「中東」の記事一覧

前世代の先輩たちがいつの間にか姿を消していった──氷河期世代と世代論

<急速な世代交代により、長い間「若手」を担ってきた「氷河期世代」も社会の中核となりつつある。「ただ世代交代だけが新しい思想をもたらす」と池内恵・東京大学教授は述べる。論壇誌「アステイオン」94号は「再び『今、何が問題か』」特集。同特集の論考「歴史としての中東問題」を2回に分けて全文転載する(本記事は第2回)> ※第1回:複合的な周年期である2021年と、「中東中心史観」の現代史 より続く 「ヴィジョナリー」から「ヒストリアン」へ このような平凡な「昔話」による「自分語り」は、できれば避けたかったのだ...

複合的な周年期である2021年と、「中東中心史観」の現代史

<今年2021年は日本では東日本大震災から10年だが、世界史的には「アラブの春」から10年、9・11同時多発テロ事件から20年、湾岸戦争から30年である。「ポスト冷戦期は中東問題の時代だった」と唱える、池内恵・東京大学教授。論壇誌「アステイオン」94号は「再び『今、何が問題か』」特集。同特集の論考「歴史としての中東問題」を2回に分けて全文転載する(本記事は第1回)> 周年期の構想 2021年という年は、多くの周年期が重なる、「複合的な周年期」とも言える年である。日本にとっては東日本大震災から10年と...

泡スプレーに紙吹雪 ネタニヤフ退陣で祝賀ムードのイスラエル

6月13日、イスラエル国会は右派政党「ヤミナ」のベネット党首率いる連立政権を信任。 相次ぐ汚職疑惑や強権的な手法が批判されながらも12年間続いたネタニヤフ政権についに終止符が打たれた。 このニュースを受けて、テルアビブの町は祝賀ムード一色に。多くの市民が広場に集結して、泡スプレーや紙吹雪でネタニヤフの退陣を祝った。 ===== 祝賀ムード一色のテルアビブ RT-YouTube 13日の国会で「すぐに戻ってくる」と強調したネタニヤフ氏 CNBC Television-YouTube...

イラン人口の1/3が苦しむ水不足だが…中東の対立解消へのチャンスにできる

<ペルシャ湾岸諸国の中でイランは海水淡水化で出遅れている。米バイデン政権が一役買えば全ての国に利益がもたらされる> かつて偉大なペルシャ文明を生んだ地が、いま干上がろうとしている。今年のイランは50年来の深刻な干ばつに見舞われている。総人口約8500万人のうち、約2800万人には水が足りない。地域としては主に中部と南部。都市部の住民も農業地帯も悲鳴を上げている。 苦境に立たされているのはイランだけではない。世界で最も水資源の乏しい17カ国のうち、12カ国はペルシャ湾の沿岸諸国を含む中東・北アフリカに...

ロシア・シリア両軍がシリア北西部イドリブ県に対する爆撃・砲撃を激化:市民を狙った無差別攻撃か?

<6月10日、シリア北西部のイドリブ県では、ロシア軍とシリア軍が爆撃と砲撃を激化させているという。現地で何が起きているのか?> シリア北西部のイドリブ県では、ホワイト・ヘルメットなど複数の反体制組織や活動家が6月10日、収穫時期に合わせて市民が避難先からザーウィヤ山地方に帰還しているのに合わせて、ロシア軍とシリア軍が爆撃と砲撃を激化させていると主張、SNSを通じてその様子を撮影した映像や画像を拡散した。 Horrible scenes from the #WhiteHelmets response ...

「狂信者」アハマディネジャドが、まさかの民主派に転身して復活

<大統領選への再立候補の失格判定はアハマディネジャドの読みどおり。今やリベラルを自称する策略家の狙いは> 狂信的イデオロギーや強硬な外交政策、激しい対米・対イスラエル批判──マフムード・アハマディネジャド前大統領時代のイランといえば、そんな特徴が記憶に残る。 だが2013年に大統領を退任して以来、ポピュリスト的扇動にたけたアハマディネジャドは、もっぱらイランの統治システムを攻撃対象にしてきた。そうした動きが頂点に達したのは今年5月。6月18日に予定される大統領選への再立候補を届け出たのだ。 イラン大...

ロケット弾の警報が鳴り響くイスラエルの町、必死で娘の耳をふさいだ母

パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエル軍による攻撃の応酬は、双方に子供を含む多数の犠牲者が出る大惨事に発展した。 ガザ地区との境界線近くに位置するイスラエルの町スデロットではハマスがロケット弾を発射するたびにサイレンの音が鳴り響き、子供たちの耳を必死に塞ごうとする母親の姿が。...

パレスチナの理解と解決に必要な「現状認識」…2つの国家論は欺瞞だ

<衝突が激化するイスラエルとパレスチナ、形骸化した自治政府と「2国家共存」に固執する弊害を考えるべきだ> 聖地エルサレムで始まった衝突が海沿いのガザ地区に飛び火し、多くの市民が犠牲になったせいで、自由を求めるパレスチナ人の戦いが久々に世界中の注目を集めている。そして遅まきながらも、国際社会は「二つの国家」の幻想にしがみつくのをやめて「一つの国家(による占領)」の現実を直視し始めた。 ヨルダン川の西岸から地中海に至る土地の帰属をめぐる争いは、もう何十年も続いている。争点は、要約すればこうだ。そこにある...

ガザのメディアタワーを破壊した武器はアメリカ製、バイデンも売却承認

<バイデンが先月承認したイスラエルへの武器売却計画のなかには、ガザ地区で200人以上を殺したのと同じ武器が含まれている> ジョー・バイデン米大統領は4月、イスラエルに対して7億3500万ドル相当の武器を売却することを承認したが、この中に、イスラエル国防軍が5月15日にガザ地区の数百の地点を爆撃する際に用いたものと同じ種類の精密誘導爆弾が含まれることがわかった。これらの標的には、世界各国の報道機関が多く入居していた高層ビルも含まれていた。 米議会の各委員会の委員長は、5月5日の時点で、この武器売却につ...

イスラエル空爆によるガザ地区の死者は、ハマスのロケット弾攻撃による過去25年間の死者を上回る

<死者数の大きな差が示すイスラエル対パレスチナの戦いの非対称性と、それを正当化するイスラエルの多彩な理屈> 先週のパレスチナ自治区ガザ地区へのイスラエルの空爆による死者は、ガザ地区を実効支配するイスラム系過激派組織「ハマス」のロケット弾による過去20年間のイスラエル側の死者を上回っている。 死者数のこの大きな差は、被害者は自分たちだというパレスチナ側の主張の説得力を強めるとともに、イスラエルに自制を求める世界からの声が高まる理由にもなっている。 パレスチナ側はこれまでも、犠牲者が多いのはイスラエルの...