「軍事」の記事一覧

建国記念の連休中に、中国軍機56機が台湾ADIZに侵入した理由

<これまでも挑発行為を繰り返してきた。目的は台湾への警告だが、空軍が党への忠誠を示す意図もあっただろう> 中国が10月1日に国慶節(建国記念日)を迎え、1週間の祝日連休に入るなか、中国空軍に休みはなかったようだ。 10月4日、56機の中国軍用機が台湾のADIZ(防空識別圏)に侵入。 30以上の戦闘機が爆撃機をエスコートするという、有事の際に想定される陣形で、ADIZに侵入した1日当たりの中国軍機としては、台湾が昨年9月に侵入数を公表し始めて以来、最多だという。 ADIZは台湾の領空ではなく、領空侵犯...

<南シナ海>米英空母含む6カ国軍の合同演習、中国海軍が追尾していた

<衛星画像の分析で、南シナ海で中国の軍艦が米英の空母打撃群を追尾していたことが明らかになった> 南シナ海で行われた6カ国による共同訓練を前に、中国海軍が、米英軍の空母打撃群を追尾する目的で軍艦を展開したとみられることが、衛星画像の分析により10月5日になって判明した。 ベトナム、ホーチミン在住の海事評論家、ズアン・ダンがツイッターに掲載した衛星画像を見ると、米海軍カール・ヴィンソン空母打撃群と、英海軍のクイーン・エリザベス空母打撃群の艦船が5日、フィリピン西岸の沖合を航行している様子がわかる。 US...

北朝鮮の「控えめ」パレードを読み解く3つのポイント

<金正恩のダイエット成功──以外のポイントは? 外交、軍事の専門家はパレードをどう見たのか> 9月9日午前0時、北朝鮮の建国73周年を祝う軍事パレードが首都平壌の金日成広場で行われた。北の核ミサイルがアメリカとその同盟国を脅かすなか、外交や軍事の専門家はパレードの映像から北の内情を読み解こうとしている。 最大の注目点は、長距離弾道ミサイルなどの大型兵器が登場せず、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の演説もなかったこと。これを国際社会に向けた和解のサインとみる向きがある一方、それは希望的観測にすぎず、戦...

