「ハンガリー」の記事一覧

少数派「いじめ」の強化で、権力にしがみつくハンガリーの「独裁者」

<「マイノリティーいじめ」でしかない反LGBTQ法導入は、来年の総選挙を前に窮地に追い込まれたオルバン首相による必死の延命策> ハンガリーのオルバン・ビクトル首相は民主主義の旗を掲げて政界入りした。冷戦後の1990年代、彼はハンガリー政界の希望の星であり、共産主義から民主主義への移行を目指すこの国に支援の手を差し伸べた欧米諸国の寵児でもあった。 だが政権の座に就くや、ポピュリズムの手法に頼るようになった。熟議を重ねる民主的な統治に背を向け、数にものいわせて安易な路線に転換。権力の暴走を防ぐ制度や法律...

LGBT擁護に立ち上がったルクセンブルク首相「同性愛は『選んで』なるものではない」

<自らも同性愛者であることを公表しているベッテル首相が、LGBT情報を制限するハンガリーの新法を痛烈批判> ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相は、同性愛者であることを公表している。そんな彼が、このたび成立したハンガリーの新しいLGBT法を痛烈に批判した。 新法は、未成年がLGBT関連のコンテンツを視聴することを禁止するもの。これに対してベッテルは、自分はテレビドラマ「モダン・ファミリー」(2009年に米ABCで放送開始)を観た影響でゲイになったわけではないと発言した。 この法律は6月23日、ハンガリーのアーデル・ヤーノシュ大統領が署名して成立したが、欧州連合(EU)のリーダーたちからは怒りの声が上がっている。この法律により、ハンガリーの18歳未満の人々は、性教育番組から映画、広告まで、LGBT問題や同性愛、性転換に関するコンテンツを見ることを禁止される。 ベッテルは、「ゲイであることは選択ではない。私の場合、何かの広告や、モダン・ファミリーを見た翌日、目覚めたらゲイになっていたわけではない」とコメントした。「人生はそんなものではない。人生は......元から私の中にあったものだ。選んだ結果ではない」 この発言は、ベルギーのブリュッセルでEUサミットが開幕する前に行われたものだ。ベッテルはこのサミットで、LGBT法案の推進役を務めたハンガリーのヴィクトル・オルバン首相と顔を合わせることになっていた。 「自分自身を受け入れるだけでも、非常に難しいことだ。さらに社会的烙印を押されるようなことがあったら......とても手に負えない」 同性愛と小児性愛を結び付ける法律 ヨーロッパで最も小さく、最も豊かな国のひとつを率いるベッテルは、ユーモアのセンスとスマートな着こなしが光る人物だ。しかし、EUサミットが開幕した24日は意気消沈し、失望しているように見えた。 決して今回が初めてという訳ではないが、ベッテルは、自身のセクシュアリティについて公の場で話さざるを得ないと感じたようだ。 今回は、ハンガリーの新法が原因だ。この法律は子供たちを守ることが目的だとハンガリー政府は主張しているが、同性愛と小児性愛を結び付けているという批判が出ている。人権団体からも、同法案は強く非難されている。 6年前にパートナーの男性と結婚したベッテルは、この法律は現実と懸け離れていると考えている。 「私にとって最も難しかったのは、同性のこの人を好きだと気付いたとき、そんな自分を受け入れることだった。そのことを両親に言うのも、家族に言うのも、難しいことだった」とベッテルは振り返る。「それを受け入れることができず、多くの若者が命を絶っている」 ===== ベッテルは、「小児性愛、同性愛、ポルノ」が混同されていることに苦言を呈する。 現在48歳で、以前はテレビのトーク番組の司会者だったベッテルは、取材陣に対してこう語った。「私は以前、若い同性愛者だった。今も同性愛者だ。今の私はそれほど若くはないが、自分を危険な存在とは思っていない」 「国中から非難されること、普通ではないと思われること、若者にとって危険な存在と見なされること。それはゲイが『選択ではない』と、気がついていないことを意味する。しかし、不寛容であることは『選択』だ。私は、不寛容に対して不寛容であり続ける。それはこれからも、私の戦いになるだろう」 EUからの追放もあり得る? ハンガリーからEUサミットの会場に到着したオルバンは、この法律を撤回する可能性を否定した。すでに「官報に掲載」されている法律だとオルバンは説明し、自分はゲイの権利の擁護者だと述べた。 「共産党政権の時代、私は自由の戦士だった。当時は同性愛が罰せられていた時代で、私は彼らの自由と権利のために戦った。今も、同性愛者たちの権利を守ろうとしている。しかし、この法律は彼らに関するものではなく、子供と親の権利を守るためのものだ」 ベッテルは、「言っておかなければいけないことがある。私はこれまで、オルバン氏を尊敬してきた」と前置きしつつ、EU加盟は一方通行の道ではないと語った。「ヨーロッパは、法律と助成金だけを問題にするのではなく、権利と義務についても問題にする」 ルクセンブルクの首相が立ち上がったのはこれが初めてではない。2019年にエジプトで開催されたEUとアラブ連盟のサミットでも、ベッテルはアラブ諸国のリーダーに対し、自分は男性と結婚しており、おそらくアラブの多くの国では死刑になるだろうと発言した。 ベッテルはその後、「私には、何も言わないという選択肢はなかった」とツイートしている。 (翻訳:ガリレオ) ===== Congrats to Luxembourg's Prime Minister Xavier Bettel on his wedding to Gauthier Destenay! http://t.co/ZQ9nuxqns9 pic.twitter.com/RkiqXBov1X— Freedom to Marry (@freedomtomarry) May 15, 2015 15年にベルギー人建築家ゴティエ・デステネ(左)と結婚 White House excludes gay first spouse of Luxembourg from photo caption https://t.co/4SuUULlbH4 pic.twitter.com/cTdgukrZEy— Newsweek (@Newsweek) May 27, 2017 17年、NATOサミットに合わせて催された「ファーストレディ」の夕食会に出席したデステネ

LGBT情報は教育に悪い? ハンガリー政府が性的少数者を敵視する理由

<保守的なオルバン首相率いる与党フィデスが、LGBT情報の未成年への流通を禁止する法改正を強行> ハンガリーで6月15日、同性愛や性転換に関する情報を18歳未満に対して広めることを制限する改正法案が可決され、議論を呼んでいる。 同法案は、保守的なオルバン首相率いる与党フィデス・ハンガリー市民連盟が小児性愛禁止を目的として議会に提出したもの。その中で、同性愛や性転換に関する情報も、学校教育や未成年を対象にした映画・広告で流通させることを禁じるよう改正された。 人権団体は、小児性愛とLGBTの同一視は間...

日本だけじゃない…「デジタル後進国」のお粗末過ぎるコロナ対策

中国が新型コロナウイルスを完全に抑え込めているのは、「デジタル監視国家」だからなのか。だとすれば、日本はそこから何を学べるのか――。 その疑問に答え、示唆を得るべくデータ共産主義の「正体」に迫ったのが、4月13日発売の「日本を置き去りにする デジタル先進国」特集(2021年4月20日号)。 だが中国に限らず、このコロナ禍は世界各地で国レベルの「デジタル力」を問う試金石となっている。 日本がデジタル化に遅れていることは言わずもがなだが、ほかには例えば、どこが「デジタル後進国」なのか。 接触確認や感染経...