「軍事」の記事一覧

英海軍、インド太平洋に哨戒艦を恒久展開させる「胸算用」

<日本との軍事的関係は「過去1世紀で最も緊密」とウォレス英防衛相> 英海軍は2隻の哨戒艦を年内にインド太平洋地域に派遣して恒久的に展開する──日本を訪れたウォレス英防衛相は7月20日、岸防衛相との会談でそう表明し、地域への関与を深める姿勢を強調した。 さらに、最新鋭空母クイーン・エリザベスを中核とする海軍空母の打撃群が9月に日本を訪れ、横須賀など国内数カ所の米軍と自衛隊基地に寄港する計画も確認。ウォレスは共同記者会見で、両国が「過去1世紀で最も緊密」な軍事的関係を築いていると語った。 中国の脅威が高...

クアッドで中国は封じ込められない…「対中包囲網」には致命的な欠陥が

<確実に高まる中国の脅威。だが、インド太平洋地域でアメリカ頼みの包囲網に抑止力は期待できない> 二極化が著しい米政界だが、中国政策については党派を超えて大きなコンセンサスがある。中国をパクス・アメリカーナ(アメリカの力による平和)の最大の脅威と見なしていることだ。 対中強硬派として知られるトム・コットン上院議員など共和党のタカ派は、中国によるレアアースの輸出規制や軍備増強に、アメリカに対する野心が反映されていると警戒している。 右派は民主党が中国に甘いと評するが、ジョー・バイデン米大統領は就任前から...

ドローンが「知性」を持ち始めた。止めるなら今だ

<顔認識機能とAIを搭載したトルコのドローン「Kargu-2」は、標的を自ら発見して追跡・殺害することに成功した可能性がある> 映画『ターミネーター』シリーズでは、アーノルド・シュワルツェネッガー演じるスーパーロボットが、人間の標的を追い回して殺そうとする。1980年代の公開当時、これは現実にはあり得ないSFの世界の話だった。 だが今や殺人ロボットによる標的の追跡は現実になり、さらにはこうしたロボットが売買されて戦場に配備されている。ただし殺人ロボットといっても、映画に出てくるようなサイボーグではな...

EUにも嫌われ始めた中国の戦狼自滅外交

<ウイグル族の人権侵害を理由に対中制裁を発動したEUに報復制裁を繰り出した中国。投資協定も頓挫し、欧州との融和的関係は危機に瀕している> 新疆ウイグル自治区における人権侵害が広く報道されるなかで、中国政府とEUは対立を深めている。ヨーロッパを味方につけたい中国だが、友人を作るより失うケースのほうが多くなっているようだ。 中国とEUが、まさにやられたらやり返す報復合戦に陥ったのは今年3月のことだった。EUが中国北西部に住むウイグル族に対する人権侵害の責任を負う中国当局者4人と1団体を対象とする制裁に踏...

イランの「北朝鮮製」ロケットを、欧米が全く怖がっていない理由

<軍事転用も可能なはずのイランのロケット打ち上げ実験だが、いまいち話題にはなっていない> イランが小型衛星の打ち上げを試みていたらしい。衛星を宇宙に打ち上げるロケット技術は、長距離ミサイルに軍事転用できる。その実験が、イラン核合意を立て直すための交渉が大詰めを迎えていた6月12日に行われていたとなれば穏やかではない。 だが、この打ち上げはさほど大きな話題になっていない。最新の衛星写真によると、イランは新たな打ち上げの準備もしているらしいのだが......。 どうやらそれは、12日の打ち上げが失敗に終...

イスラエルが航空機搭載のレーザー兵器でブレイクスルー

<防空システム「アイアンドーム」を補完し、戦いを劇的に変革する迎撃システムの実験に成功> イスラエルは、航空機からドローンを撃墜できる画期的なレーザー兵器の試験に成功した。この新たな兵器は、2021年5月にパレスチナのガザ地区から飛んでくる数千のロケット弾を迎撃した防空システム「アイアンドーム」の穴を補完するものだ。 イスラエル国防省の軍事研究開発部門の責任者ヤニフ・ロテム准将は、民生用のセスナ機に搭載した試作品のレーザー兵器でこの数日間に、地中海上のさまざまな地点でドローンを撃墜したと述べた。 F...

英海軍がリモート操縦船の実証実験に初成功…時代は「タブレットの中の戦争」へ

<無人の船が海戦を戦う時代がやってくる? 船舶を高速で遠隔操縦できることの戦術的な意味は大きい> イギリス海軍は6月1日、自律型船舶「MADFOX(MAritime Demonstrator For Operational eXperimentation)」のリモート操縦に初めて成功したと発表した。3月に公開されたハイテク実証船MADFOXにとっては「画期的な成果」だ。 MADFOXはこれまで、乗船した船員によって運航されてきた。しかし英海軍の声明によれば、今回のテスト運航は「海上を見渡せる浜辺に設...

「押しかけ」中国海軍の長居は迷惑!? インドネシア、沈没潜水艦回収を断念

<通常訓練のため潜行したまま消息を絶った潜水艦の引き上げは国際政治の波にも襲われて──> インドネシア海軍は6月2日、4月に沈没事故を起こした潜水艦の海底からの船体回収作業を断念したことを明らかにした。 船体回収には深海での作業が可能な中国海軍の特殊救難艇など3隻が中国から駆けつけてインドネシア海軍と協力して作業を進めていたが、「回収作業は大きな困難に直面し、断念せざるを得なかった」と回収作業の中止を明らかにした。 水深約800メートルの海底で発見された潜水艦の船体とともに乗組員53人は既に死亡が宣...

アジアの米軍を削減せよ──「居留守」ホットラインで圧力をかけ始めた中国

<対中防衛ホットラインの増設を主張するアメリカに対して「まずは誠意を示し中国に歩み寄れ」と要求> 中国はアメリカに対して、米中間の軍事的緊張を緩和するために、アジアに配備する米部隊を縮小して誠意を見せるよう勧告した。両国の間では今、南シナ海や台湾海峡での偶発的な衝突を回避するための信頼醸成措置について話し合いが行われている。 中国国防部の譚克非報道官は5月27日の定例会見で、ジョー・バイデン米政権の「インド太平洋戦略」は、軍事同盟や「排他的な小さな輪」を構築することで「意図的に衝突や対抗を煽っている...

中東の「暴発」と貿易網の「破壊」を招きかねない大国同士の対立激化

<昨年末からイスラエルへの挑発を強めるイランだが、両国の政治の変化がさらなる危機をもたらす可能性も高まっている> イランとイスラエルの間で緊張が高まっている。双方が攻撃の応酬を続けつつ、攻撃者不明の場合も互いを批判。5月5日にはイラン革命防衛隊のサラミ司令官が、昨年末からの数カ月間にイスラエルが受けた10の攻撃を挙げ、イスラエルの貿易の90%を占める海上交通を破壊することは簡単だとして、11件目の攻撃の可能性を示唆した。 イランによる挑発の背景には、同国とアメリカの核合意交渉が行き詰まりを見せている...