弾道ミサイルより防護服?北朝鮮「平和的」パレードの異変

<金正恩による演説も戦略兵器の登場もなしの「地味パレード」が映し出す厳しい国内事情> 韓国軍の関係者は、北朝鮮が9月9日未明に行った軍事パレードを注視していたと本誌に語った。金正恩が北朝鮮の最高指導者に就任してからまもなく10年。この間、北朝鮮と韓国は対立と緊張緩和を繰り返し、両国関係はいまだ不安定なままだ。 韓国国防省の報道官は「韓国軍は北朝鮮の軍事パレードを注意深く見守っている」と本誌に語った。「アメリカと協力の下、詳細な分析を行っているところだ」 在韓米軍も、このパレードに注目していた。在韓米軍の報道官であるリー・ピーターズ大佐は、本誌の取材に次のように語った。「北朝鮮が最近、軍事パレードを実施したことは認識している。我々としては、韓国をあらゆる脅威や敵対勢力から守るために、引き続き協力して防衛態勢を取っていく」 北朝鮮はこれまで幾度も軍事力を誇示してきたが、建国73周年を記念して9日未明に実施されたパレードは、異色と言えるものだった。最新型のミサイルや戦闘能力を誇示してきた過去の軍事パレードに比べて、かなり控えめな内容だったのだ。 軍用犬や防疫隊が行進 パレードは金正恩がバルコニーから見下ろす平壌の金日成広場で行われ、馬に乗った騎兵部隊、軍の捜索犬を伴った兵士たちや、新型コロナ対策様のオレンジ色の防を身につけた防疫隊などが隊列を組んで行進した。 ロケットをけん引していたのは、これまでのような軍用トラックではなく、北朝鮮の国営メディアである朝鮮中央通信によれば、「非常事態に侵略者やその配下にある部隊を圧倒的な火力で砲撃するための兵器を積んだトラクター」だった。 複数の報道によれば、金正恩は演説しなかったが、「歓声をあげる熱狂的な市民に温かく応じていた」ということだ。 朝鮮中央通信は、最高指導者である金正恩を熱烈に称賛。「唯一無二の英雄であり、我が国が繁栄する新時代を体現し、その熱烈な愛情と自己犠牲の精神で国と国民に向き合い、国家第一主義の金正恩朝鮮労働党委員長に対して、パレードに参加した全員が、最大限の賛美と深い感謝の念を示した」と報じた。 金正恩体制がまもなく10年を迎える一方で、韓国の文在寅大統領は2022年5月に任期満了を迎える。そしてアメリカでは、ジョー・バイデン大統領が就任1年目にして、既に国内で複数の厄介な問題に、そして国外ではさらに差し迫った外交上の問題に直面しており、こうした状況を鑑みると、朝鮮半島は今後もしばらく不安定な状況が続きそうだ。 ===== 文在寅はこれまで、歴史的な数の南北朝鮮首脳会談を取り仕切ってきた。その全てが、バイデンの前任者であるドナルド・トランプが現職の米大統領として初めて、北朝鮮の指導者と会談を行ったのと同じ、2018年に行われたものだ。しかし翌2019年2月の米朝首脳会談で、(アメリカによる北朝鮮の)体制保障と引き換えの非核化や対北朝鮮制裁の緩和についての合意がまとまらなかったことで、交渉の機運は失われた。 そして過去2年の間に、再び緊張が高まってきている。金正恩は核実験や大陸間弾道ミサイルの発射実験をまだ再開してはいないが、自分にはそれを行う自由があると宣言している。 それでも、北朝鮮も韓国も公式には、和解と再統一を模索している。7月には北朝鮮と韓国の軍当局が通信回線を復旧させることで合意し、関係改善の兆しが示された。だが8月には北朝鮮の当局者たちが、韓国によるアメリカとの合同軍事演習実施の決断を激しく非難し、再び緊張が高まった。 バイデン政権は北朝鮮との外交交渉を模索していく意欲を示しているが、アメリカはいかなる挑発行為にも相応の対処をすると警告もしている。9日の軍事パレードは、バイデンが1月に大統領に就任して以降、初めての挑発行為の類となる。平壌ではバイデンの就任直前にも、第8回朝鮮労働党大会を記念する壮大なパレードが行われた。 危機感が伺える党書記の演説 その後、金正恩は公の場で行った複数の発言の中で、北朝鮮が危機に見舞われていることを認め、「苦難の行軍」という言葉まで使った。この言葉は、正恩の父親である金正日が最高指導者だった1990年代半ば、朝鮮労働党が国民に、当時の飢饉と経済的苦境を乗り越えようと呼びかけた際のスローガンとして知られている。 また北朝鮮は、いまだ新型コロナウイルスの感染例を1例も報告していない世界で5つしかない国の1つだが、今も厳しいロックダウンと隔離措置を取っている。2021年はじめに隣国である中国で新型コロナの感染が拡大した際、国境を閉鎖した最初の数カ国のうちの1つでもあった。ワクチンの提供をはじめ、海外からの支援の申し出も一切受け入れていない。 9日の軍事パレードで演説を行ったのは、李日煥党書記だった。李は演説の中で、「国と国民が一心団結の威力で現在の難局を乗り切り、社会主義建設の新たな高潮期、激変期を切り開いていく」と述べた。 ===== 李はまた、困難に直面するなかでも、自立を掲げる主体思想の順守を擁護した。「政府は今後も、いかなる状況下でも自立と自己啓発の原則の下、自らの努力によって全てを解決していく国民の尊厳と基本的利益をしっかりと守っていく」と彼は述べた。 この原則の下、北朝鮮は軍事力を増強し、防衛産業全体の近代化を行っていくとも彼は主張。「全人民を武装させ、全土を要塞にして国防能力を強化していくという労働党の政策を実行するための取り組みを加速させていく」と表明した。 「どのような困難も、偉大なる同志・金正恩の下、我が国と国民が新たな革命の勝利に向かって進んでいくのを止めることはできない」 ===== Crowds rush towards Kim Jong Un during a large parade held in Kim Il Sung Square in celebration of North Korea's 73rd founding anniversary.(KCTV, Sept. 9, 5 p.m.)https://t.co/XQuixSkCKk pic.twitter.com/EVurYBMhkC— NK NEWS (@nknewsorg) September 10, 2021 BREAKING: Rodong Sinmun photos of last night's parade show Kim Jong Un in a suit with his top official Jo Yong Won standing next to him in some photos. Fireworks were held, as NK News initially reported per informed sources: https://t.co/1lUz8O4VGV pic.twitter.com/evz8DsdY1l— NK NEWS (@nknewsorg) September 9, 2021 BREAKING: Rodong Sinmun photos of the parade do not show any ballistic missiles, while photos show North Korean troops marching as Kim Jong Un watches pic.twitter.com/ha9F0DqR0w— NK NEWS (@nknewsorg) September 9, 2021

