「香港」の記事一覧

香港よ、変わり果てたあなたを憂いて

<活力と多様性と自由が失われ、市民と警察が憎しみ合う、監視都市・香港に希望は残されているのか> 7月1日、北京の天安門広場で華々しく開かれた中国共産党建党100周年の祝賀大会。習近平(シー・チンピン)総書記(国家主席)は1時間以上も演説し、「中華民族の偉大な復興」のために党と人民が奮闘し、列強に支配された「半植民地」から世界第2位の経済大国へと上り詰めたと強調した。さらに80回以上も「人民」という言葉を使い、「歴史と人民が中国共産党を選んだ」と述べた。 中国の憲法は、中国は「労働者階級が主導し、労農...

中国共産党100周年式典は、習近平ただ1人を礼讃するイベントと化した

<共産党の未来は、習近平の未来。後継者指名を先送りにして強権支配を続ける習の前途に、毛沢東の教訓がちらつく> 世界有数の厳重飛行制限空域である北京の大通りの上空に現れたいくつものヘリ──中国共産党の結党100周年記念式典の最終リハーサルが始まったのは、本番の2週間前だった。 「100」の字を組んで編隊飛行するヘリが、私の自宅の窓の向こうを飛び過ぎていく。青・黄・赤のスモークをたなびかせたジェット機がその後を追い、けたたましい音を立てて天安門広場へ向かった。 100周年記念式典に際して軍事パレードは行...

最終号の見出しは「雨の中のつらい別れ」 蘋果日報(アップル・デイリー)廃刊

中国共産党に批判的な香港の日刊紙・蘋果日報(アップル・デイリー)が6月24日、廃刊に追い込まれた。 昨年施行された香港国家安全維持法により、資産が凍結され、創刊者や記者が身柄を拘束されて、発行継続が困難になったためだ。 蘋果日報はタブロイド紙でありながら、一貫して香港の民主主義防衛を唱えてきた。24日は、多くの市民が本社前に集まって廃刊を惜しんだ。 香港では、1997年にイギリスから中国に主権が返還された後も、50年間(つまり2047年まで)は資本主義や民主主義が維持されるはずだった。 ところが民主...

「リンゴ日報の次」と言われる民主派メディア、弾圧を見越して「身辺整理」

<追い込まれた「立場新聞」は、読者や社外筆者からの投稿公開を一時停止、購読サービスも停止した> 香港の民主派寄りのネットメディア「立場新聞」が27日、声明を出し、過去の社外筆者からの寄稿や読者からの投稿をサイトから一時的に削除するとともに、有料会員サービスを停止すると発表した。香港が言論弾圧にさらされていることを受け、自社が手がけたニュース記事のみを掲載していくという。 香港では、民主派寄りの日刊紙、蘋果(リンゴ)日報(アップル・デイリー)が当局から資産を凍結されて廃刊に追い込まれたばかり。中国政府...

習近平の「愛される国」外交指示を解剖する

5月31日、習近平は中共中央政治局の学習会で「愛される国」になる外交を展開せよと強調した。これを中国が外交方針を変えるシグナルかと受け止める向きもあるが、そのような甘い夢は抱かない方がいい。 習近平、「信頼され、愛され、尊敬される中国の印象」を形成せよ! 習近平が中国を「愛される国になるために」外交方針を展開せよと言ったということが注目されているが、いかなる文脈の中で言ったのかを詳細に把握しないと、その意図を正確に分析することは出来ない。そこで、何を言ったのかを詳細に見てみよう。 5月31日午後、習...

中国を礼賛し、民主化運動を妨害する欧米の若者たち「タンキー」が増殖中

<共産主義を支持する極左勢力が欧米に台頭。中国政府の人権侵害を認めず、中国モデルを称賛する彼らを懸念する声も広がるが> 天安門広場に集結した中国の民主化を求める若者たち多数を蹴散らし惨殺した後、隊列を組んで引き揚げる戦車の前に、丸腰で立ちはだかった1人の男がいた。素性も生死も不明だが、欧米メディアは彼を「タンク(戦車)マン」と呼び、その勇気を絶賛したものだ。 そう、30余年前の彼の行為は間違いなく命懸けだった。しかし今は民主化を求める中国人の若者が、およそ命懸けではない西洋のタンキー(タンク野郎)た...

国家安全法の水面下で聞いた「諦めない」香港人たちの本音

<国家安全法の施行から半年以上。現地に飛ぶと、街からシュプレヒコールが消えた一方で、英国移民の話題が持ち切りになっていた。しかし、市民たちの関心はもっと深いところでまだくすぶっている> 昨年末に新型コロナウイルス感染症対策が引き締められた香港。1月初めに到着した私は、月末にやっと3週間の隔離を終えて街に出た。 だが、レストランは6時以降テイクアウトかデリバリーのみに制限されており、友人たちと卓を囲むこともできなくなっていた。 外ではゆっくりできないからと、写真家のHと妻のSが自宅での夕食に呼んでくれ...

米中首脳電話会談を読み解く――なぜ「とっておきの」春節大晦日に?

2月11日、バイデン大統領と習近平国家主席が電話会談した。両国の正式発表の相違にも問題があるが、あえて祝福ムード満開の春節大晦日に電話して「祝意」を示すこと自体からして対中強硬の本気度が疑われる。 なぜ祝福ムード満開の春節大晦日に? 日本時間の2月11日、バイデン大統領がようやく習近平国家主席と電話会談をした。1月20日に大統領に就任して以来、「カナダ、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、NATO、ロシア、日本、韓国、オーストラリア、インド」に次いで12番目の国になる。 ロシアや韓国よりも後にした...

バイデン政権の本音か? 米中電話会談、「一つの中国」原則に関する米中発表の食い違い

2月5日、ブリンケン米国務長官が中国の楊潔チ・外交トップと電話会談したが、中国側発表では、「一つの中国」原則を遵守するとブリンケン氏が言ったとのこと。米側発表にはない内容だ。もし言ってないのなら、なぜブリンケン氏から反論がないのか? アメリカ側の公式発表 まずアメリカ国務省の公式発表を見てみよう。公式発表では、ブリンケン国務長官は以下のよう主張したとなっている。 1.新疆ウイグル自治区やチベット自治区および香港を含めて、アメリカは人権問題と民主的価値を支持し続けると強調した。 2.ミャンマーの軍事ク...

ほぼ「無理心中」計画:香港民主派前議員大量逮捕の背景

6日、香港立法会の民主派前議員や区議会議員など約50人が逮捕された。背景には民主派の「死なばもろとも十歩」計画がある。十歩目は中共とともに崖から飛び降りる際の国際社会支援頼み。現状では望み薄か。 逮捕された人たちの経緯 1月6日に民主派系列の全立法会(香港議会)議員や区議会議員など50人超が逮捕されたが、この人たちは、2020年9月に予定されていた立法会議員選挙に向け、民主派の候補を絞り込むために実施された予備選挙(中国語で初選)に参加した政治家たちだ。 この予備選挙は昨年7月に行われたもので、民主...