「日本」の記事一覧

日本人は本当の「休み方」を知らない──変われないのはなぜか

<働き方改革が進むなかコロナ禍で在宅勤務が拡大──「働く」と「休む」の境界線が問われている。本誌4月21日号「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集より> イタリア出身で在日15年になる女性(39)は、日本の大学院を卒業後、日本の翻訳会社に就職した。主な業務は、日本の企業が発注する技術翻訳の下請け。この業界はクライアントの力が強く、厳しい条件を突き付けられても引き受けざるを得ないことが多い。結果、残業も土日出勤も日常茶飯事。夜は9時に退社できればいいほうで、家に仕事を持ち帰ることも当たり前だった。...

「私の20年を返してほしい」53歳ひきこもり女性──8050問題をめぐる家族の事情

<病気の姉を罵り、止めに入った母親に暴力を振るうひきこもり女性の言い分。だが中高年ひきこもり問題は、ただこうした人たちを否定するだけで済むような問題ではない> 2019年5月に起きた「川崎市登戸・無差別殺傷事件」、そして翌月の「練馬区・元農水事務次官による長男殺害事件」がきっかけとなって、「8050問題」に注目が集まるようになった。 「8050問題」とは何か、『8050問題――中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語』(黒川祥子・著、集英社)の著者は次のように解説している。 文字通り、80代の親が50...

食と健康の時代に答えをくれるのは「日本」

<発酵食品文化や食材への敬意――。日本料理はコロナ危機でさらに発展し、世界に広がるだろうと、NYの著名フレンチシェフ、デービッド・ブーレイは言う。本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より> ニューヨークの著名フレンチシェフ、デービッド・ブーレイ(66)は早くから和食の要素を取り入れ、食と健康の関係も研究。2016年には日本政府から「日本食普及の親善大使」に任命された日本通だ。新型コロナウイルスで大打撃を受けているニューヨークから、ジャーナリスト・北丸雄二のインタビューに答えた。 ◇ ◇ ...

コロナ禍を機に観光業を「解毒」せよ(アレックス・カー)

<観光客の数ばかり重視した対応から、節度と品格を守る健全な産業へ変革する方法とは? 本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より> 中国では、2000年以上前から「錬丹術」が存在していた。辰砂(しんしゃ)などから水銀やヒ素を錬成し、それらを含む「金丹」を飲むことで不老不死の仙人になると信じられていた。実際は水銀とヒ素は猛毒物質で、飲んだ人は苦しみながら毒死する。 しかし、死後に毒が身体中に回って死体の腐敗を遅らせる。この時間差を不老不死と思い込み、錬丹術の流行はさらに拍車が掛かり、数え切れな...

ローテク日本が休校・休業コロナ対策を困難に

IT先進国であるはずの日本の日常は、実はローテクに満ちている。休校時のオンライン授業やオンライン医療の立ち遅れだけでなく、ハンコ文化がテレワークを阻んでいる。米メディアの報道を引用しながら考察する。 ロサンゼルス・タイムズがlow-tech Japanを批判 4月26日のロサンゼルス・タイムズは"In low-tech Japan, working from home amid coronavirus outbreak is a challenge"(コロナ真っ只中の在宅勤務は、ローテク日本にとって...

ロバート キャンベル「きれいな組織図と『安定』の揺らぎ」

<電子媒体で「多声化」する打ち合わせ――。コロナ禍を機に日本社会は変わるかもしれない。日本文学研究者で国文学研究資料館長のキャンベル氏による、本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集への寄稿より> それなりに人数の多い研究所の館長を務めている。わたくしは館長というよりも艦長みたいに、今年の3月は静かな海が戻るまで甲板の上にずっと立っていたかった。 職員が在宅勤務をするために館内ネットワークへのアクセスを確保することや、全員の通信環境が在宅に耐えられるかを確認すること、どうしても出て来なければ...

『深夜食堂』とこんまり、日本人が知らないクールジャパンの可能性

<これらはたまたまヒットしたのではないし、アニメ・漫画・ゲームだけが日本の強みでもない。外出できず世界が苦しむ今こそ、日常の中にある日本のカルチャー・コンテンツが必要だ。本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より> 片付けコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり)さんが書いた本『人生がときめく片づけの魔法』が世界40カ国で翻訳出版され、ネットフリックスのドキュメンタリー『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』も世界で大ヒットを果たした。 ドラマ『孤独のグルメ』と『深夜食堂』は、私の母国...

休業補償、中国の場合

安倍政権は80%の外出自粛を呼びかけながら休業補償と抱き合わせではないため多くの日本国民を苦しめている。コロナ感染拡大から抜け出した中国では、企業活動停止指示に伴い、どのような補償をしたのかを考察する。 封鎖翌日(1月24日)に発布した休業補償通知 中国では1月23日に武漢閉鎖を断行し、武漢以外の湖北省の各都市や他の少なからぬ地区に対しても移動制限や企業活動の停止あるいは外出禁止などに踏み切っている(医療支援物資製造や生活インフラを確保する国有企業は特殊条件下でフル稼働したことは『FISCO 株・企...

スマホは使うがパソコンは苦手──コロナ禍で露呈した日本の労働力の弱点

<日本は新型コロナウイルスの危機を、労働生産性の向上を促すカンフル剤とすべきだ――。本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より> かつての日本は、ハイテクの国であった。ところが現在ではIT化が遅れ、労働生産性もイタリアやスペインといった南欧諸国より低い。 日本は高齢化による若年男性労働者数の減少を高齢者と既婚女性のパート就業率を高めることで対処したので、労働力の質が下がり、労働生産性が落ちたという人もいる。しかし、やはり超高齢化が進むドイツは日本同様、高齢男性と既婚女性のパートタイム労働の...

新型コロナ:ECMOの数より、扱える専門医が足りないという日本の現実

<日本にはECMOを専門とする医師はかき集めても60人しかいない。新型インフルエンザでは、ECMOを使って治療した患者群の救命率は日本はイギリスの2分の1だった。日本におけるECMO治療の現状と限界とは。(4月21日発売の本誌4月28日号「日本に迫る 医療崩壊」特集より)> 新型コロナウイルス患者の「最後のとりで」とされるのが、ECMO(エクモ)と呼ばれる体外式膜型人工肺だ。日本におけるECMO治療の実情について、栃木県・済生会宇都宮病院の救命救急センター長で、日本集中治療医学会「ECMOnet」の...