「ヨーロッパ」の記事一覧

SDGs優等生の不都合な真実──「豊かな国が高い持続可能性を維持している」という嘘

<国連が目指す持続可能な開発の指標で、各国の達成度の評価が実情と違い過ぎる。地球上の誰もがスウェーデン並みの消費をすれば、生態系や環境への負荷は現在の3倍になる> 地球と人の未来を守るため、2030年までに達成すべき17の目標を掲げた持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択されてから5年。その実現に向けた「行動の10年」が始まっている。動植物を含めた「生き物の世界」と人間主導のグローバル経済の共存共栄に向けた具体的努力が問われるのだが、そもそも各国は今、どんな位置に着けているのか。 それを知る指標...

溺死した男児の写真から5年──欧州で忘れられた難民問題

<溺死したクルド人男児の写真で目を覚ましたはずの欧州だったが、大きかった「特別な共感」は消え去ろうとしている。移民への反感を募らせる人々から抜け落ちた視点とは> たった一枚の写真が、世論を変えた。5年前の秋のこと。それまではヨーロッパに押し寄せる「人間の群れ」(当時の英首相デービッド・キャメロンの表現)呼ばわりされていた難民たちが、急に「特別な共感」の対象となった。 Relatives of iconic drowned Syrian refugee find a home https://t.co...

イタリア、国民投票で議員数3分の1削減が決定「報酬高過ぎ」

<議員の報酬は月額約1万1773ドルでイギリスの国会議員の1.5倍以上> イタリア国会議員の定数大幅削減の是非を問う国民投票が9月20~21日に行われ、70%の賛成を得て上下両院の議員数3分の1の削減が決定した。議席は下院が630から400に、上院は315から200に削減され、2023年の次回選挙から適用される。 議員定数の削減は中道左派の与党・民主党と連立を組むポピュリスト政党「五つ星運動」が推し進めた。支持者らは、イタリアの議員の報酬は高過ぎ、経費を使い過ぎ、仕事量は少な過ぎると主張する。議員報...

感染再拡大のスウェーデン、対策主導の疫学者がマスクの効果を疑問視

<8月には欧州各地でも「反マスク運動」が頻発> 新型コロナ対策としてロックダウン(都市封鎖)を行わず集団免疫戦略を取るスウェーデンで、6月末以降減少傾向だった新規感染者が一転、8月初旬から再び増加している。公衆衛生庁は「新たな感染拡大の危機」と警告した。 そんななか、同国のコロナ対策を主導してきた疫学者アンデシュ・テグネルは、マスクの効果を疑問視する発言を続けている。8月後半の英紙インタビューで、「マスクが全てを解決してくれると信じるのはとても危険だ」と話した。「マスクは他の対策を補完するかもしれな...

欧州各国で感染が急増するなか、「集団免疫戦略」のスウェーデンは収束へ

<高齢者に多くの死亡者が出た集団免疫戦略だが、ロックダウンなしでも感染抑制には成功したのか?> 欧州各国で新型コロナウイルスの感染が急増し、第2波への警戒が高まるなか、ロックダウン(都市封鎖)を行わない「集団免疫戦略」を取ってきたスウェーデンでは、6月後半以降、新規の感染者数が大きく減少している。 WHO(世界保健機構)が今週29日に発表した最新の報告によると、29日までの14日間に確認されたスウェーデンの人口10万人あたりの新規感染者数は、それ以前の14日間と比べて54%減と大幅に減少した。 一方...

中国「マスク外交」で信頼失墜、ヨーロッパでの印象が悪化

<送られてきたマスクの品質に問題があったことで、中国に対して反感が強まる欧州諸国> 中国の「マスク外交」は失敗に終わったらしい。 シンクタンクのヨーロッパ外交評議会がヨーロッパ9カ国で、中国への印象が新型コロナ前後でどう変わったかを聞いた結果、フランスとデンマークでは悪化が62%に対し好転がそれぞれ6%と5%、ドイツは悪化が48%に対して好転は7%。9カ国の平均では悪化が48%に対し、好転はわずか12%だった。 中国から送られてきたマスクなどの物資に品質上の問題があったことで中国への信頼は傷ついてお...

スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まっていた

<新型コロナ対策で独自のソフト路線がやり玉に挙げられるが、高齢者への感染拡大はそれ以前から必然だった> スウェーデンは、福祉国家の模範だった。1000万人の住民が、手厚い社会保障のおかげで豊かな生活と平等、社会正義を謳歌していると世界から称賛されてきた。 だがこの数カ月で、そのイメージに疑問符が付いた。新型コロナウイルスの流行を受け、スウェーデンは多くの国と違ってロックダウン(都市封鎖)を実施しなかった。欧州各国で人々が自宅に引きこもるなか、首都ストックホルムでは、人々がテラス席でビールを楽しむ姿が...

3万人死亡のイタリアが欧州で真っ先に国境開放した切実な理由

<国境封鎖を解除し、主要3都市の空港では国際便の発着が再開。14日間の隔離制限も撤廃された。慎重な周辺諸国と比べ、時期尚早との批判もあるが...> 新型コロナウイルスの大流行によって3万人以上の死者が出ているイタリアが、早くも経済活動の再開に本腰を入れ始めた。 5月18日の商店・飲食店の営業再開に続き、6月3日にはコロナ危機下の欧州で初めて国境封鎖を完全に解除。ローマ、ミラノなど主要3都市の空港で国際便の発着が可能になり、欧州からの入国者については14日間の隔離制限も撤廃された。また、国内の移動制限...

大統領就任20年、ロシアを「巻き戻した」プーチンの功罪を9人の識者が斬る

<世界でも有数の強大な権力を誇り「終身大統領」への道を邁進するプーチンは、20年の間にロシアをどう変えたのか。そして、今後の針路は......> 現在、ロシア大統領として通算4期目の任期を務めるウラジーミル・プーチンが、最初にその職に就いたのは2000年5月7日のこと。その5カ月ほど前、ボリス・エリツィン大統領(当時)が電撃辞任すると、首相だったプーチンが後継指名を受けて大統領代行に就任。3月下旬に行われた大統領選では50%を辛うじて上回る得票率で何とか決選投票を免れ、1期目をスタートさせた。 あれ...

新型バイクにまたがるドイツ警官が立ち向かう相手は?

<都市封鎖を緩和が始まった直後から再び感染が拡大しているドイツ、一方で封鎖の完全解除を求めるデモが激化する> ドイツの首都ベルリンで、警察隊に新型バイクが引き渡された。 新型コロナウイルス対策に成功しているとされる同国は、5月6日、ロックダウン(都市封鎖)の段階的な緩和に動きだしたが、直後から感染が再び拡大し、警戒感が強まっている。 一方、国内各地では封鎖の完全解除を求めるデモが激化。 警官たちには、ウイルスだけでなく社会の不安定化という敵と戦うことも求められている。 <本誌2020年5月26日号掲...