「特集米中対立」の記事一覧

グアムを「州に格上げ」して中国に対抗せよ

<地域の安全保障秩序の礎となっているグアムを正式なアメリカの州とすることで、「太平洋の大国」としての立場を守れ> 9月、米民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、11月の選挙で民主党が上院の過半数を獲得できたあかつきには、アメリカの自治領プエルトリコや首都ワシントン特別区の州への格上げを含む「あらゆることが議題に上る」と述べた。もしそうなら、グアム島および北マリアナ諸島に住む23万人のアメリカ国民についても連邦議会は議論すべきだろう。 民主党だけが州への格上げ提案をしているのではない。グアムと北...

中国の対米輸出がV字回復、制裁下でも増えた需要は?

<9月のアメリカへの輸出は前年同月比で20.5%増> 米トランプ政権の制裁関税にもかかわらず、中国が対米輸出を好調に伸ばしている。 9月の対米輸出は前年比20.5%増の440億ドル。中国経済が新型コロナウイルス感染拡大から急速に立ち直ったことが背景にあり、2020年第2四半期でコロナ禍以前の成長率を回復した最初の主要経済国になった。 9月の全輸出額も前年比9.9%増の2398億ドルに達し、前月比でも9.5%増加。マスクや医療品の需要も大きいが、トランプの中国テクノロジーたたきにもかかわらず、電気製品...

意外とタフなバイデンの対中政策

<トランプの過激な政策を逆手に「結果を生む外交の担い手」をアピール> アメリカのドナルド・トランプ大統領は自分を取り巻く状況に怒っている。大統領選の支持率では、民主党のジョー・バイデン候補にリードされている。しかも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応を批判され、守勢に立たされている。そして、彼の怒りの矛先は中国政府へと向けられている。 言いたいことは山ほどあるようだ。コロナ禍の責任は中国にあるとトランプが語ったのは有名な話だ。マイク・ポンペオ国務長官も7月下旬、アメリカが過去半世...

中国漁船団は世界支配の先兵

<世界最大の漁船団を誇り遠くアフリカや南米に操業範囲を広げている中国は、アメリカの先例に倣って世界に覇を唱えることになる> 中国の攻撃的で時には違法な漁業のやり方が、アメリカとの新たな摩擦の原因になっている。 中国の漁船団は世界で最大だ。中国政府によれば、世界の海で魚を獲る中国漁船は約2600隻ということだが、一部の海洋専門家によれば、遠洋漁業に出る中国漁船数は、ほぼ1万7000隻にものぼる可能性がある。対してアメリカの遠洋漁船は300隻に満たない。 1982年に成立した海洋法に関する国際連合条約に...

歴史で読み解く米中「新冷戦」の本質──再び敵対関係に逆戻りした本当の理由

<対決ムードに拍車が掛かるアメリカと中国。20世紀における両国の関係史をひもとくことなしにこの対立の今後と世界情勢は見通せない。本誌「誤解だらけの米中新冷戦」特集より> 20世紀におけるアメリカと中国の関係には複数の転換点があり、そのたびに両国の関係は劇的な変化を経験してきた。そして今、両国は新たな転換点を迎えている。第37代米国大統領リチャード・ニクソンが中国との戦略的和解に舵を切ってから約半世紀。気が付けば両国は再び、地政学的にもイデオロギー的にも露骨な敵対関係にある。 軍事とイデオロギーの両面...

デジタル通貨を発行しても人民元の地位が上がらない理由

<デジタル通貨の導入が国際金融市場において中国を利する可能性は否定できないが、国内外の投資家が人民元を安全資産と見なす可能性は低い> ほんの2、3年前まで、中国の通貨・人民元は文字どおり飛ぶ鳥(つまり米ドル)を落とす勢いに見えた。第5の国際決済通貨となり、2016年にはIMFの特別引き出し権(SDR)の価値を決定する通貨バスケットにも加えられた。 しかし勢いはそこまでだ。国際決済に占める人民元の割合は今も2%に届かない。各国の外貨準備に使われる割合も、せいぜい2%止まりだ。 中国はこの夏、主要通貨の...

拡張主義・中国の「武力」を4カ国連携で封じ込めよ

<国際的評価を損ねた習政権が影響力を及ぼす手段は武力だけになった。「クアッド」の戦略的連携を深め、そのコストが高くつくと認識させるべきだ。本誌「誤解だらけの米中新冷戦」特集より> 中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は今年の新年祝辞で、2020年は「里程標の意味を持つ1年」になると語った。この予言は的中したものの、あいにく習が描いていた形ではなかった。 この祝辞で習は「われわれの友は天下にあまねくいる」と胸を張ったが、そんなことはない。中国は国際的評価を損ね、友好国とも疎遠になり、影響力を及ぼす手...

米中新冷戦の主戦場はサイバー攻防戦

<軍事的、経済的優位を確保するためには、卑劣な手段も厭わず他国の技術を盗む中国と、それを防ごうとするアメリカの最前線> 世界の2大超大国の覇権争いはかつてない規模までエスカレートしており、そこでは米政府と企業が束になってかかっても防ぎきれない「壮大な泥棒」、即ち中国政府系ハッカーが幅を利かせている。 中国政府は外国の知的財産を組織的かつ大量に盗んでいるという批判を躍起になって否定する。しかし、米中が技術的・軍事的な優位をめぐって熾烈な競争を繰り広げる今、中国の組織的なサイバー攻撃でアメリカが被る損失...

中国とのライバル関係を深刻に扱うべきでない理由

<現在の中国との競争は、国家や体制の存続を懸けた米ソ冷戦とは全く別物──どちらかの体制を倒せば解決するものではなく、過剰反応すれば禍根を残す。本誌「誤解だらけの米中新冷戦」特集より> 現実的に国際関係を考える上で肝要なのは、死活的な国益とそこまで重要ではない国益の弁別だ。死活的な国益とは国家存続の脅威への反撃であり、外国による征服のほか、国内では政府転覆の動きへの対処といった形を取り得る。東西冷戦期においては、ソ連が世界各地で、そしてアメリカもソ連とその同盟国に対し、相手国の政治体制やイデオロギーに...

中国による科学者スカウト、豪報告書が暴いた知的財産入手のからくり

<技術分野の覇権を目指す中国が世界に張り巡らす人材採用拠点は、少なくとも600カ所。札束をはたいて「透明性に欠け、不正行為や知的財産盗用、スパイ行為と広く結び付く」取り組みを推進している> 国外に置く「人材採用」機関を利用して、中国が不透明な手段でテクノロジーへのアクセスを獲得している──。 シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が8月20日、「フェニックス狩り」と題する報告書を発表した。技術分野の覇権を目指す中国は「使える」人材を特定・スカウトするため、世界各地に少なくとも600の...