「人種問題」の記事一覧

圧倒的に保守的な土地で、「多様性」を前面に掲げて大成功した美術館

<ウォルマート創業家がアーカンソー州の田舎に造った美術館は、社会正義をワイルドに目指す> クリスタルブリッジズ・アメリカンアート美術館は、2011年11月11日の開館当初から大きな話題を呼んできた。アメリカにこれほどの規模の美術館が誕生するのは数十年ぶりだったし、設立したのは世界最大の小売業ウォルマートの創業家当主アリス・ウォルトンだ。 いかにもお金をかけた独創的な建築は、超有名建築家のマシェ・サフディが手掛けた。 コレクションにもお金がかかっている。例えばウォルトンは3500万ドルを投じて、アメリ...

コロナでアメリカ人の平均寿命が大幅に短く…人種別の数字に大きな差が

新型コロナによる2020年のアメリカ人の死者は37万人以上。主にその影響で、20年のアメリカ人の平均寿命が前年よりも1歳半短い77.3歳だったことが疾病対策センター(CDC)の報告書で明らかになった。 第2次大戦中以来の大きな落ち込みだが、その数字には人種・民族間の格差も透けて見える。白人の平均寿命が7 8 . 8 歳から77.6歳へと1.2歳分短くなったのに対し、ヒスパニック系は81.8歳から78.8歳へと3.0歳も短縮。黒人も74.7歳から71.8歳へと2.9歳分短くなった。 これは質の高い医療...

ファッション界の「中東紛争」、ZARAの不買運動に発展

<ユダヤ人デザイナーがパレスチナ人モデルに送った差別的なメッセージが明らかになり、デザイナーは子供の殺害予告を受け取り解雇の危機に。一人の社員が放った憎悪によって、ZARAも行動を迫られている> スペインの大手ファッションブランド、ザラ(ZARA)をボイコットしようという呼びかけが、ソーシャルメディアで広がっている。そのきっかけは、パレスチナ人のモデルが、パレスチナを支持する自身のインスタグラム投稿に対して、同ブランドのデザイナーが反パレスチナのメッセージ返してきたことだった。 この男性モデル、カヘ...

「黒人のウォール街」で起きた虐殺から100年 あのとき何があったのか

米オクラホマ州タルサで5月31日、アメリカ史上最悪ともいわれる黒人虐殺事件から100周年の追悼集会が開催。 バイデン米大統領が現地を訪れ、現職大統領として初めて追悼演説を行い、多くの人々がロウソクを手に祈りをささげた(写真)。 1921年のこの日、何があったのか。 発端は、若い黒人男性が白人女性を暴行した容疑で逮捕されたこと。拘束された男性をリンチしようと白人が集まり、黒人との間で衝突が発生した。 タルサのグリーンウッド地区は当時、「黒人のウォール街」と呼ばれる裕福な地域だった。 しかし白人の集団が...

英国に衝撃!オックスフォードの学生がエリザベス女王の肖像を撤去

<大学院生の自治組織が、植民地主義の象徴として肖像写真の取り外しを決定。大学に怒りのメッセージが殺到する騒ぎに> SNS上では差別的な言動をした人物を排除する「キャンセル・カルチャー」旋風が吹き荒れているが、なんとイギリスの最高学府でエリザベス女王が排除の対象となり、大騒ぎになっている。 きっかけは、オックスフォード大学の数あるカレッジの1つ、マグダレン・カレッジの1室に掲げてあった女王の肖像写真が取り外されたこと。 外したのは、同カレッジの大学院生の自治会だ。英王室の植民地主義的な体質を理由に、院...

白人精神分析医が書いた論文「白人性という病」の自虐的過激さ

<権威ある学会誌に発表された論文(しかも査読済み)は、白人性とは寄生性のある暴力的な病で根治不可能と主張。白人が怒るのは当然?> 5月27日に発行された米国精神分析学会誌(隔月発行)に掲載された、査読済みのある研究論文が、「白人性」とは「悪質で、寄生性のある病」だと説明した。この表現をはじめ、論文に含まれる複数の文言が多くの人の怒りを買い、ソーシャルメディア上で著者に対する反発の声があがっている。 「On Having Whiteness(『白人性について』)」と題されたこの論文の著者は、ドナルド・...

少年が母親のために自分を犠牲に…映画『ウオーターマン』の新しさ

<初監督作品のファンタジー『ウオーターマン』で、家族の愛と自己犠牲を描いたD・オイェロウォの挑戦> ファンタジー映画はハリウッドの定番ジャンルの1つだが、これまで真に多様性のあるストーリーを表現してきたとは言い難い。 しかし、『大統領の執事の涙』などで知られるイギリスの俳優デービッド・オイェロウォが初監督を務めた『ウオーターマン』(北米では5月7日に公開)がその状況を変えるかもしれない。 この映画は、家庭で過酷な日々を送り、ファンタジーの世界に救いを見いだす男の子ガナー(ロニー・チャビス)の視点で描...

市民の「殺害事件」を繰り返すアメリカ警察は、どんな教育で生まれるのか

<地域社会と市民を守りたくて警察官を志したはずの善良な人々は、いかにして組織内の教育で「変身」するか> 警察官の人格はいかにして形成されるのか。それを、理屈ではなく体で感じ取りたい。アメリカの首都ワシントン郊外にあるジョージタウン大学の法学教授ローザ・ブルックスはそう思い、2015年に首都の予備警察隊に志願し、その「沈黙の青い壁」の内側に飛び込んだ。 そこで見聞きし、考えたことを、彼女は新著『青い制服にこんがらがって(Tangled Up in Blue)』(ペンギン・プレス刊)にまとめた。この本に...

重大な変化の時?黒人男性死亡事件で警官に有罪判決

<黒人男性を死亡させた元警官に有罪評決が出た直後、バイデンは遺族に連絡をとり、国民に人種差別解消に向けた決意と警察改革を訴えた> 黒人男性ジョージ・フロイドを逮捕する際、首を膝で圧迫して死亡させたデレク・ショービン元警官に殺人を含む3件の有罪評決が出たこと受けて、ジョー・バイデン大統領は国民向けに演説を行い、フロイドの事件に抗議する昨年夏の全国的なデモを公民権運動と比較し、議会に全面的な警察組織の改革を迫った。 「あれは白昼堂々行われた殺人だった。全世界がアメリカ全土に蔓延する人種差別を目の当りにし...

韓国系移民の共和党候補が「中国系移民はアメリカに来るな」と発言

<下院補選への出馬に意欲見せるも、先輩の韓国系女性議員からは総スカン> トランプ政権で中小企業庁の高官を務め、今はテキサス州の下院補選に共和党候補として出馬を狙うセリー・キムが、中国からの移民の入国を拒絶すべきだと述べて物議を醸している。自分は韓国系だから、こうした発言をしても許される――そんな主張も行った。 キムは3月31日に行われた政治集会で、中国からの移民は新型コロナウイルスを持ち込む可能性があるため、アメリカへの入国を認めるべきではないと述べた。こうした主張は、アメリカでアジア系への差別が深...