「特集米中対立」の記事一覧

中国による科学者スカウト、豪報告書が暴いた知的財産入手のからくり

<技術分野の覇権を目指す中国が世界に張り巡らす人材採用拠点は、少なくとも600カ所。札束をはたいて「透明性に欠け、不正行為や知的財産盗用、スパイ行為と広く結び付く」取り組みを推進している> 国外に置く「人材採用」機関を利用して、中国が不透明な手段でテクノロジーへのアクセスを獲得している──。 シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が8月20日、「フェニックス狩り」と題する報告書を発表した。技術分野の覇権を目指す中国は「使える」人材を特定・スカウトするため、世界各地に少なくとも600の...

瀬戸際の米中関係 文化面の「デカップリング」はアメリカの致命傷に

<アメリカの対中強硬派は文化・教育面でも中国との関係を断とうとしているが、若い世代との接点を失うことは賢明でも生産的でもない。その理由とは> 親密な関係の解消を「デカップリング」と呼ぶ。現在の米中両国の地政学的バトルを形容するにふさわしい言葉だが、トランプ米大統領と政権内の強硬派は一歩進めて、この戦略で中国パワーをそぐつもりらしい。 デカップリングの始まりは一昨年来の貿易戦争だ。これで両国間の貿易は大幅に縮小した。今は情報通信技術が主戦場で、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)などの中国企業を次...

ファーウェイ・TikTokが対中制裁を生き抜く理由

<コロナ禍でグローバル化が揺らぎ、米中の対立が激化、中国IT企業は海外展開できなくなり破綻の危機に陥る──というのは本当か? 本誌「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集より> 今の危機をどう捉えているか? ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)の王剣峰(ジェフ・ワン)会長は筆者の質問にこう返した。 「20年前のほうがつらかったなぁ」 世界的な大企業であるファーウェイだが、1987年の創業以来、何度か存続の危機に直面してきた。昨年来の米国による制裁も大事件だが、王会長が入社した2001年はドットコ...

アメリカも対中戦争を考えていない?──ポンペオ演説とエスパー演説のギャップ

ポンペオ国務長官の激しい対中強硬演説と同時に閉鎖したヒューストン総領事館はトランプ大統領の大票田テキサス州にある。同日、米軍を司るエスパー国防長官は「年内に訪中したい」と演説している。その整合性を考察する。 名指しで習近平を批判したポンペオ演説 ポンペオ国務長官は7月23日、カリフォルニア州のニクソン大統領記念図書館で「共産主義の中国と自由世界の未来」と題した演説を行った。 「中国が繁栄すれば民主主義に転換するとの期待の下で続けていた従来の関与政策は失敗だった」と述べたが、そもそも「関与政策」が中国...

米中戦争を避けるため中国は成都総領事館を選んだ

ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を受けて、中国は27日、成都にあるアメリカ総領事館を閉鎖した。アメリカにダメージの大きい香港総領事館を選ばなかったのは、中国が米中戦争を避けているためだ。 アメリカによるヒューストンの中国総領事館に対する突然の閉鎖命令 アメリカ国務省は7月21日、中国政府がスパイ活動や知的財産の侵害を行っているとして、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館を72時間以内に閉鎖するよう命令した。それも、7月22日に中国ヒューストン総領事館が文書を燃やしているところが見つかり、火事...

ヒューストンの中国総領事館はコロナ・ワクチンを盗もうとしていた?

<コロナ・ワクチンの市場投入で一番乗りしようという中国の意図は明らかだった」と、ある米国務省高官は言う> アメリカ国務省がテキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じた問題で、トランプ政権の複数の高官は7月24日、総領事館が産業スパイの拠点として使われていた可能性があるとの見方を示した。背景には、新型コロナウイルスのワクチンを世界に先駆けて市場投入したいという中国の野望があるという。 ヒューストンには世界最大の医療機関の集積地「テキサス医療センター」があり、大学などの研究機関も集まっている。...

ポンペオ米国務長官の「対中苛烈批判」に見る中国理解の浅さ

<演説で中国政府を「独裁的」と批判したポンペオ。「中国の人々と関わり、力を与える」と述べたが、その対中強硬路線には落とし穴がある> 7月23日、ポンペオ米国務長官は、対中政策に関する演説で中国への苛烈な批判を展開した。「(中国は)国内ではより独裁的になり、世界では自由への敵対姿勢をより強めている」と言い切った。 ここ数カ月、米中の対立が深まっている。7月21日には米政府が在ヒューストン中国総領事館の閉鎖を突如求め、24日には中国政府が四川省成都の米総領事館の閉鎖を要求。ポンペオはこれ以前にも、南シナ...

米中衝突を誘発する「7つの火種」とは

<ウイグル、南シナ海、香港と様々な問題が同時発生、最新の地政学的リスクから見る新冷戦の現実味> 米中関係の緊張は動画共有アプリのTikTok(ティックトック)やNBAにまで及んでいるが、ここ数週間は特に、さまざまな領域で同時多発的に問題が起きている。 2つの大国は何かのきっかけで敵意が燃え上がったというより、多数の地政学的展開の背後にある力学が関係しているようだ。その地政学的な問題をいくつか見ていこう。 ■新疆ウイグル自治区 中国政府は7月13日、マルコ・ルビオ米上院議員、テッド・クルーズ米上院議員...