「EU」の記事一覧

ボスニアが、世界各国から極右が集まるホットスポットになった訳

<欧州全体で難民やイスラムへの反感が強まるなかで、ボスニア・ヘルツェゴビナが世界の極右を引き付けている> 最近セルビアを退去処分になり、隣国ボスニア・ヘルツェゴビナに入国したある人物を、当局が追っているという。アメリカのネオナチで、極右団体「ライズ・アバブ・ムーブメント(RAM)」創設者のロバート・ルンドだ。 ここ数年で、ボスニアは世界の極右過激主義者を引き付けるホットスポットと化している。過去20年ほど、脆弱な中央政府の下で治安当局がイスラム過激派対策ばかりに注力するなか、極右は着々と影響力を強め...

聞こえてきた英連合王国分裂の足音

<正式なEU離脱プロセスは完了したが、結果への強い不満から地位見直しや独立の機運が高まっている地域があることが世論調査によって分かった> *この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年2月25日付)からの転載です。 英国の欧州連合(EU)離脱のプロセスは、関税ゼロの自由貿易協定を柱とする貿易協力協定(TCA)の下、大きな混乱を引き起こすことなく完了した。 英国全体では、EU離脱のプロセスが完了しても、EUを巡る分断の構図は変わらず、離脱を後悔するブリグレット(Bregret=British[英...

米欧の研究で分かった、ポピュリスト政党の倒し方

<どの国でもポピュリズムの温床はラストベルト(さびついた工業地帯)。この地域で経済が再生し、人々が明るい未来を展望できるようになれば、選挙結果も変わってくる> (本誌「ポピュリズム2.0」特集より) アメリカにジョー・バイデン大統領が誕生して1カ月がたつ。 だが、バイデンが2020年大統領選で薄氷の勝利を挙げたミシガン州やペンシルベニア州、ウィスコンシン州などのラストベルト(さびついた工業地帯)では、今もドナルド・トランプ前大統領が唱えた過去へのノスタルジーとナショナリズム、そして排外主義を支持する...

EU復帰はあり得ない──イギリスの将来を示すスイスの前例

<今後数十年でイギリス経済が受ける打撃と、EUに対する態度がどう変わるかは、1992年に加盟の道を自ら閉ざしたスイスを見れば分かる> 30年後のイギリス政治を想像してみよう。政府は二酸化炭素排出量実質ゼロを達成し、勝利を宣言しているかもしれない。議会はオートメーション化による大量失業に対処するため、最低所得保障を承認しているかもしれない。 だがブレグジット(イギリスのEU離脱)を果たしてから30年後のこの国で、EUへの復帰が議論されていることは、まずあり得ないだろう。 むしろ政治家は、誰がEUに対し...

米中に対抗した戦略的自治、欧州グリーン・ディールに則した欧州の宇宙政策とは

<米国と中国が存在感を示している世界の宇宙産業。その中で、欧州連合(EU)は、欧州グリーン・ディールに則した自立型の宇宙産業を目指している...... > 欧州の宇宙産業の市場規模は2014年時点で約500億ユーロ(約6兆3000億円)にのぼり、23万人以上の雇用を創出している。 欧州連合(EU)の宇宙政策では、2014年から2020年までに120億ユーロ(約1兆5000億円)超を宇宙開発に投資したのに続き、2021年から2027年までの7年間でさらに148億ユーロ(約1兆8700億円)を投資する計画が示されている。 米国や中国に対抗し、自立型の宇宙産業を志向 2010年代以降、衛星の打ち上げ回数や宇宙ミッションの数が世界的に急増し、なかでも米国と中国が存在感を示してきた。米国では、2020年5月、宇宙開発企業のスペースXが民間企業として初めて有人宇宙飛行に成功。中国では、無人探査機「嫦娥4号」が2019年1月、月の裏側での月面着陸に初めて成功した。 欧州連合は、米国や中国に対抗し、自立型の宇宙産業を志向している。産業政策を担当する欧州委員会のティエリー・ブルトン委員は、2021年1月12日、第13回欧州宇宙会議において、宇宙分野における欧州の戦略的自治を訴え、「我々にはより攻撃的かつ積極的な戦略が必要だ」と強調。今後7年にわたる宇宙政策のもとでインフラ、技術、スキル、強みを開発し、第三国への依存を軽減する方針を示している。またブルトン委員は、「インターネットへの攻撃はもはやフィクションではない」、EUは安全なブロードバンドネットワークを構築する必要があるとも述べている。 "Enhancing Europe's strategic autonomy in space is not an option" @ThierryBreton #BBESpaceConf pic.twitter.com/Qm9gOeUh4v— Business Bridge Europe (@BBE_Europe) January 12, 2021 また、欧州連合では、2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「欧州グリーン・ディール」を推進しており、宇宙開発もこれに則ってすすめられる。 ===== 道路交通の効率化、温室効果ガス排出量の削減に活用 宇宙技術は、運輸や通信といった不可欠なインフラを支え、地球観測においても重要な役割を担う。欧州連合では、全地球航法衛星システム「ガリレオ」や欧州静止衛星補強型衛星航法システム「エグノス」が道路交通の効率化や温室効果ガス排出量の削減に活用されているほか、地球観測システム「コペルニクス」が2017年以降、気候変動のモニタリングを行っている。 欧州全地球航法衛星システム監督庁(GSA)のロドリゴ・ダ・コスタ氏は、1月12日、第13回欧州宇宙会議において、「ナビゲーションと地球観測とのシナジーによって、輸送が一歩進化するほか、農業にも同様に応用できる。これらの取り組みによって欧州グリーン・ディールにも大いに貢献できる」と述べている。 2020年3月、欧州の二酸化窒素排出量の変化を示した画像を提供した European Space Agency/Reuters カーボンニュートラルなロケット打ち上げを計画 欧州連合では、欧州グリーン・ディールに則した宇宙開発の一環として、クリーン燃料の生産にも注力する方針だ。これまでも欧州のロケットの燃料には液体水素が用いられてきたが、液体水素の製造に大量のエネルギーを要するのが課題となっている。 独メディア「ドイチェ・ヴェレ」によると、仏航空宇宙関連企業アリアングループでは、2030年までにバイオマスから製造した水素を用いたカーボンニュートラルなロケットを打ち上げる計画だ。 ESA preview 2021

