「日本外交」の記事一覧

クーデター直前にスーチー氏と国軍トップと会見した日本のODAビジネスの黒幕 狙いは何か?

<日本政府はミャンマーに関して「国軍とスーチー氏の両方にパイプを持つ強みを生かす」と言うが、それはビジネスになるならどちらの政権でも構わないという意味だった> 小雨に煙る東京・千代田区の「日本ミャンマー協会」前で14日、「軍事的企業との連携を直ちにやめろ」と叫ぶミャンマー人らのデモがあった。協会の渡邊秀央会長は、日本のODA(政府開発援助)ビジネスの黒幕とみられているからである。渡邊氏の大物ぶりは、2月1日のクーデター直前にアウンサンスーチー国家顧問とミンアウンフライン国軍総司令官と相次いで会ってい...

ウイグル人権問題、中国に牛耳られる国連

日米首脳会談の共同声明でウイグル等の人権問題に関し「懸念」を盛り込むらしいが、国連が機能しなくなった今、民主主義国家が連携して行動するしかない。中谷元防衛相等が主張する「人権侵害制裁法」が不可欠だ。 中国に国連を牛耳られた民主主義国家の悲惨 国連の重要な決議機関が中国などの独裁国家によって牛耳られているため、人権を守るための決議を出すことができず、民主主義国家の意思が反映できない状況に陥っている。 たとえば、ミャンマー軍は4月9日、ヤンゴン在住の若者ら19人が先月の国軍記念日に発生した軍幹部の殺害な...

「日本のお金で人殺しをさせないで!」ミャンマー国軍支援があぶり出した「平和国家」の血の匂い

<日本が本当に「平和国家」なら、今こそその精神に忠実であってほしいとミャンマー人は訴える> 「日本のお金で人殺しをさせないで!」──国軍クーデターから2ヶ月後の4月1日、外務省前で行われた「ミャンマーの平和と民主主義を求める集会」で、在日ミャンマー人が手にしていたプラカードである。この呼びかけは私に、日頃気づかなかった日本の平和にひそむ血の匂いをかぎ取らせてくれた。それとともに、「国際社会において名誉ある地位を占めたい」と記した日本国憲法前文の「平和」の実現に何が必要なのかを考えさせられた。 「人間...

日本の対ミャンマー政策はどこで間違ったのか 世界の流れ読めず人権よりODAビジネス優先

<ODAは軍政を民主化へと前進さていくために供与している、という日本政府の主張はやはり欺瞞だった> ミャンマーと日本にかかわる古くて新しい話をつづけたい(前回は「繰り返されるミャンマーの悲劇 繰り返される『民主国家』日本政府の喜劇」)。自国民だけでなく、世界中から爪はじきされている国軍に対して日本政府が毅然たる姿勢をしめせない理由を理解するには、戦後日本のアジア政策にまでさかのぼる必要があるからだ。そこで見逃せないのが、各国の開発独裁政治に果たしたODA(政府開発援助)の役割である。 アジアの開発独...

茂木外相は王毅外相に、本当は何と言ったのか?

日本の報道によれば5日、茂木外相は相当に厳しいことを言ったことになっているが、中国の正式報道によればその逆で相当に中国寄りだ。来週の日米首脳会談の対中強硬本気度が問われる。 日本の外務省の報道 4月5日午後18時、茂木外相は、王毅外相(兼国務委員)と1時間半にわたって電話会談を行った。日本の外務省の報道によれば、概ね以下のようになっている。 1.両外相は、来年の日中国交正常化50周年に向けて幅広い分野で交流・対話が進むことを期待した。 2.茂木外相は中国海警による尖閣領海への侵入、中国海警法、南シナ...

繰り返されるミャンマーの悲劇 繰り返される「民主国家」日本政府の喜劇

<ミャンマー軍に対する厳しい制裁に踏み切れない日本政府は軍政の「共犯者」だ> ミャンマーの国軍クーデターから2ヶ月。この政変が起きた2月1日の本サイトで、私は「日本政府は今度こそ民主化支援を惜しむな」と書いた。政府はこれまで、同国の民主化を支援するという空念仏を唱えるだけで、事実上軍政の延命に手を貸してきた事実を知っていたからである。だが、私の期待は裏切られたようだ。民主化運動への国軍の弾圧は残虐化するいっぽうなのに、「民主国家」日本の政権担当者は国軍「非難」の談話などを出すだけで、欧米諸国のような...

日米豪印クアッドはワクチン外交で対中国の反転攻勢へ

<途上国へのワクチン提供は中国との競争力争いでは目覚ましい成果だが、バイデン政権の次の一手は難しい> 3月12日、史上初めて日米豪印4カ国の首脳協議がテレビ会議形式で開かれた。 バイデン米大統領の呼び掛けにより、日本の菅首相、インドのモディ首相、オーストラリアのモリソン首相が参加した。このインド太平洋地域4カ国の枠組み(通称「クアッド」)は、2006年に日本の安倍首相(当時)が提唱したが、その後立ち消えていた。 今回の首脳協議では、この枠組みのもともとの主眼だった海洋安全保障の問題に加えて、新型コロ...

習近平国賓来日は延期でなく中止すべき

政府は習近平の国賓招聘を再延期するようだが、延期ではなく中止すべきだ。全世界をコロナ禍で苦しめている事実だけでなく、尖閣諸島領海侵犯、海警法制定などを容認したことになり、中国への応援につながるからだ。 コロナ禍をもたらした中国の情報隠蔽体質 2020年1月27日のコラム<「空白の8時間」は何を意味するのか?――習近平の保身が招くパンデミック>や2020年1月31日のコラム<習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす>で書いたように、習近平国家主席はWHOテドロス事務局長とタイアップして全世...

米中関係は「多次元方程式」に、日本外交のサバイバル戦略は?

<バイデン政権発足で多次元かつ重層的になる米中関係──菅政権が生き残るためにすべきことは両国間のバランス取りではない> (本誌「バイデンvs中国」特集より) 中国がアメリカの「戦略的競争相手」の筆頭になって久しい。されど、バイデン新政権の対中政策に関する識者の見方は割れている。オバマ政権時代の苦い記憶からか、ジョー・バイデン新大統領は「中国に甘い」とみる向きもあるが、ちまたでは「米中の対立基調はトランプ政権時代と変わらない」とする声のほうが多いようだ。もちろん、こうした分析は一般論としては正しいのだ...

日米豪印「クアッド」に走る亀裂──多国間連携で「反中国」より大事なこと

<アメリカとインドでは与党が民主主義の制約に反発し、利益追求を活動の基本とみなしている。ポンペオ米国務長官はクアッドを「共通の価値観を持つ活気に満ちた多元的な民主主義国家」で構成されていると語ったが> 米カーネギー国際平和基金のアシュリー・テリスは9月下旬、インドのニュースサイト「ザ・プリント」でまっとうな説を展開した。インド政府が今後も国のリベラルな性格を損なう政策を取り続けるなら、他の民主主義国との連携が難しくなるだろうというものだ。 テリスの主張には、もう1つ加えるべき要素がある。10月初めに...