「移民」の記事一覧

溺死した男児の写真から5年──欧州で忘れられた難民問題

<溺死したクルド人男児の写真で目を覚ましたはずの欧州だったが、大きかった「特別な共感」は消え去ろうとしている。移民への反感を募らせる人々から抜け落ちた視点とは> たった一枚の写真が、世論を変えた。5年前の秋のこと。それまではヨーロッパに押し寄せる「人間の群れ」(当時の英首相デービッド・キャメロンの表現)呼ばわりされていた難民たちが、急に「特別な共感」の対象となった。 Relatives of iconic drowned Syrian refugee find a home https://t.co...

トランプ政権、2021年度の難民受け入れを過去最低の1.5万人に

米トランプ政権は30日、2021年度に受け入れる難民の上限を過去最低の1万5000人とすることを議会に提案する方針を明らかにした。 国務省は「新型コロナウイルス感染症が大流行する中で、米国民の安全と福利」を優先させる政権の方針を反映したと説明した。 昨年は上限を1万8000人に減らしたが、身元調査の強化や新型コロナの流行により、実際に入国したのはこの約半分にとどまった。 大統領選挙の民主党候補バイデン前副大統領は受け入れる難民の上限を年間12万5000人に引き上げると表明している。ただどれぐらいのペ...

どこが人権国家? オーストラリア政府がコロナ禍で留学生らを排斥

<留学生受け入れに力を入れてきたオーストラリアだが、コロナ危機になると「自力で生き延びるか母国へ帰れ」と方針転換。これでは外国人に選ばれない国になってしまう> 今年4月上旬、オーストラリアのスコット・モリソン首相は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の期間を自力で乗り切る生活費がなくなった一時ビザ保有者は、オーストラリアでは歓迎されないという明確なメッセージを送った。 「平穏な時にオーストラリアを訪問してくださることはありがたいのですが、今のような時期には、この国を訪問している立場のあ...

トランプ、ルペンよりもっと厳しい? 外国人の子供に国籍を与えない日本の「血統主義」

<外国人労働者の法律相談を請け負う行政書士が遭遇した、在留資格など日本の法律をめぐる悲喜こもごものエピソード> 浅草で行政書士事務所を経営し、おもに外国人の在留資格取得や起業支援をしている細井聡(大江戸国際行政書士事務所)は、これまで多くの外国人と関わってきた。細井は、「10年後、20年後、いや5年後かもしれない、『同僚は外国人』という時代がすぐそこまで来ている」と言う。 ここでは、細井が最近上梓した『同僚は外国人。10年後、ニッポンの職場はどう変わる!?』(CCCメディアハウス)向けにコラムとして...

一夫多妻制のパキスタンから第2夫人を……男性の願いに立ちはだかる日本の「重婚罪」

<外国人労働者の法律相談を請け負う行政書士が遭遇した、在留資格など日本の法律をめぐる悲喜こもごものエピソード> 浅草で行政書士事務所を経営し、おもに外国人の在留資格取得や起業支援をしている細井聡(大江戸国際行政書士事務所)は、これまで多くの外国人と関わってきた。その経験から細井は、「10年後、20年後、いや5年後かもしれない、『同僚は外国人』という時代がすぐそこまで来ている」と言う。 ここでは、細井が最近上梓した『同僚は外国人。10年後、ニッポンの職場はどう変わる!?』(CCCメディアハウス)向けに...

日本人が持つイメージより、はるかに優秀で勤勉な外国人労働者たちのリアル

<AIに仕事を奪われる前に、あなたにとって代わるのは外国人かもしれない> バブル時代、公園にたむろしていた中東からの外国人を見かけて以来、コンビニの店員など日本でもすっかり身近な存在になった外国人労働者たち。だが不思議なことに、昨年の改正入管法施行まで、日本に「外国人労働者」はいなかった。 「そんなバカな」と思うかもしれない。だが法律的にはいなかったのだ。いたのは、ホワイトカラーと呼ばれるネクタイを締めて働く人たち、あるいは外国料理のコックのような技能専門職、そして外交、医療、宗教などの知識専門職だ...

母国送還かコロナ感染か 米収容所の亡命希望者が突きつけられる残酷な選択

6月初め、亡命申請中のホセ・ムノスさんは、逃げ出さなければ命が危ない、と心に決めた。収容者のあいだで新型コロナウイルスが広がるテキサス州の移民収容センターを離れ、母国エルサルバドルに戻るという意味だ。 米移民税関捜査局(ICE)によれば、ヒューストン契約収容施設の収容者のうち、少なくとも105人で新型コロナ感染が確認されている。感染者数が増加するなかで、感染から身を守る方法は布製マスク以外にはほとんどなかった、とムノスさんは言う。ICEのデータによれば、同施設の収容者は6月1日時点で375人だった。...

保守思想が力を増すスウェーデン──試練の中のスウェーデン(中)

<戦後、世界平和と人権尊重を掲げた「積極的外交政策」による移民/難民の受け入れに対して、「スウェーデン・アイデンティティ」への脅威を訴える極右政党が地道に支持を得ていく。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> ※第1回:スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上) スウェーデンは戦後、労働力不足を補うために多くの外国人労働者を招致し、さらに移民/難民も多...

スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上)

<福祉国家、環境、デザイン、または重税、優生思想、治安悪化......。北欧スウェーデンに対するイメージは極端に振れている。一つ一つは間違っていないものの、その全体的なイメージ像は実像からはかなりかけ離れていると清水謙・立教大学法学部助教は指摘する。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> はじめに――イデオロギーとしてのスウェーデン? 二〇一八年は日本とスウェーデンが外交関...

オーストラリア経済の長期繁栄に終止符 観光・教育・移民の構造転換が新型コロナで裏目に

世界金融危機にさえ耐え抜く底力を見せたオーストラリア経済も、新型コロナウイルスにはかなわなかった。過去最長を記録していた景気拡大局面は突然幕切れを迎えて深刻な景気後退(リセッション)に突入、今後回復までに相当長い道のりをたどりそうだ。 新型コロナのパンデミック(大流行)への対処という意味では、同国は死者を100人強に抑え込んでいる点から大きな成功を収めていると言える。だが感染防止で海外との往来をストップしたため、成長をけん引してきた観光、教育、移民という「3本柱」が大打撃を被った。 オーストラリアが...