「EU」の記事一覧

「台湾代表処」設置のリトアニアに 中国が逆上、「頭がおかしくてちっぽけで危うい国」と罵倒

<とくに「台湾」の名を冠した稀有な出先機関を認めたことで中国は猛反発。リトアニアはEUとともに毅然とした態度を保っているが> 中国政府の意見を代弁する国際ニュース紙、環球時報の編集長は8月10日、バルト三国のひとつ、リトアニアを激しく攻撃する記事を掲載した。リトアニアの首都ビリニュスに台湾が出先機関を設置することを認めた上、撤回を求めた中国政府の要求を拒絶したからだ。 環球時報の胡錫進(フー・シーチン)編集長は、外交に大きな影響を及ぼす恐れがあるにも関わらず、リトアニアが決定を覆さなかったことに驚き...

米欧にも中露にも取り込まれない…ポーランド首相、独占インタビュー

<東西のはざまで翻弄される中欧米。バイデン政権やデジタル課税についてモラウィエツキ首相が語ったポーランド独自の視点とは> 西にはドイツを中核として西欧的価値観を共有するEU圏、東にはウラジーミル・プーチンの陣取る絶対主義的なロシア圏。その中間に位置する諸国はずっと両陣営の綱引きに翻弄されてきたが、中でも民族主義色を鮮明に打ち出しているのがポーランドだ。 右派政党「法と正義」が政権を握り、2017年12月からはマテウシュ・モラウィエツキが首相を務める。西側の右派勢力には受けがいいが、リベラル派からは批...

習近平最大の痛手は中欧投資協定の凍結──欧州議会は北京冬季五輪ボイコットを決議

バイデンが主導しようとしている対中包囲網は見せかけが多く軟弱だが、欧州議会がウイグル人権弾圧問題で中国の報復制裁に対して決議した「中欧投資協定の凍結」ほど、習近平にとって手痛いものはない。欧州議会は北京冬季五輪ボイコットをさえ呼びかけている。 EUがウイグル問題に関して制裁 今年3月22日、EU(欧州連合)主要機関の一つである「欧州議会」は、中国のウイグル人権弾圧に対して制裁を科すことを議決した。制裁対象となったのは以下の4人と一つの機構である。 ●王君正(新疆ウイグル自治区・副書記、新疆生産建設兵...

EUにも嫌われ始めた中国の戦狼自滅外交

<ウイグル族の人権侵害を理由に対中制裁を発動したEUに報復制裁を繰り出した中国。投資協定も頓挫し、欧州との融和的関係は危機に瀕している> 新疆ウイグル自治区における人権侵害が広く報道されるなかで、中国政府とEUは対立を深めている。ヨーロッパを味方につけたい中国だが、友人を作るより失うケースのほうが多くなっているようだ。 中国とEUが、まさにやられたらやり返す報復合戦に陥ったのは今年3月のことだった。EUが中国北西部に住むウイグル族に対する人権侵害の責任を負う中国当局者4人と1団体を対象とする制裁に踏...

民間航空機の強制着陸はハイジャックと同じ、ベラルーシの「国家テロ」に欧米猛反発

<それも乗客だった反体制派ジャーナリスト一人を拘束するため、という身勝手さ。欧米諸国からは非難の嵐、厳しい対応の可能性も> リトアニアに向けてベラルーシ上空を通過していた民間旅客機が23日、ベラルーシ当局によって強制着陸させられ、反体制派活動家の乗客が逮捕された問題を巡り、国際社会から非難の声が上がっている。 ギリシャのアテネ発、リトアニアのビリニュス行きのライアンエア機に乗っていて、ベラルーシ当局に身柄を拘束されたのはジャーナリストのロマン・プロタセビッチ(26)。暗号化メッセージアプリ「テレグラ...

欧州のインド太平洋傾斜・対中強硬姿勢に、日本は期待してよいのか

<英仏独がインド太平洋地域の安全保障に対する関心を高めている。EUは天安門事件以来となる対中制裁も採択した。しかし、欧州の態度が急変したというのは印象論。その本音はどこにあるのか> インド太平洋をめぐる欧州主要国の動きがあわただしい。 2018年にフランス、昨年9月にはドイツ、そして今年3月には英国と、欧州主要国がアジア戦略・世界戦略を相次いで発表し、その中でインド太平洋の安全保障を強調している。 この8月からはドイツのフリゲート艦が日本を含む東アジアに寄港する予定だし、5月からは、建設費30億ポン...

難民が受け入れ国の「市民」になるには何が必要か…戦禍を逃れた人々の切なる願い

<受け入れ国で就職し、納税し、政治にも参加内戦下の故国を離れて新生活を送るなか、シリア出身者が目指す「市民」への道> 危険な海路を移動し、狭苦しい難民キャンプで数カ月、または数年間も過ごし、密航業者に多額を支払った末、内戦のピーク時にシリアから西欧にたどり着いた難民は100万人を超える。 シリア内戦が始まってから10年。戦闘はおおむね沈静化したが、難民の多くは今も、安心して故国へ帰れるとは考えていない。彼らが逃れてきた独裁的体制は存続している。帰国したら反政府活動や反体制派支持、徴兵忌避を理由に迫害...

ボスニアが、世界各国から極右が集まるホットスポットになった訳

<欧州全体で難民やイスラムへの反感が強まるなかで、ボスニア・ヘルツェゴビナが世界の極右を引き付けている> 最近セルビアを退去処分になり、隣国ボスニア・ヘルツェゴビナに入国したある人物を、当局が追っているという。アメリカのネオナチで、極右団体「ライズ・アバブ・ムーブメント(RAM)」創設者のロバート・ルンドだ。 ここ数年で、ボスニアは世界の極右過激主義者を引き付けるホットスポットと化している。過去20年ほど、脆弱な中央政府の下で治安当局がイスラム過激派対策ばかりに注力するなか、極右は着々と影響力を強め...

聞こえてきた英連合王国分裂の足音

<正式なEU離脱プロセスは完了したが、結果への強い不満から地位見直しや独立の機運が高まっている地域があることが世論調査によって分かった> *この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年2月25日付)からの転載です。 英国の欧州連合(EU)離脱のプロセスは、関税ゼロの自由貿易協定を柱とする貿易協力協定(TCA)の下、大きな混乱を引き起こすことなく完了した。 英国全体では、EU離脱のプロセスが完了しても、EUを巡る分断の構図は変わらず、離脱を後悔するブリグレット(Bregret=British[英...

米欧の研究で分かった、ポピュリスト政党の倒し方

<どの国でもポピュリズムの温床はラストベルト(さびついた工業地帯)。この地域で経済が再生し、人々が明るい未来を展望できるようになれば、選挙結果も変わってくる> (本誌「ポピュリズム2.0」特集より) アメリカにジョー・バイデン大統領が誕生して1カ月がたつ。 だが、バイデンが2020年大統領選で薄氷の勝利を挙げたミシガン州やペンシルベニア州、ウィスコンシン州などのラストベルト(さびついた工業地帯)では、今もドナルド・トランプ前大統領が唱えた過去へのノスタルジーとナショナリズム、そして排外主義を支持する...