「中東」の記事一覧

米議会占拠は「アメリカの春」? アラブ諸国で広がる冷ややかな視線

<10年前の「アラブの春」で民主化を呼びかけたアメリカ中枢で起きた暴挙に、アラブ諸国では「善意が自分に戻ってきた」という皮肉な見方も> 今週6日、米連邦議会議事堂をトランプ支持者のデモ隊が一時占拠した事件について、アラブ諸国では「#AmericaSpring」というハッシュタグを付けたツイッター投稿が拡散している。2011年頃に中東各国で民主化運動が広がり、リビアやチュニジアなどでは数十年続いた独裁政権が倒された「アラブの春」と今回の事件を対比している。 トランプ支持者のデモ隊は6日、大統領選の結果...

イランの韓国籍タンカー拿捕の裏にトランプ恐怖症

<タンカーをイラン革命防衛隊に拿捕された韓国は自国軍を現場に派遣、他国の協力を求めているが> 韓国船籍の石油タンカーがペルシャ湾でイランに拿捕された事件で、韓国は急遽、現地近海に自国の軍を派遣。さらに、周辺地域で活動する国々に事態打開のための協力を求めている。 イランの精鋭部隊、革命防衛隊は1月4日、指揮下のズルフィカール艦隊が、サウジアラビアを出てペルシャ湾を航行中の韓国籍のタンカーを「海洋環境に関する法律に違反した」という理由で拿捕したと発表した。 このタンカーの名は「韓国ケミ号」。石油化学物質...

核科学者暗殺の報復誓うイラン 開発加速で国際社会との対立は激化へ

<「核開発の父」暗殺を受け、イラン議会はIAEAの査察拒否やウラン濃縮を推進できる新法を可決> イランのハタミ国防相は昨年12月中旬、軍の核兵器開発を統括する防衛技術革新機構(SPND)の予算を256%増額すると発言した。国際社会の働き掛けや米トランプ政権の脅しを無視して核開発予算を大幅に増やす判断は、イランと国際社会の対立が一段と激化した表れと言える。 引き金となったのは、「イラン核開発の父」としてSPNDを率いてきたモフセン・ファクリザデが11月末にテヘラン近郊で暗殺された事件。イラン当局はイス...

シリアの希望はそれでも死なず──民主化を夢見たアラブの春から10年

<内戦とテロの嵐が吹き荒れ、腐敗体質と独裁が復活──大量の難民が発生したが自由を求める戦いは終わらない> 小学5年生のときだった。学校当局の指示で授業を早めに切り上げ、シリアのバシャル・アサド大統領をたたえる歌を歌いながら首都ダマスカスの通りを行進することになった。この日の集会には大統領その人も姿を見せた。 長い行事が終わり、家に帰ると、私は興奮気味に父に話した。「大統領はね、サルみたいに耳がでかかったよ!」 軍の将校だった父は笑うどころか、私に平手打ちを食らわせた。このとき父に言われたことは一生忘...

クウェート小売業組合が仏製品をボイコット 学校授業でのイスラム風刺画使用への抗議り

クウェートの小売店の生活協同組合は、表現の自由に関するフランスの学校授業で教師がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を使用したことへの抗議として、フランス製品をボイコットしている。 70以上の事業所で構成される生協は、10月23日の回覧文書でボイコットを指示。ロイターが25日に訪れたいくつかの生協店舗では、美容製品などフランス製の日用品が既に棚から撤去されていた。 組合トップはロイターに対し、預言者ムハンマドに対する「度重なる侮辱」が理由で商品を撤去したと述べた。 イスラム教徒は、預言者のいかなる描...

「トランプがノーベル平和賞」があり得ないこれだけの理由

<平和に貢献した歴代受賞者や多くの候補者には、ある決定的な資質があった。平和と正義への情熱、よりよい未来を信じる楽観主義、そして──。1996年に同賞を受賞したジョゼ・ラモス・ホルタ氏が寄稿> ノーベル平和賞候補には、国家元首から医療団、無名の人々まで300を超える個人・団体が挙がる。だが私が知る限り、自分が候補になったことを発表したのはただ1人、トランプ米大統領だけだ。 私は1996年に同賞をいただき、歴代受賞者や数多くの候補と知り合うチャンスに恵まれてきた。平和に貢献する彼らには、ある決定的な資...

雇われハッカー集団、サウジ当局など標的にサイバー攻撃 フィットネスやパスワード管理などのアプリ利用

ソフトウエア企業ブラックベリーが7日に公表した報告書で、サウジアラビアの外交官やシーク教徒の分離独立派などが雇われハッカーの集団の標的になっていたことが分かった。 この集団は、アラブの伝承に登場する巨大魚の幻獣にちなんだ「バハムート」という名前で知られる。報告書は、サイバーセキュリティーの研究者がオンラインで雇われハッカーの証拠を見つけることが増えたことを示す。 ブラックベリーで研究部門のバイスプレジデントを務めるエリック・ミーラム氏は、バハムートの活動が多岐にわたることから、広範な領域に及ぶ複数の...

溺死した男児の写真から5年──欧州で忘れられた難民問題

<溺死したクルド人男児の写真で目を覚ましたはずの欧州だったが、大きかった「特別な共感」は消え去ろうとしている。移民への反感を募らせる人々から抜け落ちた視点とは> たった一枚の写真が、世論を変えた。5年前の秋のこと。それまではヨーロッパに押し寄せる「人間の群れ」(当時の英首相デービッド・キャメロンの表現)呼ばわりされていた難民たちが、急に「特別な共感」の対象となった。 Relatives of iconic drowned Syrian refugee find a home https://t.co...

ネタニヤフはノーベル平和賞受賞に値するか?

<UAEおよびバーレーンとの国交正常化合意により来年のノーベル平和賞候補者に推す声もあるが、パレスチナを筆頭に反発も強く、容認し難いと考える人は少なくない> 9月15日、ホワイトハウスの大統領執務室を訪ねたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、報道陣の前でドナルド・トランプ米大統領から記念品を贈られた。そして1年後、ネタニヤフが世界で最も栄誉ある贈り物、すなわちノーベル平和賞を贈られる......かもし れない。 今回、ネタニヤフがワシントンを訪れたのは、アメリカの仲介により、アラブ首長国連邦(...

イランを追い込むトランプ式の和平「包囲網」

<UAEに続きバーレーンもイスラエルと国交を樹立――核心的利益を守る「自然の要塞」に亀裂が入り、戦略的奥行きを失うイランが暴発する日> イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンが国交正常化の合意文書に署名する式典は9月15日にホワイトハウスで行われたが、世界が「歴史的瞬間」を目の当たりにしたのはこれに先立つ8月13日──ドナルド・トランプ米大統領がUAEとイスラエルの国交正常化を取り決めた「アブラハム合意」成立を発表したときである。 新たにバーレーンも加わったこの合意は、大統領選を控えたト...