「外交」の記事一覧

英国は日本を最も重視し、「新・日英同盟」構築へ──始動するグローバル・ブリテン

<伝統的な世界国家に回帰しようという英国が、外交・安全保障の新たな方針を発表する。その要となるのはインド太平洋地域、そして日本との関係を同盟関係に引き上げることだ。同盟とはなにか。日本にとってどんな意味があるのか> 英国政府は3月16日、欧州連合(EU)離脱後の国家戦略「グローバル・ブリテン」に関する初めての戦略報告「Integrated Review(統合レビュー)」を発表する。 この報告は英国が過去50年にわたって欧州の安全保障に専念しながらも、いつか伝統的な世界国家に回帰しようと長期にわたって...

【ファクトチェック】肛門PCR検査は中国で義務付けられている?

<日本やアメリカからの入国者に対して中国が肛門PCR検査を実施したことに、驚きの声が上がっているが......> 中国の公衆衛生当局は、新型コロナウイルスのPCR検査で肛門にスワブを挿入して検体を採取する方法が最善と考えているようだ。呼吸器よりも消化器の方がウイルスの痕跡が長く残りやすいというのがその理由だ。 一方で、鼻や喉から検体を採取する従来の方法が最も効果的と考えている中国の病理学者もいる。 米ニューズウィークが今年1月後半に取材した時には、中国の医療の専門家はまだ、肛門検査の有効性について予備調査の結果を検討している段階だった。 ネットの風説 今週4日、ソーシャルメディアで中国の肛門PCR検査に対して驚きの声が上がった。 ツイッターではユーザー(@davenewworld_2)が「中国では肛門検査が義務付けられている。まるで『サウスパーク』の世界だ」と、コメントした(編注:『サウスパーク』は米ケーブルテレビチャンネル・コメディセントラルで放送されているコメディアニメ)。 Anal swabs are now mandatory in China. We're living in a South Park episode.— Fifty Shades of Whey (@davenewworld_2) March 4, 2021 肛門検査のファクト 北京、上海、青島など中国の一部の都市では、一部の外国人入国者に肛門検査を実施している。ロイターによると、対象となるのは感染拡大地域からの入国者や、同じ旅客機内で5人以上のコロナ陽性者がいるケース。 北京市の感染対策部門の職員は、中国共産党系メディアの環球時報に対して「北京を訪れる外国人は全て」鼻の検査に加えて肛門検査の対象になる、と話している。 これに対して日本とアメリカの政府は、自国民への肛門検査に異議を申し立てた。在中国の日本大使館は、肛門検査の「心理的負担が大きい」として、日本人入国者には行わないよう中国外務省に要請した。 先月にはアメリカの外交官も、肛門検査を受けて不満を申し出ていた。米国務省の報道官は「国務省はこのような検査手法に同意しておらず、米大使館職員がこの検査の対象になったことについて直接、中国側(外務省)に抗議した」と語った。米外交官への肛門検査は「間違って」実施されたという。 ===== 肛門検査は外国人入国者だけでなく、中国国民にも広範囲に実施されている。イギリスの新型コロナ変異株が中国国内で見つかった2月、中国国内では数百万人を対象に肛門検査が実施された。 しかし、鼻や喉から検体を採取する検査の方が簡便なため、肛門検査より広範に実施されている。 ファクトチェック判定 「肛門PCR検査は中国で義務付けられている?」 判定:半分、正しい。 中国は新型コロナの肛門検査を、一部の外国人入国者、そして一部の国民にも要求している。しかし肛門検査よりも簡便な鼻、喉の検体検査も依然として広く実施されている。 肛門検査は全ての状況で義務付けられてはいないが、現状で一般的に実施されている。 =====

RCEPは「中国のクーデター」と危機感を強めるアメリカ、世界貿易の欧米離れを止められるか

<トランプがぶち壊してきた多国間貿易の枠組みを見直し、CPTPPへの復帰を再考せざるを得なくなる> 11月15日、アジア太平洋地域の15カ国が世界最大規模の貿易協定に署名した。これにより、世界貿易の欧米離れと東アジアへのシフトがさらに加速すると予想される。この東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、2012年に中国の提唱によって始まり、その後なかなか交渉が進まなかったが、ドナルド・トランプ米政権が貿易保護主義を追求したことで、早期妥結の必要に迫られていた。アメリカはRCEPに参加していない。 RC...

