「歴史」の記事一覧

歴史で読み解く米中「新冷戦」の本質──再び敵対関係に逆戻りした本当の理由

<対決ムードに拍車が掛かるアメリカと中国。20世紀における両国の関係史をひもとくことなしにこの対立の今後と世界情勢は見通せない。本誌「誤解だらけの米中新冷戦」特集より> 20世紀におけるアメリカと中国の関係には複数の転換点があり、そのたびに両国の関係は劇的な変化を経験してきた。そして今、両国は新たな転換点を迎えている。第37代米国大統領リチャード・ニクソンが中国との戦略的和解に舵を切ってから約半世紀。気が付けば両国は再び、地政学的にもイデオロギー的にも露骨な敵対関係にある。 軍事とイデオロギーの両面...

コロナ対策、EU離脱……ジョンソン政権の命運を決する「Dデー」

<チャーチルに憧れるジョンソン英首相に、長期政権か短命政権かを分ける運命の「11月1日」が近づいている> ボリス・ジョンソン英首相は、第2次大戦期に首相を務めたウィンストン・チャーチルへの憧れを抱いてきた。身ぶりや体格もよく似ているし、チャーチルの伝記を執筆したこともある。 歴史学者のアンドルー・ロバーツによれば、ジョンソンは新型コロナウイルスへの対応でも、「1940年のチャーチルの精神」に触発されているという。 ジョンソンをどこまでチャーチルと重ね合わせて見るべきかはともかく、現在の保守党政権がチ...

コロナでグローバル化は衰退しないが、より困難な時代に突入する(細谷雄一)

<コロナ禍で人と物の往来が止まり、世界は「脱グローバル化」していくとも言われるが、どんな影響があるのか。11人の識者がその行く末を占う本誌「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集から、細谷雄一・慶應義塾大学教授の論考を公開。ナショナリズムとグローバリズムは振り子のように推移してきた──> 国境を越えた人の往来が消えた。新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻化していた3月から4月にかけては、グローバルなサプライチェーン(原材料や部品の調達から製造、消費者の手に届くまでの流れのこと)が機能麻痺をした。...

仕事の中で「人間らしさ」を取り戻すヒントは哲学にあり

<職場の道具や歯車にならないために、偉大な哲学者たちから学ぶ「善の基準」> 職場で自分が「会社の単なる道具」「他人のために機能する歯車のひとつ」だと感じたことはないだろうか。本書『よきリーダーは哲学に学ぶ』(石井ひろみ訳、CCCメディアハウス)は、そんな問いかけから始まっている。 19世紀半ば、若きジャーナリストだったカール・マルクスは、労働者の悲惨な状況に憤慨していた。当時のヨーロッパは経済の効率化を推し進めようと躍起になっていた。多くの富を生み出すために、労働者は近代的な工場で精緻な設計図に基づ...

アメリカは長崎に2つ目の原爆を落とす必要があったのか?

<広島に続き長崎にも原爆を投下したことで、戦争の終結が早まり多くの命が救われたと主張する肯定論の背景にあるもの> 8月9日、長崎は原爆投下から75年の節目を迎えた。長崎への原爆投下は、第2次世界大戦の終盤における重大な出来事の1つで、広島に続く歴史上2度目の核攻撃だった。 1945年8月9日に長崎に投下された原爆「ファットマン」は、その年のうちに7万人以上の死者を出し、その多くは原爆投下から24時間以内に命を落とした。原爆により長崎市浦上地区は完全に破壊され、後に残ったのは一握りの建物だけだった。 ...

中国はファーウェイ5Gで通信傍受する、英米の歴史からそれは明らか

<エニグマ解読からNSAの電話情報収集まで──その機会があればいつだって熱心に他国の通信情報を盗み取ってきた国家の歴史を教訓とするならば、中国政府がファーウェイを悪用しないはずがない> 国内で整備する第5世代(5G)移動通信システムから中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)を排除する──イギリス政府は7月半ばに、そう発表した。アメリカ政府の科す制裁措置を考慮するとファーウェイ製の通信機器は使用できないと、英国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が結論を下したとされている...

ブラック・パンサーの敗北がBLM運動に突き付ける教訓

<警察とFBIは徹底的に黒人解放運動の組織を憎悪し壊滅させた。71歳の元ブラック・パンサー構成員が危惧する今のBLM運動の問題とは? 本誌「Black Lives Matter」特集より> 5月末からアメリカで勢いづいているBLM(ブラック・ライブズ・マター=黒人の命は大事)運動は、世界中の人々の心をわしづかみにしている。 ニュースサイトwburによると、5月25日以降、BLM運動に関連した抗議活動は全世界で3960件を超える。アメリカだけでなくベルギーやイギリスでも、植民地支配を象徴する歴史上の人...

ナイジェリアの分離独立「ビアフラ闘争」、内戦から半世紀を経ても未だ終わらず

<悲惨な内戦の終結から半世紀を経た今も、独立を望むイボ人と抑圧する政府の構図は変わらない> 若い人が知らないのも無理はない。50年前のことだし、あれからも世界中で数え切れないほどの紛争や内戦があったのだから。 1970年の1月15日、ナイジェリア(今やアフリカの大国だ)の内戦が、少なくとも形式上は終わった。南東部のイボ人が1967年に「ビアフラ共和国」の分離独立を宣言したことに始まる凄惨な争いだったが、負けたのはビアフラ側。ほぼ3年にわたる内戦と飢餓の犠牲者は200万~300万人とされるが、その大半...

南北統一をめぐる韓国人の微妙な本音「統一は必要ですか?」

<朝鮮戦争から70年。意識調査によると南北統一を「必要」と考える韓国人は6割を超えるも、2018年と比べて減少。年齢層による違いも大きい> 6月25日に朝鮮戦争勃発から70年を迎えた韓国は、南北統一をめぐり複雑な思いを抱えているようだ。 韓国統一研究院が発表した「統一意識調査2020」によれば、南北の統一を「必要」と考える人は60.2%と過半数を超えたものの、米朝首脳や南北首脳の歴史的会談が実現した2018年と比べると約10%減。 統一と平和的共存のどちらを望むかという設問では、「統一」が26.3%...

新型コロナでテレビニュースは再び黄金時代を迎えたのか?

<パンデミックでニュース番組の視聴率が上昇中、不信と分裂の時代にかつての権威を取り戻せるか> これは「私たちにとっての真珠湾(攻撃)だ、私たちの9.11同時多発テロだ」。テレビでそう叫んだのは(ドナルド・トランプ米大統領ではなく)ABCの看板キャスター、デービッド・ミュアー。4月6日の『ワールドニュース・トゥナイト』でのことだ。 この日、ニューヨーク市内では新型コロナウイルスによる死亡者が3000人を超え、9.11テロの全米犠牲者数を上回っていた。 その晩の視聴者数は推定1200万人。そしてその週の...