「追悼」の記事一覧

米作家ピート・ハミルの死から1年、妻・青木冨貴子がつづるハミルの声と「真実」

<昨年8月5日、米著名作家でジャーナリストのピート・ハミルが惜しまれつつ他界した。彼が探し続けた「真実」と今に生きる遺産とは──ハミルの愛したニューヨークから、妻でジャーナリストの青木冨貴子がつづる> ピートに初めて会ったのは、彼が初来日した1984年3月6日、月刊誌「諸君!」の連載でインタビューしたときのことだった。短編集『ニューヨーク・スケッチブック』(82年、邦訳・河出書房新社)で注目を集め、自伝的小説『ブルックリン物語』(83年、筑摩書房)が出たところだったが、何より映画『幸福(しあわせ)の...

歴史に残る過ちを犯したラムズフェルド…超エリートは何を見誤ったのか

<国防長官を2度務めたタカ派は、自分を過信するあまりアメリカを2つの泥沼に導くという負のレガシーを遺してしまった> 6月29日に88歳で死去したドナルド・ラムズフェルド元米国防長官は、ジャーナリストのデービッド・ハルバースタムが「ベスト・アンド・ブライテスト(最良にして最も聡明な者たち)」と呼んだエリートそのものだった。頭脳明晰で威厳に満ちていたが、最後には自らを過信するあまり自滅した。 超タカ派のラムズフェルドは、かつて「私は泥沼になどはまらない」と豪語した。だが彼の最大のレガシーは、イラクとアフ...

【動画】インドネシア潜水艦の乗組員が別れの歌

<潜水艦と共に水没した乗組員たちが生前、「さようなら」という歌を歌っていた> バリ島沖の海底で沈没したインドネシア海軍の潜水艦の乗組員が生前、「さようなら」という歌を歌う、胸を衝く動画が公開された。潜水艦の乗組員53人は全員死亡した。 AFP通信の報道によると、この動画は沈没事故が起きる数週間前に撮影されたもので、乗組員たちが、インドネシアのヒット曲「サンパイ・ジュンパ(Sampai Jumpa)」を歌っている。この曲のタイトルは、インドネシア語で「さようなら」という意味だ。 乗組員たちは、「私には...

大学入試「現代文」の人──山崎正和から託されたもの

<2020年8月19日、86歳でこの世を去った山崎正和。「戦後最後の知識人」などと訃報が報じられたが、「劇作家」が唱えた「社交」、そして「公徳心」という私たちへのメッセージとは何だったのか> あなたが山崎正和の名を初めて見聞きしたのはどこであっただろうか。政府・行政機関の有識者として新聞などメディアを通じて知っている人もいるだろうが、多くの人にとっては「水の東西」『社交する人間』『柔らかい個人主義の誕生』など、大学入試や模試の「現代文」での出合いだったのではないだろうか。 その「現代文の人」は今年8...

韓国キム・ギドク監督、コロナで死去 世界三大映画祭受賞の巨匠とセクハラ醜聞、本当の姿は?

<人間の本質に切り込む異才の死を世界が悼んだ。だが母国の映画人の多くは沈黙している......> 昨今、日本では芸能人が不祥事を起こしてしまった場合、本人の活動自粛以外に、出演作品の放送や上映をどうするのかが話題になる。 「作品と演者は切り離して考えるべき」という意見と「責任を取って表舞台には出すべきではない」「被害者の心境を考えると、目につく要因は排除すべき」という意見に分かれ論議されている。 先週11日、ある映画監督の訃報が流れた。彼の死は、作られた作品と作った本人のスキャンダルを切り離すか否か...

権威と闘う筋金入りの反逆児……マラドーナは「最高に人間らしい神」だった

<最も偉大なサッカー選手でありながら、常に体制や権威に抗議し周囲の理解を求めて苦しみ続けた男との別れ> 11月25 日が終わった深夜1時すぎ、寝る前にツイッターを開いたところ、アルゼンチン在住のサッカージャーナリストのツイートから、「マラドーナが亡くなった...」との文字が目に飛び込んできた。頭の中が真っ白になり、誤報でないか確かめようとしてアルゼンチンの新聞にオンラインでアクセスするが、つながらない。ああ、事実なんだ、と確信したら、涙が止まらなくなった。 アルゼンチン人でもない自分が、ディエゴ・マ...

ロックの地平を開拓した永遠のギター少年、エディ・ヴァン・ヘイレンよさらば

<65歳で死去したエディは音楽的技術だけにとどまらない多大な功績をロック界に残した。常に音楽と共にあった伝説的ギタリストの生涯をたどる> 伝説的ギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンが10月6日、65歳でこの世を去った。 時代の音楽シーンに多大な影響を与えたエディは、右手でも弦を押さえるライトハンド奏法を習得し、ロックの技巧派ギターソロをポピュラー音楽の主流に押し上げた。素晴らしいプレーを事もなげにやっているかに見せたが、その陰には途方もない練習量と、バンド「ヴァン・ヘイレン」を成功に導いた献身があっ...