジアに生息するオオスズメバチが北米で初めて確認され、ソーシャルメディア上で不安が高まっている> アメリカのソーシャルメディアでは今、北米での生息が初めて確認されたオオスズメバチが、生きたままカマキリに食べられる動画が注目されている。 ツイッターに「Nature is Metal」が投稿したこの動画では、まずカマキリがオオスズメバチを背後から狙っている。スズメバチも大きな針で刺そうとして抵抗するが、完全にカマキリに捕らえられてしまう。スズメバチはすぐに抵抗を止め、カマキリはスズメバチの頭の一部を食...

「新型コロナ感染長期化」という確実な将来 3つのデータが教える私たちのとるべき対策

新型コロナウイルスは、いったん感染拡大が鈍化しても、第2波や第3波が来て必ず長期化する──。そんな見通しが国民の間にも浸透してきた。アメリカのハーバード大学のチームは最近、「外出制限は2022年まで必要になる」との予測を公表し、内外で大きな関心を集めた。 これらは何を根拠とした予測なのだろうか。日本政府の専門家会議のメンバーである北海道大学の西浦博教授など世界の専門家がこぞって活用するのが、感染症疫学の数理モデルだ。一見して難解そうだが、実は基本的なメカニズムはそんなに難しくない。 今後の感染の行方...

「命の選別」を強いられるアメリカの苦悩

<人工呼吸器の数が全く足りないなか医師は何を基準に救う患者を選ぶのか、選別基準の指針作りが進められている> 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で死者数が増加の一途をたどるなか、世界は容易に答えの出ない難問に直面している。「医療資源の配分」だ。 医療を施さなければ死ぬと分かっている患者に医療を施さない──そう聞けば冷酷極まりない行為のようだが、現実にはそうした結果につながる決定は日常的に行われてきた。 民間の保険会社が保険申請を却下することや、トランプ米政権がオバマケア(医療保険制度改...

時間を守れないのは性格のせいではなく、脳を仕向ける「技術」を知らないだけ

<例えば、1つの作業を終えたら、次にやることに少しだけ手を付けておく。「○○しなきゃいけない」ではなく「○○する」とつぶやく。脳がどのように時間を管理しているかを知れば、誰でもタイムマネジメントがうまくなる> 「時間を守れない」 ビジネスパーソンにとっては、致命的な欠点と言えるだろう。ビジネスマナーの基本中の基本である「時間を守ること」ができなければ、信頼を得ることは難しい。 しかし、悪気があるわけではない。やる気がないわけでもない。相手を軽んじているわけでもない。ただ、時間が守れない――。そんな悩...

新型コロナウイルスは日光・高温・多湿で威力弱まる=米政府研究

米国土安全保障省の高官は23日、新型コロナウイルスに関する政府の研究で、日光が当たる場所や高温・高湿度の環境下では、より短い時間で威力が弱まる傾向が示されたと明らかにした。 同省科学技術局のウィリアム・ブライアン局長代行によると、政府の研究者らは、新型コロナが最も生存しやすいのは屋内の空気が乾燥した環境で、気温と湿度が上がれば威力を失い、特に日光に弱いとの研究結果を報告した。 同氏はホワイトハウスのブリーフィングで「直射日光に当たれば、最も早く死滅する」と述べた。 インフルエンザなど他の呼吸器系疾患...

新型コロナウイルス、なぜ再び陽性になる? 韓国で進む研究と新たな疑問

韓国では新型コロナウイルス感染症から回復したのに、その後のウイルス検査で再び陽性と判定される事例が、数はまだ少ないものの、増えてきている。同国保健当局者は、可能性が考えられるいくつかの理由を研究している。 専門家によると、主に考えられるのは再感染、再発、そして検査の不備だ。 韓国疾病予防管理局(KCDC)によると、そうした事例が16日までに141件、報告されている。 再感染か再発か 再感染は、最も懸念されるシナリオだ。集団免疫の獲得の判断に大きく影響してしまうからだ。しかし、KCDCも多くの専門家も...

その腰痛は大丈夫? 手術で治療すべき腰痛とは

<椎間板ヘルニア、腰部脊柱菅狭窄症など、構造が複雑で疾患の種類も多い背骨の異常については、正確な判断とそれぞれの患者にあった治療方法を採用することが重要だ。本誌特別編集ムック「世界の最新医療2020」より> 「背骨の構造」を正しく知っているだろうか。中には背骨を「少し柔軟性を持つ1本の骨」くらいに思っている人もいるようだが、もちろんこれは大間違いだ。背骨のことを正確には「脊椎」と呼ぶ。この脊椎は、首の「頸椎」から始まり、背中の胸椎、腰の「腰椎」、そして骨盤の一部に組み込まれている「仙椎」までをひとま...