「安全保障」の記事一覧

サイバー攻撃は従来と別次元のリスクに…核戦争の引き金を引く可能性は十分ある

<ロシア政府とつながりのあるハッカー集団によるサイバー攻撃が激化し、このまま行けば開戦の可能性も> 米政府機関などを標的にした空前の規模のサイバー攻撃が発覚したのは、2020年12月のこと。多くの政府機関や企業で利用されているソーラーウインズ社のネットワーク管理ソフトが狙われたのだ。この「ソーラーウインズ攻撃」のハッカーの糸を引いていたのは、ロシアの情報機関「SVR(対外情報庁)」だと考えられている。 ジョー・バイデン米大統領はこの5月、外国勢力によるサイバー攻撃に対する防衛体制を強化する大統領令に...

クアッドで中国は封じ込められない…「対中包囲網」には致命的な欠陥が

<確実に高まる中国の脅威。だが、インド太平洋地域でアメリカ頼みの包囲網に抑止力は期待できない> 二極化が著しい米政界だが、中国政策については党派を超えて大きなコンセンサスがある。中国をパクス・アメリカーナ(アメリカの力による平和)の最大の脅威と見なしていることだ。 対中強硬派として知られるトム・コットン上院議員など共和党のタカ派は、中国によるレアアースの輸出規制や軍備増強に、アメリカに対する野心が反映されていると警戒している。 右派は民主党が中国に甘いと評するが、ジョー・バイデン米大統領は就任前から...

バイデンが禁止令を撤回したWeChatがそれでも「要注意アプリ」な理由

<中国共産党の批判や民主化支持の投稿内容を検閲し、新型コロナ関連の情報検索を制限していることも明らかに> ジョー・バイデン米政権は5月9日、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」や通信アプリ「WeChat(ウィーチャット)」の利用を禁じていたドナルド・トランプ前政権の大統領令を撤回すると発表。同時にこれらのアプリを利用することによる安全保障上のリスクについて、独自に「証拠に基づく」分析を行うと表明した。 サイバーセキュリティサービスを提供するオンショア・セキュリティのステル・バラバニ...

欧州のインド太平洋傾斜・対中強硬姿勢に、日本は期待してよいのか

<英仏独がインド太平洋地域の安全保障に対する関心を高めている。EUは天安門事件以来となる対中制裁も採択した。しかし、欧州の態度が急変したというのは印象論。その本音はどこにあるのか> インド太平洋をめぐる欧州主要国の動きがあわただしい。 2018年にフランス、昨年9月にはドイツ、そして今年3月には英国と、欧州主要国がアジア戦略・世界戦略を相次いで発表し、その中でインド太平洋の安全保障を強調している。 この8月からはドイツのフリゲート艦が日本を含む東アジアに寄港する予定だし、5月からは、建設費30億ポン...

韓国「二面相」外交

4月3日、日米韓の安保担当高官がアメリカで対面協議を行ったが、同日、韓国外相が訪中し王毅外相と会談した。3月の米韓「2+2」で中国名指し批判を断った韓国の二面相ぶりと習近平の戦略を考察する。 日米韓の安全保障担当高官がアメリカで 日本時間の4月3日、日米韓3か国の安全保障担当高官がアメリカのメリーランド州にある海軍士官学校で対面式の協議を行った。日本からは北村国家安全保障局長が、韓国からは徐薫(ソ・フン)国家安保室長が出席し、アメリカのサリバン大統領補佐官と話し合った。協議では、北朝鮮の非核化や朝鮮...

クアッドで議論されるべき人民解放軍の本当の脅威

<中国は軍備増強と兵器システムの刷新を進めているが、軍内部には脆弱性も抱えている> 中国の潜在的な脅威を視野に入れた非公式な対話の枠組み「日米豪印戦略対話」(クアッド)の初の首脳会談がオンライン形式で米東部時間の3月12日に開催される予定だ。 会談に先立ち、デービッド・フィリップ米インド太平洋軍司令官が3月9日に米議会で行なった証言が注目されている。 とりわけ国境地帯で中国と小競り合いが絶えないインドにとっては、ヒマラヤのラダック地域の複数の拠点に中国軍が居座り続けているというフィリップ司令官の証言...

イージス・アショア洋上設置案、建造費が陸上の2倍以上 運用開始は3年以上遅れ

日本の防衛省が洋上への設置を検討している迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」について、もともとの陸上配備案に比べて2倍以上の建造費がかかる可能性があることが分かった。運用開始も最長3年遅れるという。事情に詳しい関係者が明らかにした。 北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を繰り返す中、日本は秋田県と山口県の陸上自衛隊駐屯地にイージス・アショアを1基ずつ配備することを決定。要となるレーダーには米ロッキード・マーチン製を採用した。 しかし、発射した迎撃ミサイルのブースターを安全な場所に落下させられない恐れが...

東南アジア外遊の菅首相「南シナ海の緊張を高める行為に反対」 中国想定した安保同盟には慎重姿勢

インドネシア訪問中の菅義偉首相は21日の記者会見で、自由で開かれたインド太平洋を実現する決意を新たにしたと述べ、中国をけん制した。日本とインドネシアを結ぶ海上交通路でもある南シナ海で緊張を高めるいかなる行為にも反対すると強調した。 インド太平洋版のNATOを作る予定はないとして、中国などを念頭に置いた安保上の同盟には慎重姿勢を示した。 新型コロナウイルス感染拡大で日本の製造業のサプライチェーンの脆弱性が明らかになったため、強靭化を目指すとして、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国への生産拡大を支援す...

安全保障は安倍路線を引き継がない……菅外交の不透明なこれから

<外国首脳とすぐに打ち解けるタイプではなく、安全保障上の制約打破を目指した安倍前首相のような欲求もない。菅の登場で米中はどう動く?> 日本の新首相となった菅義偉は、農家出身の地味な政治家。政策面では、前任の安倍晋三の路線をほぼ継承するとみられている。 しかし安全保障政策については、日本の防衛力を高めるために安倍と同様の努力をするとは限らない。安全保障面で日本の姿勢はどう変わるのか。中国やアメリカはこの点に注目している。 菅は安倍のように政界の名門の出ではない。国際舞台でおなじみの顔になった安倍とは違...

オーストラリア政府、外国の干渉めぐる裁判資料で「主導者は中華人民共和国の政府」と名指し

オーストラリアは同国初となる外国の干渉を巡る警察の捜査について、対象となっている国家が中国であることを裁判所資料の中で公式に名指しした。 この資料は豪政府弁護人が9月1日に連邦最高裁判所に提出。豪政治家に影響を及ぼそうとする陰謀疑惑の捜査の中心が中国となっているのを公式に認めたのは初めて。 豪連邦警察およびオーストラリア保安情報機構(ASIO)はこれまで、ニューサウスウェールズ州議員の事務所などを6月26日に捜索したことが中国と関係あるかどうかについてコメントを拒否している。ただ、中国と関係があるこ...