「雇用」の記事一覧

失業率と平均時給が「同時に上昇」──コロナ不況の米労働市場で何が起きていたのか

<通常、景気の悪いときには失業率が上昇し、平均時給は低下する──しかし、2020年4月に米国労働省が公表した雇用統計では、いずれも上昇するというイレギュラーが起こった。この現象を、統計学のトリックを使って読み解く> 「感染者数は指数関数的に増加している」「実効再生産数が1を上回った」──新型コロナウイルス感染症をめぐる日々の報道により、これまでの日常生活で聞かれなかった専門用語や情報を耳にする機会が増えた。 指数関数(y=aのx乗)のように1つの変数(x)に対してもう1つの変数(y)が飛躍的に変化し...

学校の職業教育への評価が、日本で特異的に低い理由

<能力より社風に合うかどうかを重視する日本企業のメンバーシップ型雇用が、その大きな要因ではあるが......> 教育は、普通教育と専門教育に分かれる。前者は社会の全成員に求められる資質を育むもので、後者はそれぞれの職業に必要な知識・技術を養う。初等教育では前者に重きが置かれ、中等教育では両者が混在し、高等教育では後者の比重が高くなる。 だが日本の教育は普通教育に偏っていて、専門教育が脆弱との指摘が多くある。たとえば後期中等教育機関の高等学校を見ると、高度経済成長期の1960年では生徒の4割が専門学科...

ワクチン接種進む欧州で高まる同調圧力 拒否した者が解雇される事例も

<個人主義や人権意識の高いはずの欧州で、自らの体について自己決定権が奪われかねない事態が起きている> スイスでは新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、6月初旬の時点で、全国で2回摂取完了した人は26%、1回終了した人は42%に達した。スイス最大の都市チューリヒのあるチューリヒ州では、16歳以上の接種予約が5月初旬に開始になり、7月からの学校の夏休みを前に摂取を急速に進めようという意図がうかがえる。 一方で、スイスでもすぐに接種はしない、または摂取は拒否すると決めている人がいる。そんな考えの介護職の...

統計上の失業率では見えない「潜在失業者」に目を向けよ

<子育て中の女性など、働きたいと思っても求職活動すらできない人の数は統計値には反映されない> コロナ禍で生活不安が広がっているが、人々の生活困窮を可視化する代表的な指標は失業率だ。失業率とは、働く意欲のある人のうち、職に就けないでいる人が何%いるかを言う。分子には、調査時点でハローワークに行くなど具体的な求職活動を行った人の数が入る。 しかし、働きたいのに職に就けないでいる人をこのように限定していいのだろうか。就労を希望しつつも、様々な事情から求職活動ができない人もいる。上記の当局の定義だと、こうい...

日本の人手不足の背景にある「即戦力の人を採れない」事情

<単に人が集まらないだけでなく、資格やスキルを持つ即戦力が見つからないことも要因に> 人手不足が言われるようになって久しいが、その程度を測る指標として「労働者の過不足DI」というものがある。 労働者が不足している事業所の割合から、過剰の事業所割合を引いて算出される。厚労省が3カ月おきに実施している『労働経済動向調査』では、常用労働者30人以上の民間事業所に労働者の過不足を尋ね、上記のDI指数も算出されている。 2020年11月の調査によると、常用労働者が不足していると答えた事業所は32%で、過剰と答...

ホームレスとハウスレスは別──車上生活者の女性を描く『ノマドランド』の問いかけ

<米西部をさすらう車上生活者の女性を見つめたクロエ・ジャオ監督作『ノマドランド』の静かなすごみ> 「私はホームレスじゃない。ハウスレスなだけ」。夫を亡くした60代のファーン(フランシス・マクドーマンド)は、心配げな年下の友人にそう言う。「それって別でしょ?」 この問いの謎は、詩的で衝撃的なまでに切実なクロエ・ジャオ監督の長編3作目『ノマドランド』の最後まで鳴り響く。成人してからずっと暮らしてきた「ホーム」から、車上暮らしの移動労働者として、自らの手で日ごとにつくり上げるべき居場所へ──それこそがファ...

アメリカの新規失業保険申請78.7万件 なお高止まり、延長申請も増加

米労働省が22日発表した17日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は78万7000件と、前週の84万2000件から減少したものの、依然として高止まり、新型コロナウイルス禍からの回復の遅れがあらためて浮き彫りとなった。 ロイターがまとめたエコノミスト予想は86万件だった。 MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「経済史上最も大きな景気後退の中で失われた職の多くがまだ戻っておらず、依然として極めて多くの失業者がいる」と述べた。 調整前ベースの新規失業保険申請件数は、前週から7万31...

今後5年間で8500万人分の雇用がロボットに奪われる コロナ禍が加速

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、中・大規模企業で今後5年間に8500万人分の雇用がロボットに奪われると予想されている。新型コロナウイルス感染拡大で職場の変革が加速し、格差が拡大するとみられる。 調査は世界の約300社の企業を対象に実施。それによると、企業幹部の5人中4人が業務のデジタル化と新技術導入計画を加速させており、2007/08年の金融危機以来回復していた雇用が相殺されている。 WEFのマネジングディレクター、サーディア・ザヒディ氏は、「新型コロナは、仕事の未来の到来を速めた」と述...

中南米でコロナ禍の貧困が拡大 破れる中産階級の夢

新型コロナウイルスがチリに襲来したことで、47歳のベビーシッター、ロレナ・ロドリゲスさんは突然、仕事を失ってしまった。彼女は現金を確保するため、泣く泣く、何十年も大切にしてきた宝石類を質に入れることにした。 ラテンアメリカ諸国の半数以上の住民と同じように、ロドリゲスさんも非公式(インフォーマル)労働者であり、沿岸部の都市バルパライソの富裕な地域で[顧客の]2人の子どもの世話をしていた。夫と合わせて家計所得は月70万ペソ(約9万5000円)で、さして不満のない生活を送っていた。 だが3月になると、ロド...

アメリカ雇用回復が鈍化 コロナショック直撃職種に「失業長期化」の懸念

新型コロナウイルスのパンデミックが米国の労働市場に大打撃を与えてから半年余り。今も失業している数百万の人々は、たとえ以前に従事していた仕事に戻れるとしても、あと何年も先になる可能性があると覚悟しつつある。 夏場まで目覚ましかった米雇用情勢の改善は、足元で鈍ってきた。バーテンダーや家政婦といった旅行、娯楽、対個人サービス関係の仕事をしていた人たちは待機を強いられている。これらの業界が需要の冷え込みに対応しなければならず、米経済もパンデミック長期化の影響にさらされ始めたからだ。 米労働省が先週発表した9...