「シリア」の記事一覧

10年戦争で崩壊したシリア、国民をさらに苦しめる「最悪の飢餓」が迫る

<ロシアの圧力により最後の越境支援ルートも閉鎖の危機に。支援の道が断たれれば人道上の悲劇を招く> 6月16日の米ロ首脳会談で、ジョー・バイデン米大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領にシリアへの越境人道支援を拡大するよう個人的に迫る構えだ。複数の消息筋によれば、この結果、中東の中心に位置する国で新たな人道上の悲劇が起きるのを阻止するためにアメリカの役割が重要性を増す。反米の筆頭格ともいうべき国から譲歩を引き出せるかどうか、バイデンの手腕も試される。 これに先立ち、アントニー・ブリンケン米国務長...

ロシア・シリア両軍がシリア北西部イドリブ県に対する爆撃・砲撃を激化:市民を狙った無差別攻撃か?

<6月10日、シリア北西部のイドリブ県では、ロシア軍とシリア軍が爆撃と砲撃を激化させているという。現地で何が起きているのか?> シリア北西部のイドリブ県では、ホワイト・ヘルメットなど複数の反体制組織や活動家が6月10日、収穫時期に合わせて市民が避難先からザーウィヤ山地方に帰還しているのに合わせて、ロシア軍とシリア軍が爆撃と砲撃を激化させていると主張、SNSを通じてその様子を撮影した映像や画像を拡散した。 Horrible scenes from the #WhiteHelmets response ...

シリア大統領選挙──アサド大統領が再選 得票率95%をどう捉える

シリアで5月26日に大統領(任期7年)選挙が実施され、現職のバッシャール・アサド大統領が2012年に公布された現行憲法のもとで、2014年に続いて2度目の当選を果たした。アサド大統領は、旧憲法(1973年公布)のもとでも2度(2000年、2007年)当選しており、今回の当選は通算で4度目となる。 ハマーダ・ハンムード人民議会(国会)議長が5月27日晩に行った記者会見での発表によると、有権者総数、投票総数などは以下の通り。 有権者総数(在外居住者を含む):18,107,109人 投票総数(在外投票を含...

投票は政権支配地域のみ、51人のうち出馬は2人… 内戦続くシリアで大統領選

<アサドが得票率95%で4選を果たした> 10年以上にわたって内戦が続くシリアで5月26日に大統領選が行われ、現職のアサド大統領が4選を果たした。 得票率は前回の2014年より6.4ポイント高い95.1%。任期は7年で、父親の代から半世紀以上にわたって「アサド王朝」が続くことになる。 だがシリアの反体制派陣営や西側諸国は、この選挙は自由と公正さを欠く出来レースだと強く批判している。 選挙が実施されたのは政権が支配する地域のみ。また51人が立候補を届け出たが、アサド以外に出馬が認められたのは知名度の劣...

難民が受け入れ国の「市民」になるには何が必要か…戦禍を逃れた人々の切なる願い

<受け入れ国で就職し、納税し、政治にも参加内戦下の故国を離れて新生活を送るなか、シリア出身者が目指す「市民」への道> 危険な海路を移動し、狭苦しい難民キャンプで数カ月、または数年間も過ごし、密航業者に多額を支払った末、内戦のピーク時にシリアから西欧にたどり着いた難民は100万人を超える。 シリア内戦が始まってから10年。戦闘はおおむね沈静化したが、難民の多くは今も、安心して故国へ帰れるとは考えていない。彼らが逃れてきた独裁的体制は存続している。帰国したら反政府活動や反体制派支持、徴兵忌避を理由に迫害...

アサド政権が越えてはならない「一線」を越えた日

<アサド政権は国連調査団の目の前で化学兵器による大規模攻撃を強行した> ワシントン・ポスト紙のジョビー・ウォリックは、国家安全保障に詳しいピュリツァー賞受賞記者。新刊書『レッドライン』(未邦訳)は、シリアにおける化学兵器の発見・破壊と過激派組織イスラム国(IS)の打倒を目指したアメリカの闘いに焦点を当てている。 同書は、別の人権侵害疑惑の調査で既に首都ダマスカス入りしていた国連調査団の2013年8月21日の信じ難い経験も描いている。その日、近郊の村々に新たな攻撃が行われ、少なくとも1400人が死亡。...

バイデン政権のシリア爆撃が、ロシア、シリア政府、トルコ、イランが「暴力の国際協調」を招いた

<バイデン政権による初の軍事攻撃は、2020年3月以降、小康状態が続いていたシリアに、ロシア、トルコ、「イランの民兵」、シリア政府、クルド民族主義勢力が攻撃の手を強める結果を招いた......> バイデン政権発足後初となる軍事攻撃 米国のジョン・カービー国防総省報道官は2月25日(日本時間26日)に声明を発表し、シリア領内でイランが支援する武装グループに対して爆撃を実施したと発表した。 声明の内容は以下の通り: バイデン大統領の指示により、米軍は今晩早く、シリア東部でイランが支援する武装グループが利...

バイデンのシリア空爆の背景にある「イランとの駆け引き」とは

<核合意をめぐり、アメリカとイランのぎりぎりの神経戦が続いている> バイデン米大統領は2月25日、イランの支援を受けた武装勢力がひそむシリア東部の施設への空爆を指示した。 米国防総省によれば、2月半ばにイラク北部で米軍駐留拠点の周辺がロケット弾攻撃を受けたことへの報復だという。 バイデンが空爆に踏み切った背景には、核合意をめぐるイランとの駆け引きがある。 長年にわたって敵対してきた両国の関係は、オバマ政権下の2015年に締結された核合意をトランプ政権が一方的にほごにしたことで再び悪化。バイデンは就任...

膠着するシリア情勢の均衡維持・再編のキャスティングボートを握らされているバイデン米新大統領

<再びイスラエルがシリアにミサイル攻撃を行った。イスラエル、トルコ、ロシアなど各国は、爆撃・ミサイル攻撃を通じて、バイデン新大統領が膠着状態にあるシリア情勢にどの程度、そしてどのように関与するかを見極めるようとしている...... > 米国のジョー・バイデン大統領就任(1月20日)後初となる爆撃・ミサイル攻撃が行われた。場所は、ドナルド・トランプ前大統領が就任後発となる軍事行動に踏み切ったのと同じ国、シリアだ。 最初に攻撃したのはイスラエル 最初に攻撃に踏み切ったのは、米国を最大の同盟国とするイスラ...

イスラエルがシリア領内の「イランの民兵」を大規模爆撃、50人以上が死亡:米政権末期に繰り返される無謀

<イスラエル軍がシリア北部に大規模な爆撃をおこなった。米国の諜報機関の高官が、爆撃が米国との連携のもと、イスラエル軍によって行われたと暴露した......> イスラエル軍は1月13日未明、シリア北東部のダイル・ザウル県のユーフラテス川西岸一帯にかつてないほど大規模な爆撃を実施した。ドナルド・トランプ米大統領が退任(ないしは罷免)を間近に控えるなか、シリアへのこうした激しい爆撃には既視感を覚える。 オバマ前政権による大規模爆撃 似たような爆撃がバラク・オバマ前政権末期にもあったからだ。 オバマ前政権は...