「難民」の記事一覧

溺死した男児の写真から5年──欧州で忘れられた難民問題

<溺死したクルド人男児の写真で目を覚ましたはずの欧州だったが、大きかった「特別な共感」は消え去ろうとしている。移民への反感を募らせる人々から抜け落ちた視点とは> たった一枚の写真が、世論を変えた。5年前の秋のこと。それまではヨーロッパに押し寄せる「人間の群れ」(当時の英首相デービッド・キャメロンの表現)呼ばわりされていた難民たちが、急に「特別な共感」の対象となった。 Relatives of iconic drowned Syrian refugee find a home https://t.co...

ロヒンギャ難民を苦しめる、コロナと麻薬犯罪と超法規的殺人の三重苦

<コロナ禍の直撃を受けて、難民キャンプの多くのロヒンギャが仕事を失い、生活が厳しくなっている> 今年1月末、筆者はバングラデシュ南東部の都市コックスバザールで麻薬密売組織の逮捕劇に遭遇した。まだ日が高い午後2時半、地元の人気観光地イナニビーチそばの橋に人だかりができている。近づいてみると、後ろ手に手錠を掛けられた屈強な中年男性が、5~6人の国境警備隊(BGB)隊員に取り囲まれ、連行されていた。 やじ馬の1人の男性に状況を尋ねると、麻薬の運び屋が逮捕されたとのこと。既に身体検査を受けた後なのか、運び屋...

中国沿岸警備当局、小型船の乗員10名あまり逮捕 台湾での政治難民目指した香港市民か

中国広東省の沿岸警備当局は、同省の沿岸でボートを制止し、少なくとも10人を逮捕した。26日夜、同省の沿岸警備当局によるソーシャルメディアへの投稿で明らかになった。 投稿によると、逮捕したのは8月23日で、うち2人の名字がリーとタン。詳細は明らかにしていない。 香港メディアは、関係筋の情報として、台湾に行こうとしていた香港市民12人が逮捕されたと伝えた。12人は台湾で政治難民の申請をする計画だったという。 さらに、問題のボートに乗っていた1人が香港国家安全維持法で最近逮捕されたアンディ・リー氏と伝えた...

トランプ、ルペンよりもっと厳しい? 外国人の子供に国籍を与えない日本の「血統主義」

<外国人労働者の法律相談を請け負う行政書士が遭遇した、在留資格など日本の法律をめぐる悲喜こもごものエピソード> 浅草で行政書士事務所を経営し、おもに外国人の在留資格取得や起業支援をしている細井聡(大江戸国際行政書士事務所)は、これまで多くの外国人と関わってきた。細井は、「10年後、20年後、いや5年後かもしれない、『同僚は外国人』という時代がすぐそこまで来ている」と言う。 ここでは、細井が最近上梓した『同僚は外国人。10年後、ニッポンの職場はどう変わる!?』(CCCメディアハウス)向けにコラムとして...

一夫多妻制のパキスタンから第2夫人を……男性の願いに立ちはだかる日本の「重婚罪」

<外国人労働者の法律相談を請け負う行政書士が遭遇した、在留資格など日本の法律をめぐる悲喜こもごものエピソード> 浅草で行政書士事務所を経営し、おもに外国人の在留資格取得や起業支援をしている細井聡(大江戸国際行政書士事務所)は、これまで多くの外国人と関わってきた。その経験から細井は、「10年後、20年後、いや5年後かもしれない、『同僚は外国人』という時代がすぐそこまで来ている」と言う。 ここでは、細井が最近上梓した『同僚は外国人。10年後、ニッポンの職場はどう変わる!?』(CCCメディアハウス)向けに...

日本人が持つイメージより、はるかに優秀で勤勉な外国人労働者たちのリアル

<AIに仕事を奪われる前に、あなたにとって代わるのは外国人かもしれない> バブル時代、公園にたむろしていた中東からの外国人を見かけて以来、コンビニの店員など日本でもすっかり身近な存在になった外国人労働者たち。だが不思議なことに、昨年の改正入管法施行まで、日本に「外国人労働者」はいなかった。 「そんなバカな」と思うかもしれない。だが法律的にはいなかったのだ。いたのは、ホワイトカラーと呼ばれるネクタイを締めて働く人たち、あるいは外国料理のコックのような技能専門職、そして外交、医療、宗教などの知識専門職だ...

保守思想が力を増すスウェーデン──試練の中のスウェーデン(中)

<戦後、世界平和と人権尊重を掲げた「積極的外交政策」による移民/難民の受け入れに対して、「スウェーデン・アイデンティティ」への脅威を訴える極右政党が地道に支持を得ていく。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> ※第1回:スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上) スウェーデンは戦後、労働力不足を補うために多くの外国人労働者を招致し、さらに移民/難民も多...

スウェーデンはユートピアなのか?──試練の中のスウェーデン(上)

<福祉国家、環境、デザイン、または重税、優生思想、治安悪化......。北欧スウェーデンに対するイメージは極端に振れている。一つ一つは間違っていないものの、その全体的なイメージ像は実像からはかなりかけ離れていると清水謙・立教大学法学部助教は指摘する。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆うまだら状の秩序」特集。同特集の論考「変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン」を3回に分けて全文転載する> はじめに――イデオロギーとしてのスウェーデン? 二〇一八年は日本とスウェーデンが外交関...

新型コロナウイルスで棚上げされた欧州難民危機

<当局に居場所を知られるのが怖くて病院にも行けない──新しい国に渡っても別の深刻な問題が彼らを襲っている> アフガニスタン難民であるエスマト・モハマディ(22)は、第2の故郷であるドイツ南部のシュツットガルトが新型コロナウイルスの危機に見舞われた際の状況に思わず苦笑した。スーパーマーケットは大混雑で、警備員が客を見張っている。「本当に戦争でも起こったら、この人たちはどうするのだろうと思った」と、数々の修羅場をくぐり抜けてきたモハマディは言う。 モハマディのような難民にとって、新型コロナウイルスの感染...