「教育」の記事一覧

日本は事実上の「学生ローン」を貸与型の「奨学金」と呼ぶのをやめるべき

<国際統計では給付型「スカラシップ」と貸与型「学生ローン」は明確に分けられているが、日本では両方とも「奨学金」と呼ぶことで誤解を生んでいる> 2019年春の大学入学者は63万人。同世代の半分が大学に行く時代だが、これだけの若者を受け入れる大学は、いわゆる入試難易度によって階層化されている。進学希望者のほぼ全員が入学できる大学全入時代に伴う諸問題は、こうした階層構造の下の方の大学に集約(凝縮)されている。 筆者は入試難易度が「中の下~下」の私大で10年間教えたが、このレベルの私大だと「ひとまず大学を出...

公立学校の授業に感じた「悲惨さ」の正体 日本の教育スタイルはこのままでいいのか

コロナ禍をきっかけに、私たちの生活や仕事などいろいろな面で見直しが行われている。この機会に、小中学校の授業のあり方も見直す必要があると思う。なぜなら、日本でずっと行われてきた授業スタイルの"限界"が明らかになっているからだ。 コロナ禍でますます開く学力格差の問題点 日本では、1学級最大40人の児童・生徒の集団に対して、1人の先生が一斉授業を行うというスタイルが基本だ。こういった授業でいちばん問題なのが、児童・生徒たちの学力格差が非常に大きいということだ。 とくに、算数・数学の授業でそれが顕著だ。公立...

「素手でトイレ掃除」を美談にする日本の不思議さ ドイツ出身の私が驚いた「異常すぎる校則」

ドイツで教育を受けた筆者が日本の中学校の校則を知って衝撃を受けた理由とは? 日独ハーフコラムニストのサンドラ・へフェリン氏の新刊『体育会系 日本を蝕む病』から一部抜粋・再構成してお届けする。 前回記事は、小学校で気をつけたい体育会系的な懸念事案としてピラミッドや組体操を例に書いてきましたが、生徒を校則などで縛りつけ服従させるという点においては小学校よりも中学校のほうが深刻です。 中学校でやらされることの多くは軍隊的なイメージを伴っています。思春期になり自我が芽生え始めている子たちを、「上からむりや...

米当局、ヨーロッパからの留学生を入国制限の適用除外に

米国務省は16日、議員宛ての文書で、新型コロナウイルスの世界的大流行を受けて実施した海外からの入国制限について、欧州からの留学生を適用除外にする方針を明らかにした。 同省はまた、オペア(ホームステイ先から家事手伝いの報酬を得て学ぶ留学生)や米国のビザ保持者の家族についても、一部を入国制限の適用除外にするとした。ロイターは同文書を閲覧した。 トランプ政権は入国制限の段階的な解除に動いており、今回示した方針はその一環。トランプ大統領は3月に、欧州で新型コロナ感染者が急増したのを受け、欧州の大半の国々から...

少子化で子どもは減っているのに、クラスは相変わらず「密」な日本の学校

<国際比較で見ると、1学級に多くの生徒を詰め込む日本の学校の問題は何ら解消されていない> コロナ渦で長らく休校していた学校が再開されている。「密」を避けるため分散登校をさせている自治体が多いが、1学級当たりの子どもの数があまりに多いと、その効果も限定的になる。これは、教育行政の姿勢に関わることだ。 かつては、40~50人学級というのがザラだった。1955(昭和30)年の1学級あたりの児童・生徒数を出すと、公立小学校は43.8人、公立中学校は46.4人だ。これが時代と共に少なくなり、2016年では公立...

「かくて私は教授を『クビ』になった」大月隆寛、地方大学の窮状を語る

<民俗学者の大月隆寛氏が本誌に緊急寄稿。札幌国際大学を「懲戒解雇」された経緯と、経営難が続く地方大学が抱える問題とは> 勤めていた大学から「懲戒解雇」を申し渡された。北海道は札幌にある札幌国際大学という、今年で創立51年目になる小さな私大だ。地元の人たちには前身の静修短期大学という名前のほうが今でも通りがいいかもしれない。 こういう地方の私大のご多分に漏れず近年は定員割れが続き、わらにもすがる起死回生の策ということだったのだろうか、2019年度から外国人留学生を大量に入れるようになった。 ところが、...

コロナ禍における遠隔教育──新型コロナウイルスで教育のICT化は進むか

<一斉休校で進むと思われた遠隔教育の導入だが、オンライン教材を活用した学習指導を実施した自治体は3割にも満たないことが分かった。その要因は何か> *この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2020年6月26日付)からの転載です。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月に政府が一斉休校の判断を行ったことから、児童生徒の学ぶ環境は激変した。そのなかで、児童生徒の学びの機会を確保するための方法の一つとして遠隔教育が注目を集めている。 本稿では、(1)新型コロナウイルスの感染拡大以前の遠隔教育に関する取組...

ハーバードとMITがトランプ政権を提訴 留学ビザ規制差し止め請求

トランプ米政権が今秋からの新学期にオンライン授業のみを履修する留学生に滞在を認めない方針を打ち出したことを受け、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)は8日、新規則の一時的な差し止め命令を求める訴訟をボストン連邦地方裁判所に起こした。 ハーバード大のローレンス・バコウ学長は電子メールで「われわれの留学生および全国の教育機関に在籍する留学生が強制退去の脅威にさらされることなく引き続き勉学にいそしむことができるよう、精力的にこの訴訟を推し進めていく」と述べた。 新規則に対する訴訟は今回が初め...

米移民局、オンライン授業のみ履修する留学生に滞在認めない方針

米移民・関税執行局(ICE)は6日、今秋からの新学期にオンラインの授業しか履修しない外国人留学生には米国内の滞在を認めないと発表した。 ICEは、新学期の授業を完全にオンラインで行う学校の留学生について、出国するか、もしくは対面授業を行う別の学校に転校する必要があるとし、従わない場合は強制退去の手続きを行う可能性もあるとしている。 対象となるのは学生ビザ「F─1」と「M─1」の保持者。対面で授業を受ける留学生は影響を受けない。一部の授業をオンラインで履修するF─1ビザ保持者も、大学の証明があれば引き...

教師がキャリア教育まで担当する、日本の学校は世界でも特殊

<将来の職業について考えさせるキャリア教育は専門のカウンセラーが担当するのが世界では一般的だが、日本はその標準からまったく外れた特殊な事例> 2000年代になって、フリーターやニートなど若者の就労状況が問題化して以降、学校ではキャリア教育が重視されるようになっている。2011年には中央教育審議会が「今後のキャリア教育・職業教育の在り方について」という答申を出し、キャリア教育の概念、各学校段階での指導内容等が明確にされた。 キャリア教育とは、職業的自立に必要な能力や態度を育むことだ。将来への見通しを持...