「気候変動」の記事一覧

SDGs優等生の不都合な真実──「豊かな国が高い持続可能性を維持している」という嘘

<国連が目指す持続可能な開発の指標で、各国の達成度の評価が実情と違い過ぎる。地球上の誰もがスウェーデン並みの消費をすれば、生態系や環境への負荷は現在の3倍になる> 地球と人の未来を守るため、2030年までに達成すべき17の目標を掲げた持続可能な開発目標(SDGs)が国連で採択されてから5年。その実現に向けた「行動の10年」が始まっている。動植物を含めた「生き物の世界」と人間主導のグローバル経済の共存共栄に向けた具体的努力が問われるのだが、そもそも各国は今、どんな位置に着けているのか。 それを知る指標...

著名ワイナリーが消失した理由

<カリフォルニアの山火事はまだ続いていた> 米カリフォルニア州の火災が止まらない。 24の大規模火災が同時発生中の同州で9月末、世界的なワインの産地であるナパ郡とソノマ郡を記録的高温、乾燥、強風によって急拡大した火災が襲った。 ナパの著名ワイナリー「カステロ・ディ・アモロサ」の一部も焼失し、オーナーはボトルが散乱する様子に目を覆う(写真)。 10月1日時点で鎮火のめどは立っておらず、6万8000人が避難を余儀なくされている。 <2020年10月13日号掲載> ===== 炎に包まれるワイン産地のナパ...

30年前の北半球最低気温が「発見」される

<世界にはまだ埋もれた気温の記録がある。それを発掘すれば、温暖化の真のトレンドが見つかるかもしれない> 世界気象機関(WMO)は、約30年前に記録された-69.6℃が「北半球で記録された過去最低気温」だと認定した。 英国王立気象学会論文誌Quality Journal of the Royal Meteorological Societyに発表された検証結果によれば、この気温は1991年12月22日、グリーンランド氷床(南極大陸に次いで世界で2番目に大きな氷の塊)の頂上部近くに設置された自動気象観測...

サンフランシスコを覆う不気味な赤い空 カリフォルニアで過去最大規模の山火事

<300キロ以上離れた山火事の煙と灰の影響で太陽光が遮られ、ベイエリアは不穏な空模様に> ここは火星? 不気味に赤く暗い空に覆われたのは、9月9日の米カリフォルニア州のベイエリア。 300キロ以上離れた山火事の煙と灰の影響で、日中にもかかわらず太陽光が遮られた。同州の山火事は既に昨年の約20倍の規模に広がり、約8100平方キロが焼失している。 MLBサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地オラクルパーク上空も赤く染まったが、大気の状態に問題はないとして同日夜の試合は予定どおり行われた。 <本誌2020...

35度超の猛暑日が急増する日本 学校の対応は生徒の命に関わる

<長い夏休みを挟んだ2学期制など、長期休暇を夏季に集中させる対策も必要> 今年の夏も酷暑の日が続いた。新型コロナの感染も怖いが、熱中症はもっと怖い。死者数でいえば後者が圧倒的に多く、「熱中症死者100人」というワードがツイッターでトレンド入りした。 熱中症死者の8割が、屋内でエアコンをつけていない状態だったという。エアコンがあるのにつけなかったのか、なかったのかは定かではない。今となっては、夏場でのエアコンの使用は必須だ。冷房嫌いでつけない人には啓発をし、経済的理由で持てない人には費用の補助が求めら...

コロナが迫るサステナブルへの転換「2020年は大変革の始まった年として記憶されるだろう」

<人類の行動が地球のほぼ全ての種の未来を決定づける段階に入っているが、社会と経済を急停止させた新型コロナはサステナブルな方向に舵を切る契機にもなり得る> 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まってずいぶんたつが、世界経済への衝撃が消え去る気配はない。テクノロジーが支配する現代社会において、平時でこれほどの経験は前例がなかった。 感染拡大の第2波が発生し、さらに第3、第4......と続くのか。世界中の指導者がこの恐ろしい問いに頭を悩ませているが、答えは誰にも分からない。グローバルなサ...

地球温暖化は+4.8℃の最悪シナリオへまっしぐら?

<科学界でも否定的な見方があるIPCCの「最悪の想定」が短期的には最も正確な予想だと米科学者らが主張> 米科学者らは8月3日、米国科学アカデミー紀要に新たな研究報告を発表。気候変動が地球にもたらすリスクについて、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提示した「最悪のシナリオ」が、今後30年のリスクを最も正確に評価しているとの見解を示した。21世紀を通じて温室効果ガスの排出量が増え続けると想定するIPCCの「RCP8.5シナリオ」のことだ。 ウッズホール研究所(マサチューセッツ州)のクリスト...

「死に体」のはずのメルケルが欧州のリーダーに返り咲き

<模範的なコロナ対策やEU理事会の議長国就任で来年退任予定のレームダック首相は注目の人に。メルケルとドイツは再びEUのリーダー役を引き受けた> 誰にだって、2度目のチャンスは与えられるべきだ。ドイツのアンゲラ・メルケル首相も例外ではない。 政権を率いて約15年、現任期が満了する来年に退任予定のメルケルは、やり残した仕事に取り組む覚悟のようだ。ドイツが7月1日、半年ごとの輪番制のEU理事会議長国に就任したおかげで、特に自国の気候変動対策強化やデジタル化、欧州の結束促進でチャンスを手にしている。 メルケ...

経済成長を諦めなくても温暖化対策は進められる

<「脱成長」は間違いだった――人口増加と経済的繁栄を達成しつつ環境問題を解決する道筋は見えている> 50年前の人たちには、地球の未来を憂えるそれなりの理由があった。成長は右肩上がりであってほしいけれど、どう考えても地球の資源には限りがあり、しかも人為的な汚染によって毒されていたからだ。 しかし今は違う。この半世紀で人類は、その数と富を増やしつつも地球をいたわり、守ることに成功してきた。もちろんまだたくさんの問題が残っている。その最たるものは地球温暖化だが、幸いにして私たちはもう難関を乗り越える道筋を...

コロナ後の地球をまた大気汚染まみれに戻していいのか

<新型コロナウイルスの感染拡大を止めるためのロックダウンで、思いがけず済んだ空気を取り戻した地球。これを機に、人類は汚染物質の排出を恒久的に削減し、地球温暖化を阻止すべきだという声が上がり始めた> 新型コロナウイルス対策としてのロックダウン(都市封鎖)や経済活動の縮小が、大気汚染の改善や二酸化炭素(CO2)排出量の減少といった環境へのプラス効果をもたらしている。これに合わせて科学者や環境保護活動家、宗教指導者などからは、「コロナ後」の工業生産や経済活動のあり方を恒久的に見直すべきだとの声が上がってい...