「教育」の記事一覧

ドリブルデザイナーになり、全てを手に入れた岡部将和は「夢ノート」を書いていた

<プロサッカー選手にはなれなかったが「挫折はしていない」――。今や日本代表選手にも指導を行うドリブルデザイナーが、初めて子供に向けた「マンガ本」を出した。少年少女たちに、自分の武器を見つけ、夢をかなえてもらうために> ドリブルデザイナー、岡部将和──。 あるいはその職業も名前も、初めて耳にしたという人がいるかもしれない。しかし、サッカー界で、とりわけ将来のプロサッカー選手を夢見る子供たちとその親の間では、かなり名の知れた人物だ。 現在、YouTubeをはじめとしたSNSのフォロワーは約240万人(子...

年々生徒数が増加する通信制高校が担う新たな役割

<もともとは勤労青年のための教育機関だが、近年は不登校生徒の受け皿や成人の学び直しの場にもなっている> 制度の上では義務教育は中学校までだが、高校進学率が95%を超えている現在、高校までの教育は普遍化していると言っていい。この段階までの教育機会は公的に保障しようということで、修学支援も充実してきている。私立校の学費も、低所得世帯では実質無償だ。 高校は全日制・定時制の他に通信制課程もある。学校に登校せず、通信教育を受けながらレポートの提出等で単位を取得していく課程だ。全日制・定時制の生徒は1999年...

親の働く姿を見ていないために、職業へのイメージを持てない日本の子どもたち

<日本では、父親の職業を知らない生徒、将来の志望職が明確でない生徒が他国と比較して多い> 昨年12月の第一生命の調査によると、小学生男子の志望職1位は「会社員」となっている。例年はユーチューバー、スポーツ選手、プロゲーマーなどが挙がるのだが、会社員という現実的な回答が首位にくるのは珍しい。 コロナ禍で在宅勤務が増え、親が働く姿を目の当たりにすることが多くなったためだろう。「百聞は一見に如かず」というが、子どもは特にそうだ。職住一致(近接)は、子どもの職業観の形成に寄与する「隠れたカリキュラム」と言っ...

放任型は強盗・恐喝、溺愛型は強制性交・わいせつ……少年非行と親子関係の強い関連

<非行の罪状と家庭環境の関係を見ると、親の養育態度で傾向が違うことがわかる> 非行は家庭環境と密接に関連すると言われている。血縁による一次集団としての家庭は、子どもの人格形成に強い影響を及ぼすからだ。 父親がいないなどの外的な形態面を見るだけではなく、内部の親子関係の状態にまで目を向けなければならない。家庭における子どもの人格形成は、血がつながった親子間の相互作用を通してなされる面が強い。とりわけ重要なのは、上位の立場にある親が、どのような態度で子どもに接しているかだ。 少子化が加速度的に進行してい...

成績不良が非行に繋がる割合は、70年代より今のほうが高い

<大学進学率が過半数を超えた現在の日本は、学業不振と非行の因果関係が昔より強くなっている> 未成年者による法の侵犯行為は非行と言うが、それが起きる過程は3つに分けられる。①生活態度が不安定化する過程、②非行を誘発しそうな環境に遭遇する過程、③行為が非行として当局に認知される過程、だ。少年を非行に押しやる過程(push)、非行に引き込む過程(pull)、行為が事件化する過程(recognize)、と言い換えてもいい。 非行防止の上で特に注意しないといけないのは、最初のプッシュ過程だ。思春期にもなれば子...

日本の高学歴女性は未婚率が高いが、特にその傾向が強い地方は……

<九州各県では大卒女性の未婚率が高く、女子の大学進学率が低い傾向が顕著に見られる> 未婚化が進んでいるが、その対策を図るうえでは、どういう人が未婚にとどまりがちかを知らなければならない。身も蓋もないが、男性の場合は低学歴・低収入といった属性の人だ。30〜40代男性を学歴別に分け、未婚者のパーセンテージを計算すると、中卒は34.4%、高卒は32.2%、大卒は27.5%、大学院卒は37.3%となる(総務省『就業構造基本調査』2017年)。大学院卒が大卒より比率が上がるのは、いわゆる高学歴ワーキングプアが...

不登校はもう問題行動ではない 情報化社会で変わりゆく学校の役割

<学校が「聖域」ではなくなった今、学校でしかできないことを説明できなければ子どもを呼び戻すことはできない> 日本の文科省は毎年、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」を実施し、結果を公表している。問題行動の公的統計といったらコレだ。 メディアでは、いじめの件数に注目されることが多い。毎年過去最多を更新しているが、これはいじめの把握に本腰が入れられているからだ。いじめの認知件数が、学校側の把握の姿勢に左右されるのはよく知られている。都道府県比較をしている記事を見かけるが、あまり...

日本の小学生のスマホ所持率が、貧困層と富裕層の両方で高い理由

<低所得層には一人親世帯が多く、高所得層には共稼ぎ世帯が多いため、子どもに連絡手段として持たせていることも考えられる> 未来社会を言い表す言葉として「Society 5.0」がある。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会のことだ(内閣府)。 生産・流通・販売、交通、健康・医療、金融、公共サービス等の幅広い産業構造の変革、人々の働き方やライフスタイルの変化を伴うのは必至で、スマホといった情報機器が生活に...

新卒1カ月で無職になった彼女を、Forbes選出の起業家に変えた1冊の本

<女子中高生向けIT教育などを手掛け、起業家として活躍するWaffleの田中沙弥果CEOだが、新卒入社した会社を辞め、再就職もできず苦しんだ時期もあった。そんな彼女には「人生を作る1冊」になった、20歳の時に出合った本があるという> 田中沙弥果(さやか)さんには、20歳の時から、ずっと読み続けている本がある。スタンフォード大学工学部教授のティナ・シーリグによる『20歳のときに知っておきたかったこと――スタンフォード大学集中講義』(CCCメディアハウス、2010年刊行)だ。 一般社団法人Waffleの...

飛び級、落第を許さない日本の「横並び」主義が生む教育の形骸化

<ヨーロッパは「内容を理解していないのに進級させるのは可哀想」と考えるが、日本は「下の学年と机を並べさせるのは可哀想」と考える> 現在、文科省の中央教育審議会が令和の学校教育の在り方について審議中で、間もなく最終答申が出される見通しだ。 答申の素案を見ると、令和の学校で実現すべき子どもの学びは、「個別最適な学び」と「協働的な学び」に分けられるとされている。後者は人との関係やリアルの体験を通して学ぶ集団学習で、日本の学校が得意とするところだ。前者は個々人のペースに応じた学びで、外国人の子や発達障害児な...