米軍ドローン攻撃でアフガニスタン民間人の犠牲者数が急増

<アフガニスタンで空爆を実施した米軍だが、ドローン攻撃による民間人の被害は確実に増加し続けている> 8月29日、米軍がアフガニスタンの首都カブールで自爆テロを防ぐためとして行ったドローン攻撃で、民間人10人が死亡、そのうち6人が12歳以下の子供だった。ドローン攻撃は現地に情報提供者がいてこそ正確さを保てるが、今回の攻撃で現地に情報提供者はいなかった。 米ブラウン大学のチームが行った調査によれば、米軍主導の空爆によるアフガニスタンの民間人の犠牲者は、オバマ政権時の2016年からトランプ政権時の19年に...

まるで敗戦直後の日本軍を奪い合う中共軍──米大使館存続望むタリバン

敵として戦った米軍に対し、今タリバンはその大使館存続を望み、トルコには空港管理を依頼している。それは日本投降後の中国で、中共軍が日本軍人の技術を奪い合ったことを想起させる。空軍力が欠如していたことも共通している。 タリバンがアフガニスタンのアメリカ大使館存続を望むと表明 アメリカ国務省のプライス報道官は8月27日、タリバンがアメリカ政府に対して、8月末の駐留米軍の撤退期限後もアフガニスタンにあるアメリカ大使館の存続を望むと明確に示したと明らかにした。ロイター電や共同通信などが伝えている。 ロイター電...

沖縄空域を中国ドローンが3日連続で飛行、自衛隊の共同訓練中に

<日本が中国による東シナ海や南シナ海、台湾海峡への軍備拡張への危機感を強めるなかでの中国の動きは何を意味するのか> 日本の防衛省は8月26日、中国の軍事用無人偵察機(ドローン)および哨戒機が飛行するのを3日連続で確認し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させたと発表した。日本が現在、この近辺で複数のパートナー国とともに一連の共同訓練を行なっているなかでの出来事だった。 自衛隊の統合幕僚監部によれば、24日から26日までの3日連続で、中国の無人航空機(UAV)が目撃された。公表された無人機の...

米台の沿岸警備隊が「初の合同軍事演習」──台湾紙報道

<台湾当局は軍事演習参加を否定したが、「将来的な協力の可能性は排除しない」とも> 台湾は8月10日、台湾が米沿岸警備隊の演習に参加した事実はないと否定、しかし今後の協力の可能性は「排除しない」と述べた。今月に入って、船舶位置の追跡データから、台湾艦船が複数で太平洋に向かったことが示され、アメリカとの合同軍事演習の「予行演習」ではないかと報じられていた。 一方、台湾における米政府の窓口機関である米国在台協会は11日、米台の沿岸警備作業部会の初会合が行われたことを確認した。この作業部会は3月に、米台が海...

英海軍、インド太平洋に哨戒艦を恒久展開させる「胸算用」

<日本との軍事的関係は「過去1世紀で最も緊密」とウォレス英防衛相> 英海軍は2隻の哨戒艦を年内にインド太平洋地域に派遣して恒久的に展開する──日本を訪れたウォレス英防衛相は7月20日、岸防衛相との会談でそう表明し、地域への関与を深める姿勢を強調した。 さらに、最新鋭空母クイーン・エリザベスを中核とする海軍空母の打撃群が9月に日本を訪れ、横須賀など国内数カ所の米軍と自衛隊基地に寄港する計画も確認。ウォレスは共同記者会見で、両国が「過去1世紀で最も緊密」な軍事的関係を築いていると語った。 中国の脅威が高...

クアッドで中国は封じ込められない…「対中包囲網」には致命的な欠陥が

<確実に高まる中国の脅威。だが、インド太平洋地域でアメリカ頼みの包囲網に抑止力は期待できない> 二極化が著しい米政界だが、中国政策については党派を超えて大きなコンセンサスがある。中国をパクス・アメリカーナ(アメリカの力による平和)の最大の脅威と見なしていることだ。 対中強硬派として知られるトム・コットン上院議員など共和党のタカ派は、中国によるレアアースの輸出規制や軍備増強に、アメリカに対する野心が反映されていると警戒している。 右派は民主党が中国に甘いと評するが、ジョー・バイデン米大統領は就任前から...