「日本」の記事一覧

中国政府「飯圏(ファン・グループ)」規制の真相

中国政府による「飯圏」規制を、日本では「思想統制」とか「文革への逆戻り」などと解説しているが、笑止千万。飯圏はアイドルへの狂信的な十代前半のファンの心を操り暴利をむさぼっている闇ビジネスの一つだ。 「飯圏(ファン・チュエン)」とは何か? 「飯圏」の「飯」は中国語では[fan](ファン)と発音し、日本語の「ファン」を音に置き換えたもので、「飯圏」とはアイドルを追いかけるファンたちのグループ」のことだ。 日本の動漫(動画や漫画)が80年代に中国を席巻したように(参照:拙著『中国動漫新人類 日本のアニメと...

なぜ中台の緊張はここまで強まったのか? 台湾情勢を歴史で読み解く

<米中対立の狭間で「最も危険な場所」とされる台湾。大国に翻弄され生き残った歴史は今の複雑な地域情勢につながっている> 「台湾史」はいつから始まったのか。この問題を語ろうとするだけで、台湾では猛烈な論争が起きる。 日本史の始まりは、天照大神(あまてらすおおみかみ)だろうが、邪馬台国だろうが、一本しかない歴史の起点がどこにあるか、という問題にすぎない。ところが台湾の場合、事情が違ってくる。台湾史をめぐり、時間軸も地理も全く異なる複数の歴史観が存在するからだ。 1つは、台湾が世界の舞台に登場した400年前...

台湾緊張、飛来した中国機の数だけでなく編成が物語る本気度

<日本近海で民主主義陣営が合同演習を繰り広げるなか、中国軍機が大挙して台湾の防空識別圏に進入> 台湾はここ数十年で「最も厳しい」状況に直面している──過去最多に上った中国軍機の接近を受け、台湾の国防トップがそう警告を発した。 今月に入り中国軍機は4日連続で台湾沖の上空を飛行。10月4日には過去最高の56機が飛来し、台湾に揺さぶりをかけた。飛行したのは国際空域だが、台湾国防軍は挑発行動のエスカレートを警戒している。 台湾の邱国正国防部長(国防相に相当)は議会で10月6日、中台間の緊張の高まりは「私が軍...

河野太郎に好意的な中国──なぜなら「河野談話」否定せず

河野太郎氏は女系天皇や原発で「豹変」したと日本では報道されているが、中国では「河野談話」を否定しなかったことに注目し、非常に好意的だ。その実態と、日本に及ぼす影響に関して考察する。 日本の報道:脱原発と女系天皇容認を封印 自民党の河野太郎氏(行政・規制改革大臣)が9月10日、自民党総裁選への立候補を正式に表明した。 9年前から自身のブログで訴えてきた「脱原発」エネルギー政策については、持論を封印して、原発再稼働を当面容認する考えを示し、「安全が確認された原発を当面は再稼働していくことが現実的だ」と述...

失敗学の研究者が見た、日本人の「ゼロリスク」信奉

<「信者」を減らさないと、日本の将来は暗い。東京五輪を機に、チャンスとリスクを議論して判断できる日本へと変わるべきだ> 人間は何かを行う前に、「チャンス」と「リスク」を秤(はかり)に掛けて判断する。東京五輪では、選手が国民に感動を与えることがチャンスで、試合場の選手団や観客から新型コロナウイルスが広がるのがリスクである。 しかし、テレビや新聞はリスクだけを報道し、秤に掛けるような議論は進まなかった。結局、時間切れで中止にはならず、IOC(国際オリンピック委員会)にいいように引き込まれて大会は始まった...

コロナ禍で考えた日本人の正義感と「他人への忍耐の強要」

<名古屋入管でのスリランカ女性死亡事件やコロナ禍の「自粛警察」を見て、日本人の正義感について考えさせられたが......> 文化摩擦という現象は研究していて心が弾むものではない。そもそも、文化摩擦と呼ばれる現象の多くは、互いの文化特有の物の考え方や見方をめぐる独断や理解不足などが原因とされる。日本を訪れた外国人に日本人のイメージを尋ねると、 優しい、親切、真面目といったプラスのイメージのほか、人見知りとか冷たいというマイナスのイメージも聞かれる。 なぜこのような両極端なイメージがあるのだろうか。私と...

日本は世界で4番目に気候変動のリスクが高い国に 台風・豪雨影響…国連レポート

<台風や豪雨は国内の問題に留まらず、世界規模の異常気象を代表する例となっていた> 地球温暖化の影響が懸念されるようになって久しいが、今夏はその影響を象徴するかのような出来事が相次いだ。 気温49.5度を記録したカナダ西岸では数百件の制御不能な森林火災が発生し、海ではムール貝が生きたまま半煮えとなった。ニューヨークでは先日、大規模な水害に見舞われ、地下鉄の昇降口に降り注ぐ滝のような雨の動画が出回っている。ヨーロッパでもシチリア島で48度超が報告され、欧州の観測史上最高を記録したほか、各地で山火事が多発...

日本の自民党次期総裁候補を中国はどう見ているか?

菅総理の次期自民党総裁候補断念の意思が発表されると、中国は一斉に反応し、特に中国共産党系の環球時報は矢継ぎ早に論評を出している。日中関係が関心の対象だが、中でも高市早苗氏に関する論評は度肝を抜く。 環球時報の菅総理辞任に対する反応 自民党の次期総裁立候補者に対する個別の論評を見る前に、まずは菅総理辞任に対する全体的な反応を見てみよう。 菅総理は「自民党総裁候補に立候補しない」と表明しただけだが、それはすなわち次期総理大臣候補には立候補しないという意思表示をしたに等しいと中国は位置付けており、ならば次...

「ヒュブリス」だった東京五輪が日本に残す教訓

<「安全・安心」とは何だったのか。IOCは「上から目線」だったが、政府はそれを事実上支持した。五輪関係者向けに厳しいルールを定めたが、非現実的で、ほとんどチェックされなかった。今大会はいわば「ヒュブリス五輪」だった> いったい何回、聞かされたのか。「安全・安心な大会」と。 2020年3月に東京五輪・パラリンピックの延期が決まってから大会組織委員会の全ての記者会見で、1時間に少なくとも10回は耳にした。スローガンのようになっていた。 「安全・安心」とは何か? と私は何度も責任者に尋ねたが、確かな答えを...

日本で「食えている画家」は30~50人だけ 完売画家が考える芸術界の問題点

<15年以上のキャリアの中で描いた約700枚の絵を完売させ、その作風は唯一無二と評される洋画家の中島健太氏。「『絵描きは食えない』を変えたい」という彼はこのたび、『完売画家』(CCCメディアハウス)を上梓した。日本の芸術界の現状、業界で生きるために必要なこと、これからの芸術とビジネスの在り方について、赤裸々に綴った本書から「はじめに」を抜粋する> ■はじめに 「絵描きは食えない」を変えたい――700以上のご縁 本書は現役プロ画家の僕が、「日本の芸術界(以下、業界)の現状」「業界で生きるために必要なこ...