中国政府のウイグル人弾圧をめぐって、国連で再び各国の攻防戦

<ドイツが他の国と共同で中国に人権尊重を要求、これに対してキューバなど中国擁護の国々が共同声明を表明> 少数民族ウイグル人に対する中国政府の強引な同化政策をめぐっては国際社会の対応が割れており、昨年夏には国連の場で、ウイグル人「弾圧」を非難する書簡と中国の方針を支持する書簡の両方が提出された。 今年も同様で、10月6日にはドイツの国連大使が中国に批判的な諸国と共同で「宗教的・民族的少数派の人権尊重」を要求。これにキューバが対抗し、親中国派の共同声明を読み上げた。 ただし中国を支持する昨年の公開書簡の...

対中デフォルト危機のアフリカ諸国は中国の属国になる?

<パンデミックでデフォルトのリスクにさらされる途上国。これは中国の思う壺なのか、それとも想定外の厄介な事態なのか> 中国は発展途上国に巨額の融資を行ってきた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で世界経済が悪化するなか、途上国はデフォルト(債務不履行)のリスクにさらされている。この状況は中国の思う壺なのか、それとも中国にとっても想定外の厄介な事態なのか。 中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が野心的な経済圏構想「一帯一路」をぶち上げたのは2013年だ。陸路と海上輸送路の整備を通じて、ユ...

イアン・ブレマーが説く「協調なき時代」に起きた米中対立の行方

<イアン・ブレマーが語る「コロナ後」「Gゼロ」の新世界秩序 前編はこちら> ポトリッキオ 私たちが向き合おうとしない難題がいくつもある。あなたはそれを一つ一つ指摘してきたわけだが、今の最大の問題は何だろうか。このパンデミックや国際秩序への対応に関して、私たちが見て見ぬふりをしている問題とは? ブレマー 最大の問題は、グローバリゼーションの道筋が変わったことだ。過去数十年でモノやサービス、人や思想、データが国境を越えるスピードはどんどん速くなってきた。それが問題を引き起こし、一部の人や国が置き去りに...

オーストラリア政府、外国の干渉めぐる裁判資料で「主導者は中華人民共和国の政府」と名指し

オーストラリアは同国初となる外国の干渉を巡る警察の捜査について、対象となっている国家が中国であることを裁判所資料の中で公式に名指しした。 この資料は豪政府弁護人が9月1日に連邦最高裁判所に提出。豪政治家に影響を及ぼそうとする陰謀疑惑の捜査の中心が中国となっているのを公式に認めたのは初めて。 豪連邦警察およびオーストラリア保安情報機構(ASIO)はこれまで、ニューサウスウェールズ州議員の事務所などを6月26日に捜索したことが中国と関係あるかどうかについてコメントを拒否している。ただ、中国と関係があるこ...

EUミシェル大統領「中国に利用されず」 首脳会談、習近平は「人権に関し指図受けず」と内政干渉拒否

欧州連合(EU)は14日、中国とオンライン形式で首脳会談を行った。ミシェル大統領は中国に「利用されない」と述べ、一段と公平な貿易関係を要求した。 ミシェル氏は会談後、記者団に対し「欧州には競技場ではなくプレーヤーが必要だ」とした上で、「われわれはもっと公平で、よりバランスの取れた関係を望んでいる。それは互恵関係と公平な競争環境を意味する」と語った。 ドイツのメルケル首相は、EU・中国間の投資協定の締結に向け、交渉を急ぐよう中国側に圧力をかけたと明らかにし、「全体として、中国との協力は互恵主義や公正な...

中国、尋問対象の記者帰国でオーストラリアを批判「大使館が法執行を妨害」

中国政府は10日、中国が尋問しようとしていたオーストラリア人記者2人を豪大使館がかくまい、2人が今週帰国したことについて、豪大使館が法の執行を妨害したと述べた。 中国の警察当局は先週、 オーストラリア放送協会(ABC)と経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューの記者に対し、出国禁止命令を言い渡した。中国に拘束されているオーストラリア人のジャーナリスト、チェン・レイ氏について尋問するためだったという。 2人は北京の大使館と上海の領事館に数日間避難した。豪外相によると、その間、豪外交官は中国当局...

安倍晋三は「顔の見えない日本」の地位を引き上げた

<中国にとっては嫌な指導者、アメリカにとっては安心できる指導者だった安倍晋三を惜しむ> たまたまだったのだろうが、日本の安倍晋三首相が辞意を表明したのは、連続在任日数が最長を記録したのと同じ週だった。 安倍は2007年にも首相の座を1度、下りているが、今回も辞任理由は前回と同じ持病の潰瘍性大腸炎だ。安倍は2012年に首相に返り咲いて以降、支持率の急落や低迷を続ける経済、森友学園への国有地売却を巡るスキャンダルなどにも関わらず、日本政界のトップに君臨するとともに、首相として10年近く、アメリカのゆるぎ...