「人道問題」の記事一覧

小林賢太郎批判の「人権団体」、反差別の矛盾が酷い──日本のメディアにも課題

ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)を揶揄するようなコントを過去に行っていたことで、東京五輪・パラリンピック開閉会式でのショーディレクターを解任された小林賢太郎氏。人類史上最悪の虐殺であるホロコーストを揶揄することは許されない、それは筆者も異論はない。ただし、本件についての報道のあり方については、いささか気になる点もある。それは、小林氏のコントへの反応に関して、「サイモン・ウィーゼンタール・センター」の声明を取り上げ、同団体を「人権団体」として紹介していることだ。 「人権団体」と紹介す...

アメリカで再浮上する移民危機、トランプの攻撃材料に

<コロナ対策で実績を上げたバイデン政権だが、移民対策に手こずれば中間選挙でトランプ派の巻き返しも> 米バイデン政権は就任以来、ワクチン接種拡大によるコロナ抑え込みで支持率を稼いでいるが、一方では、アメリカへの移住を目指す中南米出身者がメキシコとの国境になだれ込む「移民危機」が大問題になってきた。米民主党も危機感を募らせている。ジョー・バイデン米大統領がこの状況を速やかに打開できなければ、フロリダ州の別荘で不遇をかこつドナルド・トランプ前大統領が自分の移民政策は「正しかった」と主張し、4年後の政権復帰...

アメリカで再浮上する移民危機、トランプの攻撃材料に

<コロナ対策で実績を上げたバイデン政権だが、移民対策に手こずれば中間選挙でトランプ派の巻き返しも> 米バイデン政権は就任以来、ワクチン接種拡大によるコロナ抑え込みで支持率を稼いでいるが、一方では、アメリカへの移住を目指す中南米出身者がメキシコとの国境になだれ込む「移民危機」が大問題になってきた。米民主党も危機感を募らせている。ジョー・バイデン米大統領がこの状況を速やかに打開できなければ、フロリダ州の別荘で不遇をかこつドナルド・トランプ前大統領が自分の移民政策は「正しかった」と主張し、4年後の政権復帰...

中国進出企業は今すぐ撤退せよ

<中国では27の工場がウイグル人を使っており、82のブランドの製品や部品を製造している。強制労働に加担してはいけない。サプライチェーンを再構築し、消費者の信頼を勝ち取るべきだ> 最近の調査によると、中国に進出したドイツ企業の96%が今のところ撤退を考えていないという。理由は単純。儲かるからだ。ただ中国での事業展開にはリスクもある。 シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)」の2020年の報告書によると、2017年以降、中国の9つの省の27の工場が新疆ウイグル自治区出身のウイグル人を使っ...

中国のウイグル「虐殺」阻止、バイデンへの期待が高まる理由

<トランプ政権は弾圧を声高に非難したが、政治利用もしていた。中国との対話の可能性も探る米新政権は「文化的ジェノサイド」をどう止めるのか。その本気度を見極めるバロメーターがいくつかある> (本誌「バイデンvs中国」特集より) ジョー・バイデン新米大統領は、民主主義と人権を世界に広げることに力を尽くし、中国にもタフな姿勢で臨むと誓っている。中国共産党には悪いニュースだが、中国当局に弾圧されてきた少数民族と民主派活動家にとっては良いニュースだ。 バイデンがかつてのアメリカの読みの甘い対中政策、すなわち経済...

強要された? バングラ政府のロヒンギャ移住計画にきな臭さ

<ベンガル湾に浮かぶ無人島に10万人の難民を移住させるという当局の対応が示唆するのは...> 世界有数の人口密度の高さと土地不足に悩むバングラデシュにとって、隣国ミャンマーから流入したイスラム系少数民族ロヒンギャの扱いは頭痛の種。100万人が劣悪な環境の難民キャンプに暮らすなか、政府はベンガル湾に浮かぶバシャン・チョール島に難民10万人を移住させる計画を始めたが、人権団体などから懸念の声が上がっている。 無人だったこの島には居住区が建設され、12月4日に難民1600人が到着した。当局は事前に本人の同...

多様性と平等を重視するはずの国連高官は白人ばかり

<本部機関の上級ポストは欧米人に独占され、途上国出身者には平等なチャンスが提供されていない──世界で最も多様性に富んだはずの組織内部で不平等の実情が明らかに> 誰もが平等で、人種や民族で差別されない世界を目指す。それが国連の使命。だからこそ世界各地の民族独立運動を応援し、アメリカでは黒人の公民権運動を、南アフリカではアパルトヘイト(人種隔離政策)反対闘争を支援してきた。 しかし今、人種的な正義を求める運動が世界中で盛り上がるなかで、国連内部のお粗末な実情が明らかになってきた。職員、とりわけ幹部職の採...

溺死した男児の写真から5年──欧州で忘れられた難民問題

<溺死したクルド人男児の写真で目を覚ましたはずの欧州だったが、大きかった「特別な共感」は消え去ろうとしている。移民への反感を募らせる人々から抜け落ちた視点とは> たった一枚の写真が、世論を変えた。5年前の秋のこと。それまではヨーロッパに押し寄せる「人間の群れ」(当時の英首相デービッド・キャメロンの表現)呼ばわりされていた難民たちが、急に「特別な共感」の対象となった。 Relatives of iconic drowned Syrian refugee find a home https://t.co...

内モンゴルの小中学校から母語教育を奪う中国共産党の非道

<ウイグルやチベットに対する中国の人権侵害は国際社会に広く知られているが、内モンゴル自治区の実情はなかなか表に出てこない> 「モンゴル語はモンゴル人の一部。言語を失えば、民族のアイデンティティーを失う」。横断幕にはそう書かれていた。 中国北部の内モンゴル自治区政府は、この9月に始まる新年度から小中学校でのモンゴル語による授業を大幅に減らすと発表。これによって、語文(国語)、政治(道徳)、歴史の3教科が、標準中国語で教えられることになった。 この措置にモンゴル人の保護者が反発。新学期以降、子供を学校に...

無防備なシリア難民に迫る新型コロナの脅威──越境支援期間の終了で人道危機に拍車

<ただでさえ脆弱なシリア国内の医療体制だが、検査キットなど救命物資を届けるための越境ルートが断たれれば、コロナ拡大は破滅的な結果をもたらしかねない> シリアへの国境を越えた人道支援を継続するための国連決議2504号は、7月10日に期限切れを迎えた。国連安全保障理事会では先週、2つの決議案が採決されたが、結果はいずれも否決だった。 シリア北西部のイドリブ県では、新型コロナウイルスの最初の感染例が報告された。この地域ではロシアの支援を受けたバシャル・アサド大統領の政権軍が大規模な攻勢に出ている。このまま...