ブレグジットで高まる「統一アイルランド」への期待

<イギリスEU離脱の混迷とコロナ禍で、南北分割のデメリットと統一のメリットが明らかに──統一を訴える主張には、アイルランド全島から共感が寄せられている> あなたがこの記事を読む頃には、ブレグジット(イギリスのEU離脱)に伴う通商交渉に合意が成立しているかもしれない。あるいは、成立していないかもしれない。 この「合意に基づく離脱か、合意なき離脱か」という議論は、英国民が2016年の国民投票でブレグジットを選んで以来、ずっと続いてきた。 あのとき北アイルランドとスコットランドが、EU残留を選んだことを忘...

中国、「合意なき離脱」迫るイギリスに「政府による差別に加担するな」と忠告

<ブレグジットの移行期間が終了する12月31日を控え、EUと交渉を続ける英政府だが、合意を得られない可能性が高い。そんななか、中国がイギリスに触手を伸ばしている> ブレグジット(英EU離脱)の移行期間が終了する12月31日を控え、通商協定なしの「合意なき離脱」の可能性が高まっている。それに伴うイギリス経済の弱体化を好機とみている国がある。中国だ。 ジョンソン首相は12月9日にEUのフォンデアライエン欧州委員会委員長と土壇場の会談を行ったが、合意できなかった(13日に期限が延期されたが、まとまらない可...

コロナに感染でブレグジット交渉中断、あおりを受けてフィッシュ&チップスが食卓から消える?

<ブレグジット移行期間終了まであと数週間と迫ったが、英国とEUの間にはいまだに貿易協定が結ばれていない。> タイムリミット迫る貿易交渉、コロナで中断 英国は今年1月に欧州連合(EU)から離脱し、移行期間も来月一杯で終了となる。しかしこのままでは英国の国民食ともいえるフィッシュ&チップスが食卓から消える可能性がある、とフィッシュ&チップスの業界団体NFFFは警告している。 移行期間終了まであと数週間と迫ったが、英国とEUの間にはいまだに貿易協定が結ばれていない。両者はこれまで、離脱後も関税がかからない...

コロナに感染でブレグジット交渉中断、あおりを受けてフィッシュ&チップスが食卓から消える?

<ブレグジット移行期間終了まであと数週間と迫ったが、英国とEUの間にはいまだに貿易協定が結ばれていない。> タイムリミット迫る貿易交渉、コロナで中断 英国は今年1月に欧州連合(EU)から離脱し、移行期間も来月一杯で終了となる。しかしこのままでは英国の国民食ともいえるフィッシュ&チップスが食卓から消える可能性がある、とフィッシュ&チップスの業界団体NFFFは警告している。 移行期間終了まであと数週間と迫ったが、英国とEUの間にはいまだに貿易協定が結ばれていない。両者はこれまで、離脱後も関税がかからない...

EUとのFTA「合意あり」でも関係ない イギリスはハードブレグジットに突入

<12月31日で移行期間が終了して名実共にEUを離脱するイギリス。FTA合意の有無に関係なく、EU加盟国との通商上の結び付きはヨーロッパで最も弱い国に> イギリスの国民投票によるブレグジット(英EU離脱)決定から4年。だが離脱は依然文面上にとどまっている。確かに今年1月31日に法的には離脱したが、「移行期間」中はまだ実質的には加盟国。英企業がEU内でビジネスをすることもドイツ人がビザなしでロンドンに移住して働くことも可能だ。 だが移行期間は12月31日で終了、イギリスは名実共にEUを離脱する。ブレグ...