「映画監督」の記事一覧

風変りでノスタルジック……世界で見つけたウェス・アンダーソン的風景10選

<独特の映像世界そのまま──世界中に実在するアンダーソン的風景を集めたインスタ発のフォトブックが登場> 『グランド・ブダペスト・ホテル』『ダージリン急行』『ムーンライズ・キングダム』。ウェス・アンダーソン監督の映画は、すぐにそれと分かる。風変わりでノスタルジックなパステルカラーのレンズを通して人生を見ているようなイメージだ。 そんな独自の映像世界に魅せられたファンが、アンダーソン作品を彷彿させる実在の風景の写真を投稿するインスタグラムのコミュニティー「accidentallywesanderson」...

日本学術会議問題に僕たち映画人が声を上げた理由(森達也)

<座して沈黙しているだけでは言論や表現の場は萎縮する一方だ。ハリウッドを狙った赤狩りの歴史を思えば、日本学術会議の任命拒否問題は人ごとではないと僕たちは知っている> 2001年10月、僕は山形市に滞在していた。この時期に開催されていた山形国際ドキュメンタリー映画祭のインターナショナル・コンペティション部門に、僕にとって2作目の映画となる『A2』が招待されたからだ。1回目の上映が終わった翌日の朝、コーヒーを飲むために立ち寄った映画祭事務局のメールボックスに、「アメリカのアフガニスタン侵攻に抗議の声を上...

ラストベルトで育った若者のリアル『行き止まりの世界に生まれて』

<貧困や連鎖する虐待などを抱えて生きるスケボー少年たちを描いた注目作> ビン・リュー監督の『行き止まりの世界に生まれて』は、アメリカのラストベルト(さびついた工業地帯)に暮らすスケートボードを愛する若者2人を追ったドキュメンタリー映画だ。 舞台となるイリノイ州ロックフォードはリューの故郷。かつて同州第2の都市だったが、1980年代後半以降、急激に衰退した。時給が15ドルに満たない労働者は全体の半数に迫り、2010年以降は州内で最も急激に人口が減っている町の1つでもある。 そんなロックフォードの寂れた...

『オフィシャル・シークレット』イラク戦争直前に米英の嘘をリークした元諜報機関員が語る「真実」

<少々異なる点もあるが、「残念ながらかなり近い」と当の記者が語る『オフィシャル・シークレット』。告発の行方は> アメリカの現職大統領が自分の政治的利益のために他国の政府に圧力をかけたとされ、弾劾裁判が行われた今にふさわしい映画かもしれない。 舞台は2003年。イラク戦争開戦の直前に、イギリスの諜報機関である政府通信本部(GCHQ)で通訳として働いていたキャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ)が、機密情報をマスコミにリークした。 それは、イラク侵攻に有利な国連安保理決議を引き出すために、米国家安全保障局...

コメディーの達人ジャド・アパトーが撮った、自分史上最も正直な物語

<心に傷を負ったコメディー俳優の半自伝的映画が話題のアパトー監督に聞く> ジャド・アパトー(52)は『40歳の童貞男』や『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』など爆笑コメディーの監督として知られるが、真面目な作品もうまい。全米で配信中の『ザ・キング・オブ・スタテンアイランド』も、そんな才能が光る一本だ。 基になったのは、自殺騒動やリハビリ施設への入所などスキャンダルも多いコメディアン、ピート・デビッドソンの半生。自堕落な若者が幼い頃に亡くした父の死に向き合おうとする姿を描く(デビッドソンの父は消防士...