「中東」の記事一覧

王毅中東歴訪の狙いは「エネルギー安全保障」と「ドル基軸崩し」

中国の狙いに関して日本では対米対抗のためという画一化された分析が散見されるが、中国の真の狙いは自国の「エネルギー安全保障」と「石油人民元」構築にある。以下、順不同だが、重要なものから考察する。 イランとの25年間の協力協定が意味するもの 3月27日、中国の王毅外相とイランのザリフ外相が、25年間の経済、政治や貿易の強化等を謳った「包括的戦略パートナーシップ協定」に署名した。これにより中国はイランから25年間にわたって安定した石油の提供をイランから受けつつ、イランに対しては石油化学製品、再生可能エネル...

ベイルートの爆発事故は、核爆発を除いて人類が引き起こした史上最大級の爆発だった

<2020年8月、レバノンの首都ベイルートで起きた爆発による大気波動が電離圏に達し、人類が引き起こした爆発の規模としては、核爆発を除き、史上最大級であることが明らかとなった......> 中東レバノンの首都ベイルートでは、2020年8月4日、2750トン以上の硝酸アンモニウムが保管されていた港の倉庫で大規模な爆発が発生した。 チュニジアやコートジボワール、ドイツでこの爆発による超低周波音が記録され、爆発地点から500キロ圏内の観測点では地震波を観測。アメリカ地質調査所(USGS)は、この爆発をマグニ...

イスラエルの隔離監視用ブレスレットはホテル監禁よりマシ?

<電子ブレスレットが現在地を特定し、隔離を守っていない場合には当局に通知が行く> イスラエルで3月17日、新法が可決された。今後、イスラエルに帰国した同国民、もしくは特定の国からイスラエルに入国した人は指定された隔離期間中、確実に隔離を実行しているかを監視するため、電子ブレスレットの着用が義務付けられる。 テルアビブ近郊のベングリオン空港に到着した国民は、まず新型コロナの検査を受け、陰性の場合は電子ブレスレットを装着するか、国営ホテルで隔離期間を過ごすかを選択できる。電子ブレスレットが現在地を特定し...

アサド政権が越えてはならない「一線」を越えた日

<アサド政権は国連調査団の目の前で化学兵器による大規模攻撃を強行した> ワシントン・ポスト紙のジョビー・ウォリックは、国家安全保障に詳しいピュリツァー賞受賞記者。新刊書『レッドライン』(未邦訳)は、シリアにおける化学兵器の発見・破壊と過激派組織イスラム国(IS)の打倒を目指したアメリカの闘いに焦点を当てている。 同書は、別の人権侵害疑惑の調査で既に首都ダマスカス入りしていた国連調査団の2013年8月21日の信じ難い経験も描いている。その日、近郊の村々に新たな攻撃が行われ、少なくとも1400人が死亡。...

過去最悪の治安情勢で、祖国アフガニスタンを捨てる人たち

<駐留米軍の完全撤収が迫るなか民間人攻撃が急増、故国を捨てて移住する動きが再び広がっている> ほこりまみれの街並みと雪を頂いた山々が眼下を飛び去っていく。飛行機がエンジン音を立てて上昇するなか、アフガニスタンのパスポートを握り締めたジャワド・ジャラリ(30)の目に涙があふれた。故国から去るのは、たやすいことではない。 「戦争はとてもむごい」と、報道写真家のジャラリは言う。「全てを奪われる。仕事も安全も、希望も夢も」 アフガニスタンでの紛争が始まってから20年近くがたち、アメリカは同国からの完全撤収に...

サウジ皇太子を記者殺害で「有罪」認定でも制裁できない訳

<中東政策上、サウジとの関係を維持したいバイデン政権は皇太子本人への制裁を見送り> バイデン米政権は2月26日、ワシントン・ポスト紙のコラムニストだったジャマル・カショギが2018年に殺害された事件に関連して、サウジアラビアのムハンマド皇太子が殺害作戦を承認したと結論付ける調査報告書を公表した。 この報告書は、トランプ前政権が議会への提出を繰り返し拒否したものだ。皇太子が国政の主導権を握っていたこと、側近サウド・アル・カハタニの関与、皇太子が「国外の反体制派を黙らせるための暴力的手段の行使を支持した...

バイデン政権のシリア爆撃が、ロシア、シリア政府、トルコ、イランが「暴力の国際協調」を招いた

<バイデン政権による初の軍事攻撃は、2020年3月以降、小康状態が続いていたシリアに、ロシア、トルコ、「イランの民兵」、シリア政府、クルド民族主義勢力が攻撃の手を強める結果を招いた......> バイデン政権発足後初となる軍事攻撃 米国のジョン・カービー国防総省報道官は2月25日(日本時間26日)に声明を発表し、シリア領内でイランが支援する武装グループに対して爆撃を実施したと発表した。 声明の内容は以下の通り: バイデン大統領の指示により、米軍は今晩早く、シリア東部でイランが支援する武装グループが利...

ガザ地区に届いたワクチン第一便は1000人分… イスラエル「世界最速」接種の陰で

<「イスラエルが輸送を妨げている」とのパレスチナ保健相・人権団体からの非難に反応した当局だが> パレスチナのガザ地区に2月17日、待望の新型コロナウイルスワクチンが初めて運び込まれた。パレスチナ暫定自治政府が2000回分のロシア製ワクチン、スプートニクVを提供。ヨルダン川西岸からイスラエルの検問通過が認められてようやく到着した。 だが、2回接種が必要な同ワクチンは1000人分にしかならず、ガザ地区の人口200万人の0.05%しかカバーできない。パレスチナのアルカイラ保健相は、医療従事者から接種を始め...

バイデンは戦争回避のためイラン核合意に復帰せよ(元米当局者)

<「アメリカにとって最大の脅威はイランの核武装。その阻止に向けた最善の手段」が核合意への復帰だと、元当局者らが主張> 米安全保障・外交分野の元当局者41人が、ジョー・バイデン大統領にイラク核合意への早期復帰を求める公開書簡を連名で送った。復帰しなければ新たな戦争に道を開きかねず、アメリカにとって大きな負担が生じるという。 核合意はバイデンが副大統領を務めたオバマ政権下の2015年に結ばれたもので、バイデンはもともと復帰には前向きな姿勢だ。ただ現在は、復帰の条件でイランと折り合わず非難の応酬が続いてい...

米議会占拠は「アメリカの春」? アラブ諸国で広がる冷ややかな視線

<10年前の「アラブの春」で民主化を呼びかけたアメリカ中枢で起きた暴挙に、アラブ諸国では「善意が自分に戻ってきた」という皮肉な見方も> 今週6日、米連邦議会議事堂をトランプ支持者のデモ隊が一時占拠した事件について、アラブ諸国では「#AmericaSpring」というハッシュタグを付けたツイッター投稿が拡散している。2011年頃に中東各国で民主化運動が広がり、リビアやチュニジアなどでは数十年続いた独裁政権が倒された「アラブの春」と今回の事件を対比している。 トランプ支持者のデモ隊は6日、大統領選の結果...